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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第六十七章

 ************   ************


「ううん、そうだなあ、アニーさんが助けに入るか。確かに気にはなるんだ。あたくしだって、一応人間の端くれだからね。人類の滅亡という事態にはなってほしくはない、それじゃあ、生きてる意味が無くなっちまうからねえ。」


 女将さんはちょっと考えていた。


「あたくしのヘレナ様は、必ずしも人類の味方ではないの?」


『まあ、すぐに敵ではない。そうは、アニーも言えます。それ以上は計算不能です。ヘレナはアニーの誕生のはるか以前からこの宇宙にいました。その前には、異なる宇宙にいたと推定サレマス。また、将来、人類やアニーが存在不能になっても、滅びると言うことはないと考えられます。したがって、最終的に人類の味方なのかどうかの判断は、アニーには不可能です。』


「さっぱりわからないよアニーさん。でも、少なくとも、ヘレナはぼくには、人類の存在を否定する意図があるとは言わなかったけど、でも、ぼくは、味方だとは思ってもいないよ。むしろヘレナは、地球人類の征服者であって、味方じゃないよ。アニーさんは、なんで、ぼくらに味方するの?」

 シモンズがアニーに尋ねた。


 そこで、弘子が、話しに割って入ってきていた。


「その通りなのですが、ここは、時間の区切り方が問題なのです。どこを基準に考えるのかです。今のヘレナ様はすでに人類の敵対者です。わたくしの創造主は、それを、いま、解除したいのです。人類を解放するべきだと考えております。」


「ねえさん、それは、雪子と関係があるの?」

 弘志が、ようやく聞きたかったことを尋ねた。


「そこは、わかりません。正直なところは。しかし、雪ちゃん自身は、わたくしには何も言いません。」

「はあ・・・・」


「まあ、いろいろと事情が、輻輳はしているみたいですわねぇ。」

 女将さんがうなる様に言った。


『アニーには、善悪の判断はありません。先ほども言いましたように、指令をしてくるヘレナの階層が、すべての判断基準です。それは、アニーが自動的に認識します。』


「ちょっとまてよ、アニーさんを創ったのは、へレナなんだろう?」

『はい、そうです。』


「どの、ヘレナ?」


『さあ・・・・・そこは特に関係ないですからね。』


「・・・わかった。わかりました。」

 女将さんが、なにか、とてもすっきりとした、という感じで言った。


「え?わかったんですか?」

 シモンズがかなり驚いたように叫んだ。

 日本語が上手く通じていないよう、でもある。


「はい。わかりましたわ。宇宙警部さんに、連絡は致しましょう。で、事情をお話しいたします。そうして、何らかの捜査の上、回答を頂くことととしましょう。名案ですよね。きっとね。」


 残りの3人は顔を見合わせた。

 アニーも、気持ちの上では、同じ感じであった。



 ************   ************



 あれだけ、沢山出現していた恐竜たちは、すっかり片付けられてしまっていた。


 『紅バラ組』の組員たちは、周辺の情報収集に、文字通り、はだしで、走り回っていたのである。


 『夜の群団』というイメージが強い彼女たちではあるが、昼間はくっこのような高校生から、エリートOLまで、様々な顔を持っている。


 各自その場で、ぐれまくってはいるが、なぜか懲戒的な処分は受けない。


 おまけに、勉強も仕事も、これまでよりも、はるかに、やたらに、優秀になってしまっていた。


 そうしたものは、あっさりと、完璧に、かたずけてしまうのだ。


 知的な能力だけではなく、運動能力も人間の域をはるかに超えるような、超人クラスに達していた。


 学校の先生も、社長さんたちも、もはや相手にすら、ならなかったのである。


 くっこ自身も、自分がもう、これまでとはまったくの別人であると、はっきり認識できるくらいに、しっかり変わってきていたのである。


「おっどりゃあ、えーつら、どこから出てきやがったんじゃ。」


 くっこの手には、それまで見たこともないような機械が握られていた。


 さきほど集合した時に、チーフからもらったのである。


 彼女が探していたのは、空間の隙間、のようなものだった。


 恐竜たちは、この世界ではないところから運ばれてきたわけだ。


 過去からか、それとも他所の世界からか?


 空間の裂け目の痕跡が残っているはずである。


 そうしたら、その出発地点を探せるかもしれない。


 犯人の姿が、あるいはアジトのようなものが、浮かび上がる可能性がある。


 『紅バラ』たちは、人海戦術で、町中を細かく探索していたのだ。


 ちなみに『紅バラ組』は、もはや世界中に配置されている、巨大な闇の少女群団であった。


 だから、恐竜が現れた、地球上のいたるところで、同じ捜索が行われていた。



 一方、マツムラの研究所などは、地球規模の大きな検知装置で、同じことをやろうとしていた。


 さらに、アニーさんも、あちらこちらで、その強力な能力で、主犯を追っていた。


 しかし、犯人らしき者の陰は、なかなか浮かばなかったのである。



 ************   ************


 リリカは、さすがに、いささか呆れたり、あほらしくなってきたりもしてきていた。


「まったく、みなさま、勝手な事ばかり。もう少し協調ということが出来ないのでしょうか?」


「まったくです。リリカ様。」

 同じように、うんざりという顔でアリーシャが答えた。


「ダレルさんは、どうなってますか?」


「女王様に捕獲されて、どこかに投獄されているようですが、場所は未確認です。たぶん、他所の世界でしょうから、ちょっと見つけるのは無理ですね。」


「あらら。まあ、本人が良くないですねえ。わたくしたちにも隠れて、よからぬ計画を巡らせていたに違いないですから。まあ、大方、彼がやりたいことの想像はつきますが。」


「もうすぐに『祝典』ですが、女王様は、どうなさるのでしょうか?」


「ふうん・・・さあて。もう、そろそろ、お考えを聞いてみますか?」


「はい、」


 大きな角と牙を露わにした二人は、今、その姿を地球人が見たら、まさしく悪魔か魔女そのものに違いない。


 しかし、そこにアニーさんから連絡が入ったのである。


『はーい。お待たせしました。アニーです。女王様が、会議を開催しますから、ご出席ください。はい、データ送ります。じゃ!』


「おーい、アニーさん、何がどうなってるんですかあ?」

 リリカが空に向かって叫んだ。


『会議で説明しますから・・・じゃ・・・』


 ふたりは、再び、さらに呆れ顔になった。



 ************   ************



 ブリューリは、まだ地下に潜っていた。

 そこは、すでに地球の核に接している場所で、人間どもがやって来られるような場所ではない。

 愚かなアニーが見つけることも、まずできないだろう。

 

 とはいえ、ブリューリは、まったく思ってもいなかった禁断症状に突如として襲われていた。


 身体中がおかしい。

 体と言っても、彼の体には明確な区分はない。


 けれども、どこという事はなく、全てが異常だった。

 病気になることなどは、絶対ないはずの彼自身である。


 あまりの苦しさに、ブリューリは、ぐちゃぐちゃとよじれ続けていた。



 ************   ************



 『地球自身』は、宣言したとおりに、第三王女暗殺に乗り出していた。

 人任せにする気などは、まったくない。


 こういうことは、自分でやるものだ。


 『地球自身』は、もうすでに、タルレジャタワーに到着していた。


 この存在にとって、ここの警備などは、無いのと同じである。

 地球皇帝は、最上階にいる。


 エレベーターなどに乗る必要はない。


 『地球自身』は、気体になっていた。

 大気の中の移動も、自由自在である。


 どのような堅牢な建物にも、どこかには、隙間といものはあるものだ。

 でないと人間は最終的には窒息してしまうだろう。


 「ばかな人間たちだ。『地球』を甘く見るものではない。」


 そう、いくらか、自分に対しての奢りを感じながら、『地球自身』は入口を探った。



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