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自分を変えたモノ。
「本当に貴方は変わられましたね」
店主のその言葉に雨月は苦笑するより他になかった。
店主のその言葉に雨月は口が裂けても『そんなことはない』など言えず、だからと言って『そうだろう』と明言するのは妙に小恥ずかしかった。
それ故に雨月は苦笑するより他になかったのだ。
自分が変わったことは誰よりも自分がわかっているし、感じている。
そして、自分を変えたモノもわかっている。
雨月は小料理屋の座敷で気持ちよさそうに眠っている雪をやんわりとした目付きで見つめ見た。
「私が言った言葉を雪は勘違いしたようで」
店主のその言葉に雨月は小さな溜め息を吐き出し、雪に向けていたその視線を店主へと移し見た。
「ワザと勘違いをさせた・・・の間違いでしょう?」
雨月の言葉に店主はフッと笑むと小さな声で『そうですね』と呟いた。
焦れったいのは嫌いだ。
店主は心の内でそう呟き、座敷で眠っている雪へと目を向けた。




