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7/7

7.最後のは趣味だ。

何故か速めに書けました。情報回です。

このままのペースで行きたい、でも多分ムリ。


あ、カムイのステータスとその上がり方を修正しました。気にしなくても話はわかるので、気になる方だけどうぞ。

 結局何も分からないまま眠り、朝になった。

 あの謎のフラッシュバックはその残滓を夢でも覗かせたが、特にそれが何か、という問いへの答えは何も示さなかった。


 寝ぼけ眼を擦りつつ、宿屋の食堂へ向かう。私は、朝はあまり強くないのだ。……眠い。


 しっかり目を覚ました後で、宿屋の主人の作る美味な朝食、パンとベーコンエッグという実にシンプルなものを食べつつ、今日は図書館へ行こう、と決める。私が何故か引き寄せられた──と思うが、真実は不明──セラス森林とそれに囲まれた湖について調べる予定だ。

 あと、神殿にも行く。今は既に失われたとは言え、〈異界神の加護〉が私にはあった。つまり地球には、恐らくはこの世界にも神々は実在するのだろう。何がわかるかはともかく、とりあえず調べられることは調べなければ。まだほんの数日、情報は全く足りていない。昨日は王都の外まで出かけてしまったが、先に情報収集を優先すべきだっただろうか?


「ではな、主人」

「ええ、行ってらっしゃいませ」


 相変わらず見た目と一致しない、主人の丁寧な喋り口調を聞きながら出発する。



◇◆◇



 まず向かうは図書館。すぐに入れればいいのだが、と思いつつ大通りを通って向かっていく。王都:イーアインはきちんと区画整理がなされているようで、迷う心配が殆どない。万が一迷っても、高くて目立つ、外壁もしくは中心に位置する神殿を目指せばどこかしらわかる場所に着く。プレイヤーを含め、初めての人でも安心だろう。利便性が高めなのは王都だからなのだろうか、という疑問を抱えつつ歩く。


 それはさておき、図書館へ。周りの人に場所を聞きながら目指す。そうして行ってみると、普通に開いていた。時間が無駄にならずに一安心。

 図書館は各階の天井が高い2階建て、本の日光による劣化を防ぐためか窓が少ない。全く無ければ暗くて灯り代がかさむだろうから、と思われる。他の建物と比較して何故か装飾が多いが、何か理由があるのだろうか?

 ともかく、中へ。


「いらっしゃいませ、初めての利用ですか?」

「ああ、説明を聞きたい」

「わかりました」


 中に入ると、入り口のドアの真正面に受付カウンターと思われる場所を発見、職員がいた。

 受付で凄く丁寧な女性職員に聞いたことをまとめると、


・入館料は500ゼナ

・図書館外への貸し出しは1冊2000ゼナ、また貴重なものは追加料金

・破れたり汚したりしたら弁償、値段は本による。

・館内で書き写す為のペン、紙は受付(ココ)で販売している。各500ゼナ。


 という感じだ。結構高いが、魔物が存在する等で大量生産が難しいのなら仕方がないだろう。その辺りの事情はよく知らないが。


 たまに職員の人に本棚を案内してもらいながら、本を物色。今日はほぼ一日こもる予定、とりあえず必要そうなものを中心に借り(あさ)る。たった一日では必要な情報を全て得られるとは思わないが、最低限なら可能だろう。

 にしても、この図書館には本が大量にある。まあ図書館に本が大量にあるのは当然のことだが、尋常ではないのだ。1階だけでも数十、或いは百を超えるのではと思われる程に本棚が立ち並び、その殆どがギッシリと詰まっている。その間を縫うように、まあまあ多くの人々が歩き回っている。

 軽く一通りは見たところで、館内に設置されている机と椅子につき、読む準備をする。


『神話と神々』『精霊族と精霊の差と関係』『魔物の進化と成長』『スキル大全』『魔術のナゼナニ』『〔祝福〕が私達に授けるモノ』『神々の御技とは』『セラス森林と湖の謎』『各国・各種族の名物料理』etc……。


 ……最後のは趣味だ。


 閑話休題(それはともかく)


 一応時間は沢山あるため、焦らずに熟読していく。まずは、『神話と神々』から。

 内容を要約すると、まず神々は【最高神 アークティルス】をトップに、【火戦神 カティス】【風巡神 サティル】【水癒神 ラティル】【木魔神 ナティル】【金創神 マティス】【土護神 ハティス】の主たる6柱の属性神がいて、その下に更に細かく枝分かれした神々がいるそうな。全て〝ティ〟がつくのは何故なのだろうか。

 それぞれ、【最高神 アークティルス】は中性的な美人(決まった性別を持たない)、【火戦神 カティス】は鎧のような戦装束を身に纏い大剣を携えた偉丈夫、【風巡神 サティル】は長い髪で踊り子のようなヒラヒラとした服の美女、【水癒神 ラティル】はおっとりとした優しそうな垂れ目の少女、【木魔神 ナティル】は杖を持ったふくよかな女性、【金創神 マティス】は鍛冶用ハンマーを片手に持った神経質そうな青年、【土護神 ハティス】は盾を片手に携えた厳格そうな老人、として描かれることが多いらしい。髪色や瞳の色は、各属性を象徴する色を使うことが(ほとん)どだそう。彼らはそれぞれの属性と事象を司り、管理しているそうだ。


 初めに混沌が渦巻き、そこから『始まりの神』とも呼ばれる【最高神 アークティルス】が生まれた。アークティルスは己が生まれてなお渦巻く混沌を1つの球へ整え、力を属性毎に分けた。分けたそれぞれから6柱の属性神が誕生し、それに連なる神々も現れた。神々は各々(おのおの)司るものを整え、足りなければ生み出し、世界は形作られた。

 簡単にまとめると、これがこの世界の創世神話だ。神話ではあるが、本当に『神々の話』であって創作ではないらしい。実在して、当時の英雄とかに〈加護〉を与えたりしたそうな。私はもう持ってはいないが、〈異界神の加護〉も渡界人(トラベラー)に与えられているしな、実在するのだろう。少なくともこの世界には。


 次は、『精霊族と精霊の差と関係』だ。

 『精霊族』は『(ヒト)種』の内の1種であり、『人種』には他に『人間族』『エルフ族』『ドワーフ族』『魔人族』等が含まれる。よくある「魔人族は悪の種族!」ということはないらしい。一応、注意点だな。

 『精霊族』は『人間族』と対になるような能力を持つ種族だそうで、精神·魔法寄りなのが精霊族、肉体·物理寄りなのが人間族なのだとか。見た目では判断できないらしい。

 そして『精霊』はほぼ、というか全く別の存在らしく、神々とは異なるが世界の管理に関わっているらしい。詳しくはわかっていないが、自然界の魔力が集まって生まれた『僅かに意思を持った魔力の塊』、らしい。純粋な力の結晶でもあるため、その力は随分と強いそうだ。人と契約を結んだりして、気紛れに力を貸すこともしばしば。その姿も千差万別らしく、人型も獣型も魚型も色々いるようだ。

 『精霊族』は、昔々に変わり者の精霊が『人間族』と交わった時、誕生したらしい。こちらも、詳しくはわかっていない。


 『魔物の進化と成長』では、魔物にみられる『進化』について書かれている。魔物は、スキルや個体差があるそうだが、一定のレベルに達すると見た目や能力が(いちじる)しく変化する『進化』が起きるらしい。ただし、レベルが上限に達しても進化できない個体等もいるらしく、詳しい条件の解明は研究中。

 例えば、代表的な進化をしたゴブリンは、


ゴブリン→ゴブリンウォリアー→ゴブリンナイト→ゴブリンジェネラル→ゴブリンキング


 といった感じのようだ。戦士(ウォリアー)騎士(ナイト)が並列していないあたり、ヒト種の職とは別物扱いのようだ。スキルによっては格闘系のゴブリンファイターや弓使いのゴブリンアーチャー、魔術を使うゴブリンメイジ等のバリエーションが生まれるらしい。キングまで到る個体は極々稀だそうな。仮にも(キング)なのだから、乱立しても困るが。


 『スキル大全』には、代表的なスキルやその進化先、派生先等が載っている。

 武器·武術系スキルは【〇〇】→【〇〇術】と進化することは確定。私の持っているスキルでは【刀】→【刀術】がまさしくこれに該当しているな。その後組み合わせによっては【〇〇術】となったスキルが複数で融合派生することがあるらしい。武器系スキル同士だけでなく、魔術系スキルとの融合派生もある。これが他のゲームや小説でいう〝魔法剣士〟的な戦い方をするためのスキルだろう。

 【〇〇】はLv.50、【〇〇術】はLv.100まで成長できるそうだ。更なる進化は特殊条件の突破等、より厳しい物であるらしい。当人の適性も関わるらしく、不透明な点も多いのだとか。

 魔術系スキルは【〇魔術】→【〇〇魔術】と名称がグレードアップ(例:【火魔術】→【火焔魔術】)する。こちらもレベルは武器·武術系スキルと同じく、【〇魔術】はLv.50、【〇〇魔術】はLv.100まで。【〇〇魔術】まで魔術系スキルを育てると、武器·武術系スキルとは少々違う形ではあるものの派生することもあるそうな。一部の魔術を使い続けたりしていると派生しやすいらしい。代表例は【水魔術】→【治癒術】や【土】→【重(重力操作系)魔術】など。更なる進化は武器·武術系スキルと同様。

 【調合】等の生産系スキルは、何をどう学んだかで進化先が結構バラバラになるらしい。【調合】からだと、【調剤】【調毒】【調薬】【錬金調合】等。始めのスキルは広く浅く、進化後は狭く深く、といったところだろう。

 進化可能な全系統のスキルにおいて、進化前のスキルも消える訳ではなく、統合されている状態になるので、別系統の進化先のスキルを複数取ることも可能だそうだ。

 他には、所謂(いわゆる)『必殺技』的なスキルもある。持っている人の絶対数が少ない上に、この手のスキルは広く公開すると危険なこともあるため、少なくともこの本にはほぼ載っていない。


 次は『魔術のナゼナニ』だ。

 ……読んでみたら、ジャンのところ(チュートリアル)で聞いた話、そしてさっきの『スキル大全』とあまり変わらなかった。残念。むしろ、こちらの方が小難しく分かり辛かった。一応〝術式〟が使われている、ということはわかった。タイトルの割に専門的な内容が載ってはいるけれど、確実に初心者には向いていない。

 と思ったらスキル【生活魔術】を発見、何故か読んだだけで取得。『種火』『消臭』等、本当に「日常生活で使うもの」のみピックアップされている。大半の消費魔力(MP)はたったの1、レベルが低くても使いやすい。特に(ホコリ)や汚れを落とす『洗浄』やコップ一杯程度の水を出す『飲料水』はとても便利。結構常用するだろうな。野営とか、不便な時使いまくる気がする。『洗浄』は例外的に消費は5だが、気にする程でもない。

 後で、一応ナギ達に教えておくか。

 あ、『照明』が昨日宿の庭を照らしてたものか、と見当をつける。夜の見張りとかでも重宝するのだろうな。


 『〔祝福〕が私達に授けるモノ』では、ステータスに表示される〔祝福〕について書かれている。

 〔祝福〕の効果は、まずステータスの上昇が挙げられる。授かった瞬間に上がるのではなく、授かった後にレベルアップする際、上がるらしい。

 また、それが属性神だった場合、その属性への親和率が上昇するそうな。具体的には、その属性の魔術の威力の向上やその属性を持つスキルの獲得難易度の低下等だ。属性神に連なる神々だった場合は、その神が司るものへの親和率が上昇する。

 渡界人(トラベラー)が持つ〈異界神の加護〉については触れられていない。過去に持っていた人物の絶対数が少ないことと、最近来はじめたプレイヤー達からの情報収集が足りていないことが主な理由だろう。プレイヤーは、〈異界神の加護〉の効果を殆ど知ることができないため、後者については無駄かもしれないが。ちなみに、〈異界神の加護〉のメインの効果は『死に戻りができること』である、とジャンに聞いた。


 『神々の御技とは』には、神々がした封印や結界についてのことが書かれている。世界の均衡を崩し、崩壊の危機に陥らせるような存在が現れ、それが地上の存在の手に負えない場合等に神々は降臨し、封印等を行うそうだ。可能な限りは〔祝福〕を与えた者に任せるが、それでもどうにもならない、ということもあるらしい。地上のその封印が解けないようにするための結界も同時に張るらしい。


 さて、今日のメイン、『セラス森林と湖の謎』だ。他の本も実質メインと言えるけども。

 セラス森林は、この国の王都:イーアインから見て北東に位置する森林である。例えるなら、虫眼鏡のような形をしている。柄を南西に、レンズを北東にして、そのレンズ部分が湖、といった状態だ。勿論、湖は全く円形ではないし、柄も歪んだ(いびつ)な形だが。

 こんな風に本になっている時点で分かっていたことではあるけれど、未だにセラス森林と湖には分かっていないことが多くあるらしい。

 湖や森がいつできたかは、本当に不明。湧き水かはたまた隕石か、それとも精霊の仕業か。まあ、精霊や神々にでも聞かない限り正確な理由は分からないだろうから、あまり気にしても仕方がなさそうだ。

 更に、湖の中央に何があるのか、はたまた何もないのかも不明であるらしい。舟や泳ぎで真っ直ぐ中央を目指してもいつの間にか進路がズレていたり、かといって魔術や魔物を使役して上空から偵察してみても特に何かがあるようには見えなかったり。

 気になっても、こんな小さなことに神々は基本答えてくれないだろう。世界の危機でも何でもない、ただの人々の興味なのだから。……多分。


 結局、この本では調べたかったことはほぼ分からなかった。残念。


 続いて、『各国・各種族の名物料理』。

 ふむふむ……。




◇◆◇



「あの~、そろそろ閉館時間なのですが……」

「ん? ああ、すまないな」


 気付けば既に日が暮れかかっている。……夢中になりすぎだろう、私。食いしん坊か。

 職員に促されるままに立ち上がると、背中がポキポキ鳴った。うん、こうなる前に気付け、私。


 外に出ると、多くの人々が家路を急いでいる。そろそろ夕飯の時間、そう意識すると途端に空腹が迫ってくるから不思議だ。昼食は抜いてしまった、とても悲しい。


 さて、今日は鍛練は無しでいいか。風呂は入るけど。

次回、セラス森林に向かう、かも?


他のファンタジー系作品を読んでる人は多分わかってるとは思いますけど、一応ステータスの説明をば。この世界での設定です。

どんなに極振りステータスを作ろうとしてもバグ的な挙動を探っても、0とか『最弱攻撃で一撃死』とか『武器当たってんのにダメージを与えられない貧弱筋力』とか『マイナスのMINでダメージヒール』とかはできません。


身体ステータス

MP:魔力量。1割を切ると【目眩】、5%を切ると【朦朧】、0になると【気絶】。

EP:氣力。1割を切ると物理ステータス(STR、VIT、AGI、DEX)半減、5%を切ると【虚脱】、0になると【気絶】。

STR:筋力。武器や素手で与えるダメージに関わる。

VIT:耐久。いわゆる防御力。受ける物理ダメージの減少と体力、身体系状態異常の抵抗に関わる。

AGI:素早さ。主に移動速度に関わる。

INT:知力。いわゆる魔法攻撃力兼魔法制御力。魔術、魔法系スキルで与えるダメージとファンブル(行使失敗)に関わる。

MIN:精神力。いわゆる魔法防御力。受ける魔術、魔法系ダメージと治癒系統スキルでの回復力、精神系状態異常の抵抗に関わる。

DEX:器用。正確な武器コントロールや生産系スキルでの成功率に関わる。一部の武器の攻撃力にも関わる。


武器の仕様

ATK:武器の攻撃力。身体ステータスとは干渉しない。

DEF:武器、防具の防御力。身体ステータスとは干渉しない。装備時、装備箇所のみ、数値分の防御力を得る。

MATK:武器の魔法攻撃力。装備時、数値分魔術、魔法の威力上昇。

MDEF:武器、防具の魔法防御力。装備時、装備箇所のみ数値分の魔術、魔法防御力を得る。

MCTL:武器、防具の魔法、魔術制御力の補助。【魔力操作】系スキルの補助でもある。

〇〇〇(ステータスのいずれか):装備時にステータス上昇。

《能力》:装備時のみ発動可能になる特殊スキル。

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