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奪われる街
用心棒は時々襲い掛かる者たちを
太刀で倒していく。
どれもかすり傷であるのに、
相手は激痛で倒れ込むのが不思議だった。
「気にするな、すぐ元に戻る。」
貧困街の半ば、
遠くの方には権力を示すかのような
豪華な屋敷が立ち並ぶのが見えた。
ああ、私の居た街に似ている。
「ここはまだまだ危険な場所だ。
盗人が襲い掛かることもよくある。」
「冬花の街はこんな感じだったの〜?」
夏鳥の言葉に頷く。
私の街、奪い奪われる街。
私も彼らと同じだった。
優しさで分け与えても、
次の日には掌返しで終わる。
だから、独りで居た。
傷つくこともない。
「その正体を知ってみようと思わない?」
「さあ、行ってみようか。」




