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冬の月
行く当てもなく
何処かへ歩いている。
空には月。
辺り一面の雪景色に足跡だけが残る。
物心付いた時から、
彷徨い歩いて生きて来ました。
生きる事に必死で
意味を考える事は有りませんでした。
でも、一人で生きるには限界が有り、
到頭、この雪山で倒れてしまいました。
私は此処で死ぬのでしょう。
「漸く、苦しいだけの世界から解放される。」
そう思い、ゆっくりと目を閉じました。
月はそっと私を照らす。
静寂が優しく包み込む。
安らぎに満たされ、私は眠る。