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僕は捨てられた。けれど、僕は幸せだ。  作者: 小鳥遊 雪都
雪と店主。
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農作業

そんな様子のせつを店主は優しい清らかな声で呼び付けた。


せつは消えていた笑みを再び満面に浮かべるとどこか苦笑しているような店主に駆け寄った。


店主はせつの目線に合うように屈み込むといつもと変わらない温かな笑みを満面に滲ませた。


「店に戻りましょう」


店主の言葉にせつは小首を傾げ、小さな声で『あの・・・』と声を漏らした。

その続きを店主は急かすことなく自然な笑顔で待っている。


この人は本当に優しい人なんだとせつは心の内で呟き、途切れた言葉を拙い口調で紡ぎだした。


「僕ならまだ大丈夫ですから続きをさせて下さい。僕はまだ半分の種も蒔けていないので・・・」


せつのその言葉に店主はゆるゆると首を横に振り『戻りましょう』と再びせつを促した。


その言葉にせつは渋々頷き、自分で耕し、自分で種を蒔いた畑を見つめ見た。


それはせつにとってはじめての農作業だった。

うまくできたとは思わないし、店主に迷惑を掛けなかったと言うと嘘になる。


せつは何をするにも店主への確認が必要だった。

そんな自分が今更になって恥ずかしく、ひどくもどかしい。


「・・・ごめんなさい」


せつの謝罪に店主は少し慌てたように首を横に振り、せつの小さな頭を大きな手で優しく撫で付けた。

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