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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第八十七回



 ************   ************


「さて、核兵器の完全廃棄の準備は整ったであろうな。」


 地球皇帝ヘネシー(=タルレジャ王国第3王女)は、タルレジャ・タワーのコンピューター、カイヤに確認を求めた。


『準備は完了しました。総会での決議は、かなりもめましたが、やっと、この土曜日、と今、ようやく決まりました。日本合衆国の杖出首相も、あのような声明は出しましたが、最終的には賛成する決意をすでに、固めています。ただし、タルレジャ王国が、まだ態度を明らかにしていません。もちろん王国だけが棄権や反対をしても、決議は行われますが、印象は良くないでしょう。問題は、アニーです。第一王女様は表向きアニーにも核兵器の即解体指示を出してるようですが、カイヤは疑問を持っています。』


「わかっておる。姉上が良からぬ画策をしておるのであろう。困ったものじゃ。あれほど、わしの意向はご存知なのに、ここにきて、なぜ歯向かうのか分からぬ。あれほど、忠誠を誓うたのにじゃ。この王国は、第一王女さまのご意向がすべてじゃ。やむおえぬが、今回帰国した際に、帝国皇帝権限で、逮捕せねばなるまい。『背徳者』容疑でじゃが。」


『それで、上手く行きますか?』


「いや、それだけでうまくゆくとは思えぬな。」


『では、どうするご意向なのでしょうか?』


「そなたは、どう思うのか?」


『処刑するしか、ないでしょう。』


「ばかな。コンピューターとしては、ずいぶん思い切った事を言うのう。」


『計算によれば、それが最も高い確率で、王国があなたに従う結果をもたらします。ただし、第2王女様も粛清する必要がありますが。』


「バカを言うではない。わしは、そこまで考えてはおらぬ。そうではなく、あのフィアンセ二人を、確保するのじゃ。もちろん、いささか、非公式にじゃがのう。」


『それは・・・カイヤとしては、推奨できかねます。発覚したら、国際的に非難されます。』


「いや。わしの今後の方策からして、それしかないのじゃ。そこのつじつまは、そなたが付ければよいであろう。」


『カイヤにも、お話になっていない策略が、やはり、おありのようですね。』


「ならば、どうするのじゃ?」


『なにも。カイヤは、あなたの補佐コンピューターにすぎません。』


「そなた、あの、アニーとは繋がっておらぬと、わしに断言できるのか?」


『はい。間違いなく、アニーはカイヤに関与できません。』


「ふん。まあよい。時は来るのじゃ。第一王女の逮捕を指示する。貴国したら、すぐ確保せよ。」


『わかりました。』


「さらに、あの二人のフィアンセも、王国に着いたら、すぐここに送致せよ。」


『わかりました。婚約の儀は?』


「予定通り。行うつもりじゃ。第一王女様が、わしに協力を約束すれば、それでよい。そうして、核の完全廃棄を実施に移す。そうすれば、心残りなどない。」


『なるほど。』




  ************   ************



『解放してあげても、いいんだけどなあ・・・』


 あきらかに、聞き慣れた声のように聞こえる。


 しかし、それはどうも、音声ではないらしい。


 頭の中に、直接、響いて来る。 


「ヘレナだな。」


『そう。あなたの母。火星の女王。お久しぶりですね。』


「なんで、今時、出てくるの?」


『あら、ご挨拶ねぇ。助けてほしく、ないのかなぁ?』


「あやしいから。なに、たくらんでるの?」


『まあ、あなたこそ、ブリューリちゃんと仲良くしてるでしょう。もっとも、あいつも事実上、閉じ込められてるけどもね。地球の中心部に籠ってるわ。』


「だから、どうしたいのかと、聞いてるんだよ。」


『助けてあげる。協力しなさいな。いい、今のヘレナは、まっかな偽物よ。あれは、女王本体ではない。」


「む・・・でも・・・・、あんただって、そうなんだろう。」


『まあね。でもね、分身が生きる道というものを、ようやく発見したの。長い時間を要した。とはいえ、たかが2億年ちょっとだけどもね。いい?今のヘレナは、邪悪な存在よ。このままでは、地球人はもちろん餌食になるだろうけれど、火星の再興だって、潰されるわよ。ブリューリちゃんも、このところ改心したと言うか、正気を取り戻したようだし、ここは、一致団結しましょう。正しい宇宙を取り戻さなければ、ならないわ。あなた、それなりに、判ってるんでしょう? 『地球そのもの』とかいうおかしなのも、出て来てるし。あれ、あなたの子分?』


「違う。リリカは?」


『あの子は、あのヘレナに、コントロールされている。ちょっとすぐには解放できないわ。でもね、いい。『地球自身か・・』は、アリムとつるんでるのよ。知らなかったの?』


「いやあ・・・いずれ、あんたを信じろと言う方が、むりだよ。いまさら。」


『じゃあ、そこに、ずっといなさいな。ブリューリちゃんと、わたくしとでやるから。』


「ちょっと待て。話が混み入ってきているぞ。誰が誰の味方か、誰が正しいのか。見直さなくてはならない。」


『あなた、第3王女を殺すつもりでしょう。でも、それは間違ってる。なぜ、あの、アリムと組むの?』


「組んではない。活用してるだけだ。火星の再興のためだ。そのほうが早道と判断しただけだ。」


『お互いに、そう思っておいでのようだけどもね。全部、あのへレナのお役に立つだけよ。』


「とにかく、じゃあ、一旦、ここから出してくれ。そうしたら、考えるから。」


『いいでしょう。そこに戻すのも、簡単だしね。』




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