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挨拶
大きな屋敷の門を前。
春風においでと呼ばれて、
私はついていく。
「だだいま戻りました。」
「おかえり。」
目の前に一人の男が居た。
「ちょうど良かったです。
秋月、夏鳥を呼んでください。」
男は、私を鋭い目で見ると
「そういうことか。」
と屋敷の奥へ行った。
居間に着くと、
先ほどの男ともう一人いた。
私は咄嗟に春風の後ろに隠れた。
春風は、少し困ったように息を吐いた。
「大丈夫ですよ、
此処は私たちの家ですから。」
3人の前に居ながら私は下を向いている。
「は、はじめまして。
と、とうかといいます。
......ろしくおねがします。」
と、しどろもどろな挨拶をした。
二人分の拍手が聞こえた。
「秋月だ。」
「夏鳥です。よろしく。」
と二人は名乗り、挨拶は終わった。
その後、丸い食卓が出され、
今日はお祝いだとか夏鳥は騒ぎ、
春風と夏鳥二人と色々と話したが、
自分から何かを話すことはなかった。




