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4.んだよ、アイツ......


 その後も暫く、試し切りに試し蹴り、試し殴りに試し撃ち(雷魔術)等を行った。【竜転身】は使わなかったが。

 結果として、【始まりの竜刀】を用いた斬撃はすべて一撃必殺。狙いをズラして足や角に当てれば確定で切り飛ばす、他のスキルやアーツなしで。つまり、この辺りの適正値を遥かに超えている、ということだ。

 ついで、格闘。こちらも一撃で決着、当たり所が悪ければ瀕死。【発勁】込みならどの部位に当たっても確殺。

 【雷魔術】は、数撃を要した。【魔力精密操作】の有り無しでの威力の検証も出来た、基本良いことばかりだ。

 どの選択にしろ、結局ノーダメージで無双フィニッシュ。一応保険で購入したポーションは、ほぼムダとなった。

 まあ、初心者用の狩場なのだからそんなものだ、と思い直す。いずれ敵が強い所へいくのだ、動く相手に当てる訓練と思えばいい。スピードは遅かったが。


「……しまった、【糸】を忘れていた」


 便利ではあるが少々扱いが難しいため、忘れていた。正直、無くて絶対に困る、というものでもないからな。強いんだが。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【始まりの竜糸】  Rare6

 ATK 30 MCTL+15 INT+9 DEX+7 破壊不可 自動再生


《能力》

【竜髭糸】

 竜の強大な力を解放し、その力宿りし糸を放つ。

〔消費〕

 MP 2/S EP 2/S

 使用者が【竜戦士】、またはその系統職の場合のみ、発動可能


〈発動中〉

 ATK 60 MCTL+30 INT+9+[所持者のINT×1.5] DEX+7+[所持者のDEX×1.5] 破壊不可 自動再生

 アーツ『竜刃』『竜顎糸』『包囲竜陣』を発動可能となる


【???】

〈条件達成で解放〉

 ??? ???


《進化条件》

1.????

2.????


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 こちらも【始まりの竜刀】と同様に、【竜転身】を付与した際、変化(進化?)した。【始まりの糸】はATK 10、INT+3のみだった。やはり【竜転身】と【永続付与術】のコンボはチートレベルといえる。

 ちなみに《自動再生》は、徐々に武器の磨耗や刃こぼれ、最悪折れても元に戻る、修理要らずな能力である。糸の修理とはなんぞや、とは思うが。渡界人には今のところ私しかいないらしいが、糸使いは自分の武器の修理をどのようにするのだろうか?


 それはともかく、【始まりの竜糸】も基本一撃だった。それはもう、スッパリと。網にして絡め、叩きつけるもしくは蹴るのでは、数撃が必要だった。捕獲に便利だ。チュートリアル時にわかっていたことではあるが。


 そして、現在のステータス。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 《カムイ》


『精霊族』【竜戦士】

 Lv.1→6

 

 MP:986/1684

 EP:631/978


 STR:39→44⇒59⇨92

 VIT:32→37⇒42

 AGI:21→31⇒41⇨92

 INT:48→63⇒68

 MIN:39→54

 DEX:25→35⇨41


〔ユニークスキル〕

【竜転身 Lv.13→17】【永続付与術 Lv.5】


〔レアスキル〕

【竜力生成 Lv.9→25】【竜力操作 Lv.9→25】


〔スキル〕

【刀術 Lv.4→27】【糸術 Lv.2→23】【雷魔術 Lv.5→19】【梟の眼 Lv.8→37】【調合 Lv.1】【料理 Lv.1】【物品鑑定 Lv.5→7】【魔力探知 Lv.6→32】【氣力探知 Lv.6→32】【魔力精密操作 Lv.9→35】【氣力精密操作 Lv.11→37】【縫裁 Lv.11→23】【拳 Lv.41→50 Max】→【拳術 Lv.1→14】(STR+10 AGI+17 DEX+3)【蹴り Lv.34→50 Max】→【蹴術 Lv.1→16】(STR+17 AGI+10 DEX+3)【足運び Lv.33→50 Max】→【歩法 Lv.1→23】(AGI+24 STR+6)【発勁 Lv.11→25】【居合い Lv.17→31】【投げ Lv.24→26】


〔称号〕

渡界人(トラベラー)〉〈最初の竜戦士〉


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 レベルもスキルレベルもそれぞれ上がった。

 ステータスについては、スキル進化のせいでちょっとおかしな程に高いが、気にしてはいけない。『→』が種族としてのレベルアップ上昇分、『⇒』が職としてのレベルアップ上昇分、『⇨』がスキル進化上昇分、らしい(ヘルプ情報)。

 まあ、今日は動きをなぞっただけだが、ホーンラビット探しに師匠に習ったことをしていたら新しいスキルは手に入ったし、良いと思う。



◇◆◇



 という訳で早々に終了。王都へ戻る。


「1つ頼みがあるが、いいか?」

「……驚き過ぎてどうかなっちまいそうな俺らにできることならな。んだよ、引率要らねーじゃねーか……。あと、コッチにも予定はある」

「簡単だと思うがな。【始まり】の防具を集めてほしい、それだけだ。外套、手甲、脚甲の3つ、刀と軽鎧もあればそれが望ましいな。勿論報酬は払う。少々したいことがあるのでな。まあ、軽鎧と刀は無くても構わんが」


 やはり、【竜転身】と【永続付与術】のコンボ狙いだ。なんとなく判るのだが、【始まり】シリーズでないと【竜転身】が許容限界超え(キャパオーバー)になりそうだった。始めに着ていた服、革製の運動靴の2つも既に付与済み。元は【始まりの衣】と【始まりの靴】だった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【始まりの竜衣】  Rare6

 DEF 40 VIT+7 MIN+7 AGI+5 破壊不可 自動再生 回復強化


《能力》

【竜力衣】

 竜の力を常に発揮し、その力の衣を纏う。

〔消費〕

 MP 1/h EP 1/h

 使用者が【竜戦士】、またはその系統職の場合のみ常時発動

 他系統の職の場合、発動不可


〈常時発動〉

 DEF 80 VIT+7+[所持者のVIT] MIN+7+[所持者のMIN] AGI+7+[所持者のAGI] 破壊不可 自動再生 回復強化


【???】

〈条件達成で解放〉

 ??? ???


《進化条件》

1.????

2.????


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【始まりの竜靴】  Rare6

 DEF 25 ATK 25 AGI+10 DEX+5 破壊不可 自動再生


《能力》

【竜駆脚】

 竜の強大な力を解放し、空をも駆ける竜の脚を得る。

〔消費〕

 MP2/S EP2/S

 使用者が【竜戦士】、またはその系統職の場合のみ発動可能


〈発動中〉

 DEF 50 ATK 50 AGI+10+[所持者のAGI×1.5] DEX+5+[所持者のDEX×1.5] 破壊不可 自動再生

 『竜空歩(エアウォーク)』『竜水歩(アクアウォーク)』を発動可能となる


【???】

〈条件達成で解放〉

 ??? ???


《進化条件》

1.????

2.????


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 【竜衣】の方は、私にとっては未発動状態は無いのだから上段の性能標示は要らなくないか?と思ったり。

 見た目はどちらも【竜転身】時の私の鱗を艶消しにした色の白、金、青が配置されていて、上品かつ動きの邪魔にならない程度の飾りがなされている。金属部分──金属っぽく見えるが、違うような気もする──は私の鱗を削り出したような光沢も持っている。

 【竜衣】は上下セット。上半身は襟付き、うっすらと蒼みがかった白い生地とほぼ同色の糸でアラベスクのような模様がポイントポイントに刺繍され、金の糸でステッチが施された半袖シャツ。

 下半身は濃い蒼のシンプルなジーパンに似たデザイン。複数のポケットやベルトホルダーはおそらくメイン武器や短剣、投擲用ナイフなどを収納するためのものでもあるのだろう、と予想。どちらも、あまりゴテゴテした飾りなどが無いのは助かる。

 【始まりの竜靴】は、爪先、踵、足の甲、脛の一部を私の鱗で強化したような、膝下まである戦闘用ブーツ的なもの。

 ……見た目は完璧男装女子だが、比較的男物に近いため着なれてる感じだし、ひらひらよりよほどマシなので助かっている。やけに着心地も良いし洒落てるし、これは常に着る予定だ。普段着兼戦闘服。【永続付与術】をかけたらガッツリ形が変わったのは何故なのだろうか? ありがたいからいいけれど。


 元が服の【竜衣】ですら、恐らく下手な革鎧を軽く超える防御力があると思われる。ただ現状の〝普通〟を知らないので、確実な判断はできない。まあ、私は「当たらなければどうと言うことはない」を地でいくつもりのため、基本回避重視だが。

 しかも、【始まりの竜具】シリーズには全てに言えることだが、アーツや能力が物凄く低燃費なのだ。継戦能力がずば抜けている、とも言える。特に、【竜力衣】は自然回復で賄えてしまう程度でしかない。

 また、『竜空歩(エアウォーク)』はかなり助かる。ジャンのところ(チュートリアル)では魔力爆発と氣力爆発を使ったが、あれは操作をミスれば墜落するバクチに近いモノ。攻撃として使うならばまだしも──いや、敵の目の前で空振りとか全力で避けたいが──、たかが移動にバクチは避けたい。

 せっかくなら、【始まりの竜具】シリーズで一式揃えたいものだ。それが《進化条件》の可能性もあるしな。そうでないかも知れんが。


 ちなみに、【始まり】シリーズは最初の職とスキル選択の時に、関わりがあるものを得ているとチュートリアル担当から受け取れる。チュートリアルの受ける受けないは自由だが。

 武器防具のグレードアップ時には住人達が売っているものの方が性能が良いので、結局売り払う事が多いそうな。進化できた者はいない、とナギに聞いた。一ヶ月半、こちらの時間で半年近く経っているなら成し得た者もいそうなのだが。


「……それだけ、なのか? 初心者用の防具が要るなら店売りでよくないか? その方がマシなモンとかあるぞ、一番低レベル向けの所でも。まぁ、ステータス補正は無いけど」

「私にとってはその方が価値があるからな。【始まり】シリーズで頼む」

「……かなり情報貰ったし、それくらいなら構わねーよ。情報料ってことで、報酬は要らん。集まり次第カードで連絡するわ。要るのが外套、手甲、脚甲の三つ、無くてもいいのが刀と軽鎧、だな?」

「ああそうだ。連絡についてはわかった。ではな」


 私達はそう言って別れた。連絡は、登録しておいたならばいつでもカードでメールを送ることでつく、面倒にはなるまい。……こんな便利なモノが誰でも使えるのなら、文章を送る程度の通信機なぞ作って広めても誰も使うまい。


 それはさておき、私も行動を開始するか。




◇◆◇ナギ◇◆◇



「はぁ~……んだよ、アイツ……」


 俺は、ついため息が出てしまう。

 昔から色々する奴だとは思ってたが、今回はとびきりだ。ゲーム内とは言え、やらかし過ぎじゃねーかなぁ?



 アイツとは、高校くらいからの付き合いだ。

 カムイはほとんど何でもできる奴だった。出来てしまう、男だった。……ここでは女になったらしいが。

 出来てしまうために、いつもつまらなそうにして、何度も少し騒ぎを起こしていた。被害やその類いのものはゼロだったが、とにかくなにかしらをして、その度にガッカリした顔をして、


『……何なら、出来ない?何なら、失敗できる?』


 と、本当につまらなそうにポツリと言っていた。


 そしてもう1つ。──アイツは、いつも誰かを演じていた。


 アイツは、誰からの評価も良かった。……そう評価される、誰かを演じていたからだ。所謂『いい子』を演じていた。学校でも、俺以外に対してさえ。その演技のお蔭か、先に挙げた騒ぎにカムイが関わっているとバレたことはなかった、けどな。

 理由はよくは知らないけど、何故か俺には本音を打ち明けていたらしい。見た目はそうじゃないが塞ぎこんで、誰とも関わろうとしていなかったアイツに無理矢理話しかけていったのが良かったのかも知れない。

 それでも、心は晴れなかったらしい。



 ただ、アイツはこのゲームを始めて、少し変わった。軽いちょっかいを掛ければ当たり前のように怒り、呆れていた。チュートリアルで丸一日かかったのも、楽しかったからだろう、何があったのかは知らないけど。……今までには、あり得なかった反応だ。

 そう話しかけても、前は人前じゃ素の反応なんてほとんど見せなかった。


 カムイに、このゲームを勧めたのは俺だ。メールしかしてはいないが、暫く会っていなかった俺のオススメを素直に聞いてくれた。理由はわからんけども。

 今は誘って良かった、そう思う。ずっと連絡もとらずにきたが、一応は友達、だからな。


 ………照れ臭ぇ!


「うしっ、アイツのためだ、【始まり】の防具を揃えるかね!」

「ナギ!それよりカムイってどんな人なのさ! ねぇねぇ! あと顔赤いよ?」

「ひどくマイペース、とは思ったけども……よくわからない人、だったな。あと、凄かった」

「……教、えて?(首をこてんと傾げる)」

「出来れば、お願いしたいですね……」

「ああ、アイツのエピソードなら結構あるぞ? 例えばなー……」

「その前に! 何で顔赤いの?」

「だぁー! そこにゃ触れんな‼」


 恥ずいんだよ!!




◇◆◇



 私は今、料理ギルドの個人生産所にいる。一時間200ゼナで借りることができる、調理場だ。


 私はナギ達と別れた後冒険者ギルドに行き、ホーンラビットの素材を、肉以外売り払った。常時依頼として貼ってあったものでもあったので、ついでに達成。登録はステータスカードを受付に渡し、スキャンしてもらうだけ。楽で良いことだ。リアルでもこのくらい早ければ、行列なぞ起きまい。現物を持っていてそれを提出すれば達成したことになるため、受けていなくてもクリア可能、ありがたいことだ。まぁ、常時依頼に限ることだが。


 別に何も起こらなかった。何もな!

 ギルドといえばゲームや小説ではイベントが始まる代名詞っぽい所もあるが、そんなに早々と起こるものではあるまい。いずれあるかもしれんが、とりあえず放置で。今は換金所扱い。


 この世界には、多くのギルドがある。ギルドは、いわゆる互助組合というものだ。『冒険者』という採取も討伐も護衛もする何でも屋の冒険者ギルド。対人戦闘専門の傭兵ギルド。魔術を管理し、スキルや資格によって提供する魔術ギルド。商人達の情報交換や相場の確認、土地売買まで行う商人ギルド。鍛冶に細工、服飾に調薬等、生産をする人々達の各ギルド、等。それぞれ、依頼の斡旋や、生産職の人々のための作業場の貸し出し等、多岐にわたる支援等をしている。


 と、少々話はズレたので、戻そう。

 ともかく、幾ばくかのゼナ(お金)を得た所で、次は王都の八百屋、そして調味料を売っている店へ。醤油や味噌は見当たらなかったが、塩、胡椒、トマトらしき実で作られたケチャップっぽいソースを購入。マヨネーズもなかった。欲しければ作れ、とそういうことか?



 そして今。この調理場には包丁等もあるため、道具なしでも料理ができる。材料は持ち込みのみだが。


 さて、この世界で初めての料理だ、the 基本な、串焼きからいこうと思う。

 ホーンラビットの肉を一口大に切り、塩胡椒。置いてあった串に刺し、七輪で焦げないよう気を付けつつ焼き、完成。簡単。

 出来たのは《ホーンラビットの串焼き》、評価:4となっていた。

 この世界では料理等、生産品の評価は1~10となっており、料理ならば味や出来具合で上下する。最高評価は、勿論のこと10だ。失敗扱いは1~3、この範囲内だと『不味い』と感じる。7以上は大成功、その料理の範囲内で最高の味、だそうな。

 料理は、特殊な材料を使うとか、特殊な調理法をするとかでステータスの一時増強バフも出来るらしい、そこまで至ってみたい。


 ここのギルドでは、在庫があれば材料を買える。勿論少々高めだが、早めに欲しい時やここでの料理直前に不足に気付いた時などには重宝するだろう。

 カウンターの女性に今回はパスタを買いたい旨を伝え、購入する。現状趣味に走りまくっているため金欠、もう少し稼がねば。


 借りた調理場に戻り、今度はパスタを茹でる。塩胡椒、ケチャップっぽいソースは買ったが、一部の物は置いてあったため、使う事にする。茹でる鍋に塩を少し。アルデンテ程度で仕上げたパスタはザルにあげて湯切り、オリーブオイルっぽい油を絡ませておく。

 フライパンっぽい浅い鍋に油を入れて火にかけ馴染ませ、先程ミンチにしておいたホーンラビットの肉を炒める。そこへ玉ねぎのみじん切り、ケチャップっぽいソースを投入、ミートソースの完成。

 パスタにミートソースをかけ、リアルでもたまに作っていた、比較的お気に入りの料理の完成だ。雑かもだが、ガチ勢でない男料理なんてこんなものだと思う。これからは多少こだわる予定。


 完成品を【物品鑑定】で確認すると《ホーンラビット肉のミートソースパスタ》となっていた。評価は5、まずまずといった所か?

 時刻はちょうどお昼時、串焼きとパスタで腹を満たす。……結構美味しい。評価:10とはどんな味なのだろうか、今から楽しみである。

カムイは一人暮らしだったため、それなりに料理はできます。

ただ、作者が詳しくないのでそういう描写はおかしいかも知れません。

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