「背中の感触」
突然攻撃してきた外国人イケメンのジョニーのパンチは、重装備といえども、ボクサー並みのスピードはあった。
美紅「話がしたいだけなんだよねっ!?」
ジョニー「チッ・・」
全てを紙一重で避ける軽装備美紅に舌打ちする重装備ジョニー。
『美紅ちゃん!チョーかわいいんですけどっ!!』
美紅「いいかげん攻撃をやめてもらえませんか?こっちは攻撃する気はないので!」
ジョニー「・・ハァハァ・・」
『美紅ちゃん、ふともも最高なんですけどっ!!』
必死でパンチを繰り出すジョニーだが、その全てが空振りになり息が徐々に上がってきていた。
『え?パレオ付きビキニにマントを着けた感じっ?!神様ありがとう!』
チヒロ「って、美紅ちゃんの動き速すぎっ!」
あおい「スピード特化型だからね!あ!そうそう!さっきの巨乳女がくれたのと銭湯で見つけたパーツ!」
と、美紅に攻撃が当たることはないと確信した美紅に化けたあおいは、握っていたパーツ3つをチヒロに手渡した。
チヒロは早速ブレスレットに近付けてみると
チヒロ「お!右に2つと左に1つくっついたぞ!」
あおい「・・・」
チヒロ「ん?何のパーツ?」
あおい「内部感覚強化と、視力強化外装、あと股関節強化外装だよ・・・」
チヒロ「お!それって今度こそ凄いんじゃないのか?」
あおい「う~ん・・現状、サングラスとパンツだけ着けた痛みに強い全身タイツ男だな・・」
チヒロ「ますます変態特化じゃねぇか・・・」
苦笑で終わる残念な結果に、拗ねてヤンキー座りをしたチヒロが美紅ちゃんとジョニーの方を見ると
ジョニー「ハァハァ・・・」
そろそろ体力に限界がきたのか、動きを止めて全身で呼吸をするジョニー。
攻めているはずなのに、何故かチヒロとあおいから少しずつ遠ざかっていき、いつのまにかかなり距離を取らされていることにようやく気が付いたジョニー。
ジョニー「off!」
装備を解除し、汗だくのハンサム外国人になると
ジョニー「た、試す様な・・ハァハァ・・事をして・・・悪かった!」
と、頭を下げて流暢な日本語を話してきた。
チヒロ「え?」
美紅「日本語話せるんじゃんっ!攻撃も当たらない様にしていたみたいだったし!」
あおい「・・・」
ジョニー「すまないっ・ハァ・まさか普通のジャパニーズだったとは思わなかったんだ」
チヒロ「普通に口で言ってますよね?通訳機が古かったってこと?」
ジョニー「1号機だからね・・だから最新のヤツを貸してくれって言うより、日本語なら話せ・・」
ジョニーが言い終わる前に我慢できなくなったあおいが
あおい「お前・・いや!お前達はなんなんだ?」
睨むあおいに、ジョニーも真顔になると
ジョニー「敵ではないよ!たぶんその逆だ!」
そう言われると同時に、チヒロの横に戻ってきていた軽装備美紅が、急に力が抜けたかの様に、チヒロに向かって倒れてきた。
チヒロ「み、美紅ちゃんっ?」
美紅「・・・」
ヤンキー座りをしていたせいで、顔面に美紅装備の直撃を覚悟したチヒロであったが
チヒロ「えっ?この装備、柔らかいんですけどっ!」
顔を美紅の胸装備に挟まれながら言った。
あおい「大丈夫!初めてで全力で動いたから、安心したら意識を失っちゃったんだよ」
チヒロ「美紅ちゃん・・・」
と、チヒロが美紅をおんぶして立ち上がると、美紅は意識がなくなったせいか装備が解除され、普通の姿に戻った。
ジョニー「本当にすまないことをした」
深々と頭を下げるジョニー
あおい「で、君は何者なんだ?旧型の改造品まで持っているなんて、只者ではないはずだが?」
睨むあおいに、ジョニーは顔を上げて真っ直ぐにあおいを見た。
ジョニー「・・君が異世界人かい?」
あおい「そうだ!」
ジョニー「君は?」
と、チヒロを見る。
ちひろ「オレ・・僕は緋色チヒロと言います。」
ジョニー「緋色?」
チヒロが名前を言うと、ジョニーの眉毛が少し上がった。
ジョニー「なるほど!そうか・・・」
ジョニーが、チヒロからあおいに視線を戻すと
ジョニー「奴らが来るんですね?」
あおい「・・・知っているのか?」
ジョニー「はい!私達はそんな時の為に準備をしてきました。」
あおい「旧型の部品を使って、強化スーツを作ったりか?」
ジョニー「はい。前回からずっと・・・」
あおい「そうか・・バラバラになったスーツを拾い忘れてたか・・」
ジョニー「そして今回は昨日怪しい反応があった地区を確認しに来ただけで・・」
あおい「僕が来た時だ・・・」
ジョニー「いいえ!他にも3箇所程」
あおい「3箇所?どういう事なんだ?」
ビービービービービー
突然、ジョニーの腕時計が鳴りだした
ジョニー「くそっ!時間切れか・・・」
あおい「ちょっと待ってくれっ!詳しく話をっ!」
ジョニー「今度はゆっくり上司を連れて話に来ます!こちらも聞きたいこ」
チヒロ「うわっ!」
眩い光と共に、ジョニーの姿は消えた。
あおい「瞬間転送か・・・」
美紅の姿のままのあおいは、ジョニーが立っていた場所を睨み続けていた。
チヒロ「なぁ?」
あおい「どうした?」
チヒロ「帰ろっか!聞きたいことだらけで訳わからんしっ!」
あおい「あぁ!でも、いいのか?」
チヒロ「ん?なにが?」
あおい「折角風呂上がりノーブラで大好きな美紅ちゃんをおんぶできてるのに!」
チヒロ「・・・心を読むなっ!」
そんな会話を、力の入らない身体で揺らされながら聞いている美紅であった。