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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第六十九章

 ************   ************


『我が民としては、非常に心配している。』


 『宇宙クジラ』が珍しく、内心を吐露するようなことを言った。


 『宇宙クジラ』の進出先は、特定はできていないものの、かなり広範囲にわたっていることだけは間違いが無い。


 警部「2051」も、遥かな昔に遥かな宇宙空間で出会ったことがあるくらいだから、その歴史は相当なものに違いがない。


『なにが、そんなに心配なのですかな?』


 警部2051は、試しに尋ねてみた。


『彼らの進化は予想以上に早く、急激だった。ここの環境が影響したのであろう。すでに、彼らは人類とは呼べない。』


『それは、どっち?』


『第2種の方である。最初の移住人類は住居が金星型の空中都市であったことから、比較的原形のままであった。』


『地上に降りて、分断が進んだか。』


『そう思うぞ。』


『で、心配な点とは、なに?』


『我が民の情報によると、すでに一部が『地球』に侵入した。』


『なんと。』


『彼らは、自分達こそが、地球人類の元祖であると考えている。また、地球は本来自分たちのものであるとも。』


『まあ、ありそうなことですなあ。』


『彼らは、地球を収奪する考えでいるものと、推量できるが、人類はまだ気が付いていない。警告をしたい気もするが、我が民はそうした行為を行うことはタブーである。』


『一切不干渉。観察するだけですかなあ。』


『まあ、そうだ。しかし、あなたなら可能であると思う。』


『ふん。なるほど。良い情報をありがとう、と言うところかな。これから地球に古い知人を訪ねに行くところだったから。』


『あなたの、もっと古い友人が、復活しているが、困難に陥っている。』


『なんと、あいつか?!』


『あなたの、同僚であり、捕獲の対象であったものだ。』


『女王に封じられてしまっていたはずだが。』


『再生している。しかし、苦悩にさいなまれている。』


『ふうん・・・・・それは、早くゆかねば。どこにいるんだろうか?』


『地球の、コアのほとりに。』


『また、やっかいな場所に行ったものだ。』


『データは差しあげよう。あなたの好きにしたらよい。』


『ありがとう。感謝しましょう。何が欲しいですか』


『地球の、『ラーメン』というものを。我が民は欲している。』


『おかしなことですな。相変わらず。どんなもの? まあ、いいですよ。その『ラーメン』とかいうお宝も、ついでに探してみよう。なに、ビュリアさんならば、すぐに見つけて出してくれるさ。』



 ************   ************



 女将さんは、番頭さんに連絡を取った。


『警部2051さんに連絡。ぜひ協力を依頼したい件がある。緊急空間トンネル通信をしてください。』


『お急ぎですか? 目下、帝国創立式典と、第1王女様と第2王女様の婚約の儀の準備でおおわらわです。』


『急ぎます。いつ地球に到着なのかも知りたいです。』


『じゃあ、そっちで話してください。回線をこのまま、そちらで開けるようにしますから。』


『お願い、番頭さん。頑張ってね。というか、第1王女様なら、いまここにいらっしゃるんだ。本体だけね。』


『おっと、訳アリと見た。じゃあ急ぎますから。』


「わたくしは、時間が無くなりそうです。この時空に留まれるエネルギーが、もう少なくなっています。」


「わかりました、女王様。急ぎます。」



 ************   ************



「るんるん、温泉は楽しみだなあ!!」


 警部2051は例の歌を歌っていた。


 そこに、地球からの通信が来たわけである。


「おやおや、これは、番頭さんですなあ。なあんと、懐かしい。信号を見てくれたんだ。いよいよ地球に近づいたと言うことか。よしよし。」


 警部2051は空間トンネル通信を開いた。


『はいはい。こちら2051』


『ああ、出た! こちら温泉地球の女将です。』


『おおお、女将さあん! なんと、お元気でしたかあ?』


『はいはい。それはもう、2億5千万何年か、生きておりますよ。急にすみませんが、地球においでになると言うことで、ちょっと、お願いがありましてね!』



 ************   ************


「総統。間もなく、最後の空間ジャンプを敢行いたします。上手く行けば、これで我が宇宙に帰れるはずです。」

 情報局長が言った。 


「そうか。長かったな。何年ぶりに帰れそうかな?」


「2億5千万年ですな。細かいところは、未確定です。ピンポイントにはなりません。誤差は1万年というところでしょうか。」


「いいさ、その程度、そう変わらないさ。」


「まあ、我々は、気が長くなってますからな。」


「一応、緊急臨戦態勢。」


「了解。」


 空中都市、約1000体が最終跳躍に臨もうとしていた。



 ************   ************


「なんと、来る! 来る! ついに来た!」


 デラベラリ先生がうめいた。


「来たか! ついに。」


「間違いないですな。この膨大なエネルギーは他にはない。空中都市が帰って来る。」


「よっしゃ、こんなところで永遠を過ごすなんて、もう、やなこった。嬢ちゃんを助けるぞ。おっと、あんたには、別の目標があったっけか。」


「それは、夢ですから。」


「いいさ、どうせすべて夢だ。こんな悪夢、もう終わりにしようぜ。アマンジャの『一の子分』はどうしてる?」


「くっついてます。あそこも執念深い。」


「よしよし、行こう。久っしぶりに、出迎えてやろう。」


「すぐ、闘うと?」


「いやいや、まずは交渉だ。新しい組合を作らなきゃあな。」


 マ・オ・ドクがほくそ笑んだ。


 2億5千万年ぶりの、不敵な笑顔だった。



 ************   ************



『ヘレナさん。』


「はいはい、なあに、アニーさん。」


『恐竜は、これで、なんとか全部、片付きましたが。』


「そう、やれやれねえ。よくもこんなに送り込んだもんだ。じゃあ、帰ろうか。弘子さんがちょっと心配だ。」


『あの、その前に。』


 アニーは、上手い具合に、時間稼ぎに出た。


「なによ。」


『来ましたよ。』


「うん? お、お、お・・・・・・感じるわ。来たか。『苦痛都市』め。」


『『空中都市』ですよ。これは、もうすぐ、現空間に出そうです。しかし、太陽系からは、ちょっと、はずれますね。でも、それは誤差の範囲です。上手くやりましたね。予想より少し早い。』


「そりゃあまあ、ヘレナリアちゃんが手助けしたんでしょうよ。」


『どの? ヘレナリアですか?』


「知るわけないでしょ。へレナのいるところには、ヘレナリアありだから。」


『まあ、どうせ昔、追放したんでしょ。』


「直接じゃあないわ。」


「ふうん・・・。あなたには。まだ、謎が多いからな。で、どうしますか?」


「まあ、まずは、ドクさまが応対するわ。わしは、それからで、よいじゃろうが。」


「ほう。」


「アマンジャ様の用意をしておく必要があるかなあ。」


「え?」


「いいわ、それは自分でやるからね。ちょっと、帰って来るわね。『真の都』に。」


『はああ、それはもう、どうぞ。どうぞ。ここは、おまかせ下さい。』


「なんか、あなた、うれしそうな。」


『アニーハ、コンピューターですよ。感情はナイデスカラ。ナイ。』


「ふうん、あやしい。ま、いいか。」


 ヘレナ本体は、そのまま『真の都』に向かった。



 ************   ************












 















































































































 










************   ************



「やましんさ~ん。どうですか~?調子は?」


 幸子さんが、ややこしい体操をしながら言いました。


「まあ、あまりよくないです。季節がうっとおしいです。」


「桜も咲いたし、あったかくなったし。いいじゃないですか。」


「おめ目はかゆいし、お鼻はじゅわじゅわするし、お口はカラカラだし、頭は悪いし、お外に出るのはうっとおしいし。」


「まあまあ、じゃあ、寝ましょう! 寝ましょう!」


「うん。そうする。」


「書くことだけは、ちゃんと書いておいてくださいな。次回は、幸子大活躍の巻ですよね!」


「あ、はい、前向きに考えてます。次次回かも。」


「まあ、そのくらいは、良いですけど。ぱわーあッぷした、・・・・・」


「あああ、はい。はい。なんとかしますから。」


「よしよし。では、お池に行って来ようっと。」


『・・・むむむ、ここで幸子さんに背を向けられると、ほんとに下手したら、孤独死だからな。なんとかしなくちゃね。』




   ******************
























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