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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第八十八回


 ************   ************


「さてと、まあ、色々とみんな、やってくれるじゃない。」


 ヘレナが体内に戻ってきている弘子が、レッスン室でヴァイオリンを抱えながらつぶやいた。


「大方の動きは読めているわ。・・・しかし、どうも弘子の脳には解せぬ部分があるらしい。気が付いてはいたが、解明が出来ぬ。なぜじゃ? わしにわからぬところがあろうはずがないのじゃが・・・まあ、いいかあ! おおい、アニーさん!」


『はいはい。なんですか、ヘレナさん。』


「ねえ、あなた、何か隠してないかなあ?」


『まさか! そのようなことがあるわけがないでしょう。コンピューター、デスヨ、アニーハ・・・』


「またまた。おとぼけしてるわね。でもね。こうなると、信用できるのは自分だけだからね。ここが勝負どころなのよ。アニーさん。地球人類すべての『相互食料化』は必要なの。火星でのやり方とは違うわ。ブリューリは介入できないの。この先、この星が生き残るためにはね、絶対必要なの。間もなく金星人が帰って来るわ。ぐんと、パワーアップしてね。一方で、そうなれば、また『光人間』の再生が進むでしょう。火星人も、再興を目指している。これには、わたくしは、ともかく協力する責務があるわ。地球人が窮地に追いやられるのは、もう目前だからね。でもね、そこを打破してこそ、栄光の未来が来るわ。お互いが食料にしあえる状況にしなければ、持たなくなるの。それも、人口が維持可能なようにね。」


『あなたの研究は、進んでいるのですか? アニーには秘密の。』


「まね。大方ね。おっと、秘密は秘密ですわ。まだ、公開できませんわ。」


『いじわるですねぇ。あなたと、アニーの仲でしょう?』


「ほほほ。まね。まあ、もう少し我慢しなさい。いい、カイヤを自由にさせてるのには、それなりの理由がある。でも、時は来る。わたくしは、第3王女を自殺させることには、賛成はできないけれど、まあ、ほんの一瞬に、ことをかたずけなければならないわ。あなた、壊れないでね。いつかみたいにね。」


『はあ????いつの事だったかなあ???』


「まあ、コンピューターのくせに、またまた、おとぼけなんかして。ほほほ。そうだ、練習済んだら、ルイーザ様呼んで、お風呂にしよ~っと。それから、ちょっと、王国に行かなくっちゃね。」


『どうぞ、ご自由に。』


 広い練習室に、『しべこん』第1楽章の壮絶なカデンツァが鳴り響いた。



  **********   **********



 一方、『第2王女=地球帝国総統』も、忙しいスケジュールの合間を縫って、練習をしていた。


 カール・ニルセンの『ヴァイオリン協奏曲』である。


 ヘレナの分身に支配されてはいるが、自分の意思は堅持している。


 また、分身は音楽には介入して来ない。


「いよいよ、時が来ますわ。お姉さま。勝負ですわ。」


 最近、忙しすぎて、あまり練習が出来ていなかった。


 しかし、ヴァイオリンで、姉に負けるわけには、ゆかない。


 大人しく優雅なルイーザは、実は、元々、大変気が強く、闘争心も強い。


 冒頭の難所が、王宮に鳴り響いた。



 **********   **********



「いよいよですね、お師匠様。」


 弟子が言った。


「そうである。そなたにとっても、大きな節目になるであろう。第一王女様は、間もなく、お忍びでおいでになる。候補者を村からここに連れてまいれ!」


「はい。あの・・・」


「なんじゃ。」


「本当に、引退なさるお積りなのですか。」


「そうじゃ。いささか、長すぎたのじゃ。もう、休んでも良かろうて。」


「私は、まだ、経験が足りません。」


「皆そうなのじゃ。そこを乗り越えてこそ、大奉贄典への道が開かれるのじゃ。」


「やはり、『真の都』にお入りになるのですね。」


「そのつもりである。もちろん、今回失態があれば、許されまいが。」


「そのようなことは・・・、あってはなりません。」


「よく言うた。頑張るがよいぞ。」


「はい・・・・・」


 弟子は、しかし、いささか考えるところもあった。




 ************     ************

































































 ************   ************



「やましんさん。また、幸子が出なくなりました。ひど~~~い。準主人公でしょ。ぷんぷん。」


「いやあ・・・・・暑くてねぇ・・・」


「。。。。それ、関係あるんですか?」


 幸子さんが疑わし気に尋ねてきました。


「まあ、暑さというものはですね、人間の精神の制御を崩すのです。」


「もとから、崩れてるくせに。じゃあ・・・・氷をいっぱい、もってきましょう。南極あたりから。」


「あ。いや、いいです幸子さん。次、出しますから。ね。」


「ふうん・・・・・あやしい・・・・じゃあ、幸子も、いつでも、出せるようにお池に準備しましょう。」


「お池が凍りますよ。夏なのに。」



  *「しべこん」=シベリウスのヴァイオリン協奏曲。




  ************   ************




  












 



















































 




 









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