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『1度救われた世界』

チヒロ「で、この小鳥・・インコが花って名前な訳ね・・・」

花「はいっ!そうでございますっ!」


ジョニーが消えた後、美紅をおんぶして我が家に着いたチヒロとあおい。


途中、尋常じゃないくらい焦ってる『喋るインコ』を回収し、チヒロの部屋に入った。


ベッドに美紅を寝かせると、真っ白な子猫とカラフルなセキセイインコと会話をするという変な空間になっていた。


花「はいっ!姫様が無事でよかったですっ!美紅様も無事の様ですしっ!」


花は鳴き?泣き?ながら言った。


あおい「僕は無事だよ!チヒロにも会えたしね!」

チヒロ「お前、姫なのか?」

あおい「あぁ!僕らの世界ではね・・たぶんもうない世界だけど・・・」

チヒロ「・・ごめん!」

あおい「いや・・いいんだ・・それより・・」


あおいが花を見てなにかを言おうとしたが、それを真顔のチヒロが遮った


チヒロ「なぁ!せめて人型になってくれん?なんかちょっと自分が不安になってくるし」

あおい「また、訳のわからんことを・・しょうがないなぁ・・」

花「はいっ!」


言い終わると、あおいは美紅に、花は少女に化けた。

年齢で言えば、10才ぐらいの少女、しかし・・


チヒロ「なぜ、ゴスロリ衣装なんだ?」

花「はいっ!なんとなくですっ!」

チヒロ「・・・」


真っ黒なゴスロリ服で正座をする少女が、会話は元気だが顔は無表情で言った。



あおい「銭湯で美紅に会った時は正直焦ったけど、先に花がいろいろな事情を説明していてくれたおかげで話が早かったよ」

花「はいっ!花も美紅様と御一緒すればよかったのですがっ・・・」

あおい「初めての空間越えで疲れてたんだから、しょうがないよ!」

花「はいっ!ありがとうございますっ!」

チヒロ「それで美紅ちゃんちで寝てたら、美紅ちゃんが変身する反応があったから焦って飛んできた訳ね!」

花「はいっ!」

あおい「かなり遅かったけどね」

花「はいっ!熟睡してて気付きませんでしたっ!申し訳ございませんっ!」


無表情で土下座をするゴスロリ少女。


この少女もスーツを持ってこの世界に来た1人(一匹?)で、たまたまなのか運命なのか美紅の所にたどり着いたということらしい。


『運命なんだろうな!オレと美紅ちゃん!』


自分勝手な赤い糸を出すチヒロであった。



チヒロ「ところで、あおいは、なぜにスペシャルサービスをしてくれているんだい?」

あおい「ん?あぁ!これね!」


美紅に化けたあおいは、なぜか真っ白な下着姿であった。

たぶんネットで見たのであろう『セクシーなベビードール』を羽織っていた。


あおい「真っ黒なゴスロリ衣装には、真っ白な下着姿しか勝てないだろう?」


そう、あおいが言った途端


美紅「ちょっとっ!私の姿でなんて格好してるのっ?!」


掛布団を撥ね飛ばして美紅が飛び起きて言った。


美紅「禁止っ!私の姿で下着は禁止っ!」


真っ赤な顔で、あおいに抱きついて言った。


『美紅ちゃんが、下着姿の美紅ちゃんに抱きついた・・・』


青少年チヒロの血液は、下半身に集まるのであった。



正直、あおいの話は、とんでもない話であった。

奴等は80年前、一度この世界に襲来しに来たと言う。

そして、それをことごとく撃退し、異世界への扉をも破壊したのがチヒロのひいおじいちゃん、曾祖父『緋色源蔵』であったと・・


美紅「凄い・・・」

あおい「あぁ・・当時はまだスーツの機能も今とは比べ物にならないくらい悪かったのにね」


色々とややこしいので子猫に戻ったあおいが言った。


あおい「ただ、スーツはバラバラになり、源蔵は瀕死の重症を負った・・」

美紅「ヒロのひいおじいちゃんはっ?」

あおい「大丈夫!すぐに回復したよ!」

花「はいっ!元気いっぱいで・・」

あおい「花っ!お前は少し黙っていてくれないか!」

花「はいっ!申し訳ございません姫様っ!」


なぜか花の会話を止め


あおい「そのバラバラになったスーツを、回収して研究し、新たなスーツを作成したのがあの外国人達なんだと思う」

美紅「それでヒロの名前で納得していた訳ね」

あおい「たぶん・・」

チヒロ「なぁ・・・」


ずっと話を聞いていたチヒロが、あおいを見て言った


チヒロ「あおいって何歳なんだ?ひいおじいちゃんの時にってことは少なく見積もっても・・・」

美紅「引っ掛かるとこ、そこっ?!」


チヒロらしいと思いながら突っ込む美紅


あおい「僕らに年齢という概念はないんだ」

チヒロ「いや・・かなりの年上な訳で・・しかも姫様な訳で・・・」

あおい「気にしなくていいよ!チヒロ、敬語なんか使えないだろう?」

チヒロ「使えません!使いこなせませんっ!」

美紅「きっぱり言うなっ!」


チヒロに笑いながら突っ込む美紅を、微笑ましく見るあおい


あおい「君で・・チヒロでよかった!花もいい人に出会ってくれた!」

花「はいっ!美紅様は素晴らしい人ですっ!胸も素晴らしく大きいですしっ!」

美紅「花ちゃんっ!」


と、胸をチヒロの視界から隠して言って気が付いた。


チヒロの部屋で、銭湯上がりでノーブラで、さっきまでチヒロのベッドに寝ていた。


『なんか凄く恥ずかしいんですけどっ!』


そして思い出す


『あ!盗られたパンツ』


美紅「ヒロ!パンツ返して!」


胸を隠して冷たい視線でチヒロを見て言った。


あおい「枕の下にあるよ!」

チヒロ「あおいっ!」

あおい「下着姿の美紅の夢が見れますようにって願掛けしてた!」

チヒロ「・・・」


真っ赤な顔で黙るチヒロを尻目に、ペラペラとなんでも言うあおい。


美紅「ヒロぉぉぉぉっ!」


恥ずかしさ等の感情を押し退けて一位になった怒りの炎のオーラが今にも見えそうな美紅が、背後のベッドの上の枕を動かすと、透明なビニール袋に入ったピンクのパンティを見つけた。


美紅「袋っ?!」


本人もなぜかわからないが、ビニール袋に入ってることで、怒りよりも恥ずかしさが勝って絶句する美紅。


チヒロ「ラップの方がよかった?」

美紅「そうゆう問題じゃないわっ!」


訳のわからないチヒロ基準の思考で、なぜか和やかになる2人と2匹であった。




急に世界観を変えられ、バタバタといろんな事があった2日が終わり、明日から学校は新学期。


巨乳お姉さんの素性も気になるが、それよりもなによりも高校2年になり、今年も美紅ちゃんと同じクラスになれるのかが世界平和よりも気になるチヒロであった。

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