『トゥインクルスター』
『さっきの関西弁巨乳お姉さんは、何者なんだろうか?』
『あおいもわからないらしいし・・・』
チヒロは、パーツがあると関西弁お姉さんにおしえられた銭湯の入口横で、お客さんの邪魔にならないように座り込みながら考え込んでいた。
あおいは、また美紅に化けて女湯に探しに行っている
『まぁいいか!明日になったらわかるって言ってたしな』
基本、あんまり考えない(考えたくない)性格のチヒロであった。
夕暮れて、薄暗くなり外灯がつきだした公園を眺めながら
『昨日からバタバタだな・・・突然、世界を守れって言われてもなぁ・・・』
『まぁ、美紅ちゃんのおっぱいが見れたからいいか!』
美紅おっぱいに負ける世界平和・・・
青少年チヒロの天秤なんて、所詮こんなものであった。
ニヤケたバカ顔を隠すように下を向いていたチヒロの視線に、かわいいサンダルが入ってきたので、顔を上げると美紅が立っていた
肩にかかるぐらいの髪が、濡れて艶めいている
チヒロ「は、早かったな!」
直視できずにオロオロするちひろ
チヒロ「と、とりあえず帰ろ!腹減ったし!」
立ち上がって美紅の横に並ぶと、どさくさに恋人繋ぎで手を繋ぐと、家に向かって歩きだした
美紅「・・・」
チヒロ「それで、パーツは見つかった?」
美紅「・・・」
チヒロ「どうした?見つからなかったのか?」
美紅「ぱ・・・」
チヒロ「ぱ?」
美紅「ぱ、パンツ・・・」
チヒロ「だから、ちゃんと美紅ちゃんに返すってさっきも言っただろっ!」
チヒロがそう言い終わるか終わらないかぐらいの時に、後ろから拗ねぎみの声で
美紅「おーい!先に帰るなよぉ~!」
と、美紅に化けたあおいが走ってきた
チヒロ「え?」
声に振り返り、2人に増えた美紅にフリーズするチヒロの横で、手を繋いでいる美紅が顔を真っ赤にしてプルプルと震えだした
美紅「ヒロぉ~っ!やっぱりヒロかぁ~っ!」
チヒロ「え?え?」
美紅「パンツ泥棒っ!」
チヒロ「ん?えっ?」
美紅「・・・もう怒りと恥ずかしさで泣きそう・・・」
チヒロ「ちょっ・・えっ?」
情緒がパニックになった美紅の横で、意味がわからず真っ白になっているチヒロ。
「ショウショウゴメンデゴザル!」
前から歩いてきた外国人男性は、突然立ち止まり2人に声をかけてきた。
服装はこんな街中に相応しくない軍服・・
誰が見ても怪しい雰囲気を醸し出していた。
あおい「ち、チヒロっ!!」
美紅とチヒロに追い付いた『美紅に化けたあおい』が身構えて言った
巨乳お姉さんの時よりも殺気立っている。
チヒロ「ちょっと今それどころじゃ・・」
と『美紅に化けたあおい』が睨む方を見ると、背の高い外国人が笑っていた。
ブロンズ短髪の白人男性・・
かなりのイケメン・・・
外国人イケメン「オヌシラ、ヨロシイデゴザルカ?」
美紅「ヒロ・・・」
チヒロ「・・・」
あおい「・・・」
外国人イケメン「オヌシラ、ソノ、ベニイロノイシハ、イズコデテニイレタデゴザルカ?」
『お主達、その紅色の石は、何処で手に入れたでござるか?』
チヒロ「・・・」
理解が少々遅れるチヒロ
それもそのはずである
昔の言葉はさておき、なにか違和感があるのである
外国人イケメン「ムムッ!コトバガワカランデゴザルカ?」
チヒロ「・・・口が合ってない・・・」
吹き替えされた洋画のように、口と言葉が合っていない
あおい「まさか・・・」
美紅「ヒロ、下がって!」
チヒロ「え?」
庇うように無理矢理前に出た美紅に押され、後ろに転びそうになるチヒロ
あおい「美紅!」
美紅「うん!」
チヒロ「え?」
身構える2人の美紅と、なにがなんだかわからないチヒロを睨んでいる外国人が
外国人イケメン「one!」
言うと同時に指を鳴らし、突然眩しい光に包まれた。
そして外国人イケメンは姿を変えた
外国人イケメン「セッシャ、ハナシガシタカッタダケデゴザル二・・・」
そこには、あまりスタイリッシュとは言えない、重々しい装備の『昔のヒーロー物に出てきそうなロボット』が立っていた
あおい「旧型の部品を改造したな・・・」
チヒロ「旧型?」
あおい「美紅!」
美紅「わかってる!」
チヒロ「はいぃ?全然わかりませんっ?!」
外国人イケメン「拙者、ジョニーと名乗る者でござる」
チヒロの脳内で漢字&ひらがな変換したと同時に走ってきた外国人イケメンのジョニーだが、やはり重装備なせいか、歩くよりかは早い程度の速度であった
美紅「ちょっ・・とぅ・トゥインクルスターっ!」
走り出したジョニーを見た美紅が、慌てながら照れくさそうに小声で言い光に包まれる
そこには今時のゲームに出てきそうな、大事な所だけを隠した、かなりスタイリッシュな純白軽装備の美紅が立っていた。