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告げるために
悲惨な場を見て、気分を悪くしたため、
夏鳥が私を背負ってくれた。
「少々、刺激が強かったかな。
冬花もこんなような街にいたから、
慣れていると思っていたんだけど。」
「この原因のいくつかは、
あれを見て思いついたでしょ。」
「人として見ていない。
だから、この街は心が貧しい。」
「その点、君は少しずつ取り戻せている。」
「いいよね。」
「僕は、もうそれが分からないんだ。」
「頭では分かるけれど、感覚がない。」
「だから、覚えておいて欲しい。」
「お役目の時に神様に頼むこととか
何が良いのかを考えて欲しい。」
兄が何故、
此処に連れて来たのか分かった。
相変わらず、目の前に転がる悲劇の
数々をにこにこと笑顔で見ていた。




