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晩春の挨拶
石段を登り終え、
春風と共に本殿の前で伏せる。
春霞命の時と同じように
厳かな雰囲気が流れる。
「朧彦葉命へ申し上げます。
私、四季崎春風は、御身の言霊に従いて、この春が皆の心に暖かさを齎す様、日々を過ごして参りました。然るに、我が身を捧げる事を以て、生命の活気付く夏の始まりへと繋げる事をお願い申し上げます。」
以前と同様に、箏を用意して、
曲を奏する。
春の終わりを告げる音。
草原が深緑に色づく。
終わり頃、
また、春風の影が薄くなっていた。
「––––––––––」
やはり社の向こうの声は聞き取れない。
「本日は私の隣に居ります、
冬花の御紹介したいと存じます。」




