第1話 さよなら地球
長編予定・初投稿です!
見にくい点やおかしな点があれば是非ご指摘のほどお願いします。
拙い部分が多いと思われますが温かい目で見ていてください。
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ドコォッ!!…トイレの中で鈍い音が響く。
「巳理愛さんが買ってこいって頼んだのはカレーパンじゃなくて焼きそばパンだよなぁ!!」
そう言って僕、伏見 一生を殴るのは大河 勝信というDQN男だ
大河は毒島 巳理亜という大企業の御令嬢の舎弟で毒島の命令に背いた者を制裁するのがこの男の役目だった。
「ごっ、ごめん…言われたパンはもう売り切れてて、それしか買えなかったんだ…」
「あぁ?だったら、巳理愛さんの為に他から奪ってでもとって来いや!!」
無茶苦茶なことを言って大河は殴る蹴るをまた繰り返す。
毒島とその取り巻きは笑いながら僕を見て止める様子はない。
「がはっ!うぐっ…ぁ…」
僕は大袈裟なリアクションをとりながら、ほとぼりが冷めるまで耐え続ける。
毒島の気分を良くするにはこれが一番いい。
僕が高校生活で学んだ事だ。
「はぁ…ほんとヘタレね。もういいわよ大河。」
「はいっ巳理愛さん!……今日はこれくらいで勘弁しといてやる。次違うもん買ってきたらぶっ殺すからな!」
そう言うと毒島達はトイレから出て行った。
「…………ちくしょう。」
急に涙が溢れてくる。
とっくに慣れたと思ってたイジメも止まらぬ涙と口から出た言葉に驚きを隠せなかった。
…トイレの中で僕の情けない泣き声がこだまする。
そしてそれがより一層心を惨めにさせた。
バタンッ!トイレのドアが開く音と共に2人の人影が見える。
大河が戻ってきたか?と一瞬身構えたがすぐにそれが杞憂だと分かる。
「一生!大丈夫ッ?!」そう声を掛けたのは
幼馴染の狐野 優香と草薙 天馬。
優香は学年でも1、2を争うほどの美貌とその優しさから男女隔てなく人気が高い。
メガネをかけたクールな天馬は成績運動共に学年トップの文武両道スーパー高校生。
2人とも僕には勿体ないくらいの親友だ。
僕がまだ正気を保ててるのはこの2人のおかげと言っても過言ではない。
「アイツら…酷いことをしやがる…。」天馬が吐き捨てるように言うと、
「先生に言いましょう!そうすればなんとかしてくれるはずです!」と優香が声を荒げて言う。
だけど僕は教師に期待していなかった。
前にイジメられている時に担任の教師とバッタリと出くわしたが、見て見ぬ振りをされたのを今でも覚えている。
「……ダメだ…教師は頼りにならない…。」そう言って僕は首を横に振る。
「……そうですか。」優香が悲しそうな顔をして言うと次の瞬間僕の手をギュッと握る。
「なら、私と天馬が一生のことを守り通します!もう一生に辛い思いなんてさせません!」
続いて天馬も、「一生。私も約束しよう。」
目の奥がジーンとなるのを感じる…。
このままだとまた泣きそうだったので、
無理やり感情を押し込めて立ち上がった。
(…この2人の前で情けなく泣く姿なんて見せたくない!)
(…このまま毒島の奴隷のままでいいのか?!)
僕は自問自答した。
そしてあることを決意する。
「優香!天馬!一緒に付いて来てくれないか?…今から僕は大河の元へ行ってくる!」
「ああ、勿論だとも。」「分かったわ!」
2人は口を揃えてそう言うと、自分はまた泣きそうになった。
…でも、もう泣かない。そう決めたんだ。
そうして、毒島の教室の前まで来た僕は勢いよくドアを開けた。
毒島は教室の中心で大河を含めた取り巻きと一緒にさっきの僕の事を馬鹿にしている。
そのことに憤りを感じたが、
今はその感情が自分の中の反撃の意思がまだ腐り切ってないことの証のようでむしろ冷静になることができた。
そんな事を考えている内にいつのまにか僕の身体は毒島の目の前まで来ていた。
毒島と取り巻きは何事かと皆、目を丸くして僕を見ている。
(…言うんだ!…変わるんだ!僕は!!)
反撃の第一声をあげようとした一生だったがそれは叶わぬ願いであった。
それは、
一生に覚悟が足りなかったからでも、
大河が有無を言わさず殴ったからでも、
間が悪く携帯が鳴ったからでもない。
──突如、足元に異世界召喚魔法の転送陣が浮かび上がったからである。
「「「「「うわああ!なんだこれえええ!!」」」」」
……ドシュンッ!
…………………残されたクラスメイト達は驚きの余り沈黙する。
…この日、ある高校で教室にいた5人の生徒がクラスメイトの目の前で忽然と姿を消したと大きなニュースになる。
しかし、それはまた別のお話…。
最初は主人公不遇です。