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風に舞う花弁は夜に照らされて
兄達の言葉から、
私自身も必死に修練に励む。
気温も暖かくなり、桜も散り終わる頃、
私は庭を眺めていた。
「桜ももうじき見納めですね。
それにしても、
今日は満月でよく映えますね。」
散り行く花弁は月の光に照らされ、
淡い桃色を発していた。
暫く、二人で眺める。
姉は少し酔っ払ってふらついていた。
お役目で神様と酌み交わしたのだろう。
春風の様子を気にしながら、
私は桜の花弁が散る様子を
共に楽しむ事にした。
「冬花。」
突然呼ばれ、姉の方を向く。
春風は私の手を取り、それをじっと見る。
耳元に両手を添え、私の目をじっと見る。
私は突然出来事に、
少し恥ずかしくなった。
「此処に来てまだ間もないというのに
出会った頃とは違い、
随分と凛々しくなりましたね。」
春風は私を抱きしめた。
最初は驚いた。
けれども、
春風が涙を流しているのに気がついた。
私も姉の背中に手を添えた。




