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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第七十章


 **********   **********


 杖出首相は、タルレジャ王国国王との秘密会談に臨んでいた。


 秘密会談といえば、まったくそうなのであって、彼は例によって執務室からは、一歩も外に出ては、いなかったのである。


 そこは、また、あの不思議な保養施設のような感じだった。


 しかし、どうやらそうではないらしい。


 不思議な事に、非常に和風なスタイルである。


 ここは、かつての『温泉地球』であった。


 番頭さんが登場したのである。


「女将は、ちょっと不在ですが、今回は私が対応いたします。」



「実際、今度はここはどこかな?」

 首相が尋ねた。


「王国の北島諸島の中の小さな島ですよ。一般人は普通入れないのですがね。入れるのは北島の住民と王女様など王宮関係者だけです。」


「はあ。また北島ね。」


「まあ、ここが安全なんですよ。外からも見えないし。いま、国王様がいらっしゃいます。ご存知でしょうけれど、国王様の御姿を見たものは、ほとんど誰もおりません。ぼくも、ないですよ。声も聴くことはありませんが。なので、国王様は自然とここに現れます。ぼくは立ち会いませんから。世界の政治家でも、国王様を直に見るのはあなたが初めてでしょう。まあ、もっとも、国王になる以前の事は、話が違います。」


「ああ、わかっています。」


「じゃあ、少しお待ちください。」


 杖出首相は、もちろん一人である。


 このようなことは、通常はないことだ。


 安全上も、よくないことだ。


 まあ、ごく例外である。


 それにしても、豪華な部屋である。


 なにやら、見たこともないような変わった絵が、かかっている。


 ちょっと直視するのは、怖いような直感が働く感じの、危険な絵である。


 あきらかに、何かが人間を食べているのだ。


 少し動くような感じもする。


「悪趣味でしょう。」


 声がした。


 振り向くと、国王がいた。


「やあ、久しぶりだね。」


「まったく。」


 じつは、この二人、大学の同窓生なのであった。



 **********   **********



「いやあ、これはねえ、なんでも、火星の大画家が描いたものなんだそうだ。あまりに趣味が良くないから、ぼくはいやなんだがね、第一王女が、ここに展示させているらしい。3億年は前のものだよ。」


「はあ・・・・。3億年ってのは、どういう数字なんだろうか。いや、陛下、失礼いたしました。」


「ははは。まあ、よく言葉なんか覚えていたな、と言われると思っていたからね。まあ、かけてください、首相閣下。」


 ふたりは、豪華な椅子に腰かけた。


「実際に、3億年は経っているんだそうだ。地球の普通のキャンバスじゃあないし、絵具でもないらしい。

それに、この絵の表面空間は、時間が経過しないんだそうだ。」


「はあ? 時間が経過しない?」


「ああ、ぼくにも理解は出来ないが、この絵の存在する空間は時間が動かない。ありえないがね。」


「ふうん。実際、あの王女様は、君の子なのかい? 言い方が良くないが。」


「ははは、まあ、あなた以外はそんなこと聞かないよね。そうだよ、物理的には間違いない。」


「うん? なんだろう、それは。」


「あの子の中には、未知の何かが住んでいる。われわれには認知不能なものだ。」


「宇宙人とかか、それこそ、火星人とか?」


「まあ、いくらかは正解なんだろうが、火星でも、『いそうろう』だったらしいからね。もともとは、もっと別のところから来た。この宇宙じゃあない。多分ね。」


「・・・んなこと、信じられないよ。」


「うん。そうだよね。しかし、事実だよ。そこを踏まえて考えなければ、どうにもならないんだ。」


「君は、いや、あなたは、国王陛下、なぜ、地球上の『核の廃絶』に反対しているんだ?火星人に対抗するためだろう?」


「第一王女の意図だから。」


「はあ・・・・・? なんだい、それは。だって、核廃絶に積極的なのは二人の王女様だろう。それも実際に、火星人とかの意図でもありそうだ。地球人の牙を折る目的だろうがね。」


「そこは、正解。だから、第一王女は反対している。まあ、ぼくもね。」


「さっぱりわからない。」


「いいかい、第一王女という存在は、そう単純じゃない。第3王女が皇帝となり、第2王女が総督として、二人が地球に君臨するようにしているけれど、また、火星人ダレル将軍は、その二人を操っているのだけれど、他にも、いるのを忘れちゃいけない。」


「あの、リリカと言う女か?」


「ああ、まずは、そうですよ。彼女はあれ以来は、まったく表に出ないが、リリカと第一王女は深く繋がっていると思われるんだ。そうして、この二人の背後に『火星の女王』がある。まだ、正体は不明だけれども。」


「そこだよ、わからないのは。『女王』とはそもそも、誰?」


「知らないんだ。」


「はあ?」


「表向きは、第一王女の中にいる何者かが、『女王』そのもののようにもみえるが、それが正しいのかどうかは、かなりあやしい。ぼくはね、実はそうじゃないと思ってるんだ。【真の女王】は、他にいる。すべてを操っている。これを何とかしないと、地球は永遠に、征服されたままだよ。まあ、はっきり言ってしまえば、昔から支配されていたんだよ。地球はね。でも、いまのところ、どうにもしようがないんだ。ぼくらは、女王の掌の上で、遊ばされているだけだ。そこで、とりあえず、反抗をしてみるんだよ。試しにね。第一王女自身が実のところ自分の存在がなんなのかわかっていない、とぼくは見ている。だから、彼女の中身もいろいろと試してるんだ。自分が何かを探してるんだよ。推測だけど。」


「ううん・・・第一王女様の立ち位置が、さっぱりわからないよ。それは。敵?味方?」


「たぶん、両方さ。まったく、分からないんだ。まだね。でも、弘子は核廃絶に反対してほしいと言ってきた。ここだけの話だよ。もちろん。」


「ぼくは、賛成に転じた。これ以上反対したら、国が危ない。」


「自分が、だろう?」


「まあ、そうですがね・・・」


「それは、それでいいんだよ。ただ、ぼくは、まだ反対する。そこで、君に頼みがある。ぼくの立場を、少し背後からでも、理解する声明とかが欲しい。核廃絶は支持してくれて構わないし、地球帝国を支持したって良いが、何らかの応援が欲しんだ。影ながらね。」


「政治生命に、かかわりかねないな。」


「わかってるさ。やり方は、任せるから。火星人を、つまり、まずはダレル将軍を、少し混乱させたいんだ。ダレルとリリカは、必ずしも一体じゃあないと思う。そこを突っつきたいんだ。この二人を分断させるんだよ。このままでは、地球人はいつまでも被支配者だよ。まあ、それでも、よいのかもしれないがね。確かにそのほうが、平和になりそうだしな。」


「いや、良くないさ。よくない。みんな洗脳されてしまって、おかしくなってる。何とかしなくちゃならないとは思うんだ。ちょっと、考えさえてくれ。」


「ああ、いいとも。」





 ************   ************




 池の女神様たちは、みな、第一王女の秘蔵っ子である。


 それは、ヘレナの、ということだけれども。


 女神様たちにとって、ヘレナは常に、『女王様』である。


 幸子さんにとっても、そうだ。


 女王様が、一人かどうか、なんて、幸子さんは、考えたこともない。


 長い間、ずっとそうだった。


 それは、古墳時代にまで遡るのだ・・・・・




 ************   ************



「ううん・・・これなんか、すごいなあ。」


 中村教授がうなっている。


「こりゃあ、ピカピカだが、本物のギリシャの彫刻だなあ。」


 教授は、巨大な神像を見上げながら言った。


「贋作みたいな、模造品みたいな。出来立てと言うか。。。」


 住職もつぶやいた。


「迫力が違うよね。」


 解説によれば、世界各地の古代遺跡にあった、実物なんだそうである。


「信長のされこうべ、みたいですなあ。」


 住職が疑わしそうに、またつぶやいた。


「まあまあ、元々のここの、立地条件を考えてみてください。ご住職、嘘でありようがないでしょう。」


「教授は素直ですからな。」


「はあ・・・あなた、どっちの味方?」


「はあ・・・拙僧は、仏様の味方でございますぞ。」


「そりゃあどうも。向こうに、ほら、あちらに、また気になるものがありますなあ、あの丸い三角帽子。」


 教授は、中飛ばしにして、かなり向こう側に急いだ。


「ネムルト・ダー・・? ああ、トルコの遺跡ですかな。」


 住職は、やっとこさ、教授の後を追っかけた。




 ************   ************



























 

 



















































 









































 








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