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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第七十四章

 ************   ************


「皆様には、これから交代で、タルレジャタワーの警備をしていただきます。お池の管理と両方なので、ますます、忙しくなりますよ。」


 アヤ姫様は、そう言ったのだ。


 「王宮は、昔からわたくしが警備に回っておりました。おかげさまで、幽霊伝説も出来ましたが、あれはいささか意図的でもありました。」


 「幽霊や化け物が出る場所は、かつては人が近づかぬものじゃったが、最近はなぜか人気があるものじゃからのう。」


 ジュウリ様が、微妙なコメントを付け加えた。


 「まあ、そうなのですが、でもね、・・・まあ、少し、いたずらでもあったのです。」


 「なあんだ!」


 幸子さんが、再び叫んだ。


 また、女神様たちの笑い声が上がった。


 「まあ、しかし、今回のタルレジャタワーに関しては、いたずらではございません。非常に真剣なお仕事なのです。そこは、お間違いのないように。幸子さま、いいですか?」


 「あ、はい。・・・・」


 幸子さんは、女王様とアヤ姫様には、非常に弱い。


 小さくかしこまって、答えたのである。


「この先は、おそらく女王様たちと、地球のミュータントやその仲間の人間たちとの争いが、長く続くことになるでしょう。わたくしは・・・人間やミュータントを敵視するつもりは、ございません。」


 アヤ姫様は、なぜか少しだけ、じっと考えていた。


「みな、同じ仲間です。もし、女王様の地球支配がなかったら、こうした争いは避けられたものかもしれません。しかし、このお陰で、大きな、世界を巻き込む戦争は起こら無くなります。つまり、いくらかの代償として考えなくてはなりません。わたくしたちは、その生い立ちからも、女王様の、お味方をする義務があります。よろしいですか?」


 女神様たちは、覚悟を決めたようにうなずいた。


 さすがの、ひょうきんものの幸子さんも、それに加わる以外には、手がなかったのである。



 ************   ************



 くっこたち、『東京紅バラ組』の組員は、本部に集合していた。


「いよいよ、わいらの仕事が本格的に始まる。もうすぐ、地球帝国の創立式典が行われるのは、みな知ってのとおりじゃ。わいらは、帝国の、陰の警備隊なのじゃ。」


 組長も、副組長も不在なのは、いつものことである。


 総リーダーは、この二人の『代理』であり、『紅バラ組』内では、大きな権限を持っていた。


 くっこ自身も、すっかり『紅バラ組』になじんでしまっていて、以前の面影は、まったく見られない。


 どう見ても、筋金入りの、ワル少女であった。


 しかも、このところ格闘技や拳闘技の鍛錬にも余念がなく、なぜだか、猛烈にその上達も早かった。


 彼女の体自体が、非常に頑健になっていた。


 筋肉も発達し、また素足でも、どんな場所でも平気に動けた。


 それは、タルレジャ王国の王女様たちと同様のものであった。


 靴を履かない分、動きに障害が起こらないのである。



 ************   ************



 一方で、『あんじ』も、進化し続けていた。


「あなた、すごく、能力、増したわね!」


 さすがのキャニアが、少し感嘆したように声を掛けた。


「まあ、本来の能力、高いからなあ。彼が、見込んだだけのことはあるか。」


 あんじは、強力な鋼鉄製の標的を、すべて意志力だけで粉砕してしまっていた。


「ときに、あなたのクラスメートなんだけどね、くっこさんという人。わかるよね。」


「ああ、まあ・・・・」


「お友達だったんでしょう?」


「まあ、たぶん。」


「ふうん。そう聞いてるわ。あのね、その子、『紅バラ組』に洗脳されて、組員になってるみたいなんだ。」


「ふうん。そう。」


「あなた、そう言うところが、あまり良くないんだなあ。もう少し心配しなさい。」


「そう。」


「ふうん・・・。で、助けたいとか、思わないの?」


「『紅バラ組』のことは、よく知らないから。」


「はあ、珍しい子ねえ。いいわ、教えてあげる。彼女たちが登場して、2年以上になる。東京中心に活躍する不良グループよ。でも、ただの不良じゃない。それは、今回、あの王女たちが世界支配を始めてはっきりしたの。彼女たちは、地球帝国側から特別待遇を与えれているらしいの。そうとしか考えられないの。何をしても、逮捕されないし、たまたま、拘束されたとしても、すぐにおとがめなしで、釈放される。何やら不思議な武器も携行している。普通なら許されないのにね。弱弱しい大人しい子だった女の子が、組員になると、急に体力もりもりになって性格も言葉遣いも変わってしまい、交戦的な不良戦士に変身する。裸足で街の中を走り回る。組織以外には、誰にも従わない。紅バラ組の『組長』は、なぞの少女だけれど、我々の集めた情報では、どうも、タルレジャ王国の王女様と、つながってるらしいの。」


「え? 弘子と、か?」


「うん。多分ね。」


 あんじは、無言になって、目をキット明けたまま、うつむいてしまった。


「あなた、なぞを解きたくない?」


「うん。気になる。」


「でしょう。お家に帰ってみない?」


「え? それは、いやだ。絶対に喧嘩するよ。危険だ。」


「そうか。ううん。そうだなあ。おとう様が、あの標的みたいになっても困るかなあ。」


 キャニアは、少し考えてから提案をした。


「じゃあ、一旦、我々の、東京のアジトに入りなさい。悪い場所じゃあないから。生活の面倒は見るわ。それで、『紅バラ組』を探ってほしいの。」


 アンジは、うなずいた。







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