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プロローグ
歴史を見ていて、僕は時々想像する(妄想する?)。
ベリサリウスという将軍に興味を持って以来、この時代を小説にしたらきっと面白いと思った。
僕はそんな小説を探したが、なさそうだったのでウィキペディアの数倍は読み応えがある小説を作ってやろうと思った。有言実行となるかは読んで判断していただきたい。
煌々と輝く陽の下で砂塵が舞う。
西暦530年、東ローマ帝国領内、ササン朝ペルシアとの国境付近。ダラ要塞の正面にはササン朝ペルシア軍四万が布陣していた。対するダラ要塞の東ローマ帝国軍は二万五千。その指揮を取るのは弱冠25歳の司令官である。迫りくる敵と決戦の時を前に要塞内に緊張が走る。
「勝つぞ」
ただ一言、彼は呟いた。
後世に「大スキピオの再来」とも称されたベリサリウスの司令官としての最初の戦いが始まった。