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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第六十二章

 ************   ************


 『接続者』は『地球そのもの』が一体誰なのかを、一生懸命に探していた。


 超プロ級のハッカー青年『でんちくん=レーダーさん』は、その中心人物だった。


「何か分かったべか?」


 『接続者』が、昔のC級 『BCLラジオ』をご機嫌にいじくりまわしている彼に尋ねたが、あっさりと首を横に振られてしまった。


「さっぱり。」

「はあ・・・そりゃあ困るべな。何か見つけてくれなきゃあ。テレビドラマなら、すぐに、何か見つかるべ。」


「まあ、そうは言われましても、相手は『地球そのもの』だからなあ、でっかすぎだな。おまけに、ここには、時間制限はないからさ。」


「この恐竜騒ぎも、『地球そのもの』のしわざだべか?」


「確証はないけど、ぼくはそう思うよ。でも、しっぽはまだ、掴めない。」


「恐竜なんだからさ、しっぽはあるでしょう?」


「まあね。まあ、辛抱強く待っててください。意外とそう言う存在は、すぐそばに居たりするもんだ。」


「まじにですか?」


「そうそう。」


「君、本当のところ、何か掴んでっぺ? 王女様は、すでに恐竜の回収作業に入っているしさ。」


「まだ、ないしょ。」


「あ、そ。もしかして、仲間内? だったりする?」


「ざんねん。それは、どうやら、なさそうだね。」


「ふう・・・・しゃべってほしいなあ・・・」


「強制しますか。あんたなら、できる。」


 『接続者』は、レーダーさんを、睨みつけた。


 普段の彼には見られない、強力で険悪で、この世のものではない目つきになった。


 しかし・・・結局、ここは一旦我慢することにしたのだった。


「内輪もめは、いやだっぺ。まあ、また、ここに来るさ。明日ね。」


「あいよ。」


 レーダーくんは、C級ラジオのスピーカーを本体から外した。



 **********   **********



 恐竜たちは、30分もかからないうちに、みな、アブラシオの中に収容されてしまったのだ。


 世界中の人々が、この様子をテレビ中継で眺めていたのである。


『お姉さま、これ、どうするんですか?』


『飼う!』


『はあ? 飼うって、どこで?』


『ふふん。あなた、あの映画知ってるでしょう?』


『『ダイナソー・パーク』ですか?』


『そう。わたくしの『地獄』の中に、似たような施設を作るの。まあ、いまでも『地獄パーク』には、いくらかの恐竜はいるけど、今度はもっと本格的にやる。わたくしの会社で、『地獄』まで直通バスを通して、観光客を集めるの。たっぷり儲かるわ。映画と違って、脱走の危険もない。だって、周囲は次元の隙間。落っこちたら、永遠に彷徨うだけ。あなた協力しなさい。』


『はあ・・・』


『独裁が成功するには、それなりの、『超ド級』の娯楽が必要なの。全地球を支配するなら、それこそ、ちゃちなものではダメよ。全人類が度肝を抜かれるようなものでなくてはね。そのためには、まずは『宇宙』。それから『過去』よ。特に恐竜ですわ。そのあたりの施設は、こちらで提供してあげるあから、あなたはそれを支える制度を、ちゃんと作りなさいな。『地球そのもの』さんは、良いものを提供してくれましたわ。感謝です。』


『『地球その者』さんって、いったいどなたですの?』


『知らないわ。』


『本当に?・・・ですか。』


『はい~。まあ、ミュータントの親玉なんだろうけど、正体はまだ見せていないわ。わたくしの前に現れる勇気もないと見た。おどりゃあ、てめぇ、わいをなめとるんかあ! という感じですの。まあ、遠からず引っ張り出して差し上げますことよ。おほほほほほほ!!』


『あの・・・、皇帝陛下には?』


『お教え、差し上げなさいまし。ダレルちゃんがいなくなって、さぞかし、お困りでしょう。アリムさんもね。』



 ************   ************



 アリム=ジャヌアンは、確かにイラついていた。


 どうも、うまくない。


 このままでは、『地球帝国成立記念式典』において、第三王女がきちんと自決したとしても、事がうまくゆく可能性が低くなってきている。


 少なくとも第二王女が、こちらでコントロールできていなければ、第一王女自身が皇帝に就任するかどうかは全く怪しくなる。彼女は過去を知ってしまっているから、そこに乗るなんて考える方がどうかしている。


 『地球そのもの』なんて、信じた方がバカだった。


 単なる『道化』に過ぎなかったらしい。


 まあ、過去の世界から大量の恐竜を動員したのは面白かったが、でも、それだけだ。


  ***   ***


「これなんですか?意味ないじゃない」


 アリム=ジャヌアンはなじった。


 しかし、『地球そのもの』は軽く答えた。


「仕掛けをしたのだ。本番はこれからだ。じっくり楽しんでもらおうか。」


「よく言うわ。もう時間がない。ゆっくりなんかしてられない。あんたなんかに協力を頼むんじゃなかったわよ。」


「ははは。まあ、見ているがいい。あんたはあんたで、策をコネレばよいではないか。人任せにするものではないぞ。」


「むむ。いいわ、そうするわ。」


「ははは、その意気であるぞ。」


「いっとくけれど、私には責任がある。お遊びじゃない。未来の多くの人たちの、その未来がかかっているの。」


「ほう。それにしちゃあ、何もしてないな。第三王女くらい、さっさと始末すればよい。ただの人間ではないか。あのダレルとかという火星人と協調する理由など、もう、なくなったであろう。すでにブリューリは、裏切っている。あいつは長い年月の中で、さらに変貌してきているのだ。あいつは、もう自分独自の考えで動いている。はるかな過去の記憶が蘇ってきているぞ。ダレルは、そこを見誤った。」


「やれるんだったら、やってみなさいよ。じゃあ。」


「よかろう、では、今夜、暗殺する。あっと言う間だ。」



 **********   **********



 ブリューリは、深い闇の中で、じっと考えていた。


「自分は、いったい何をしてきたのだろうか?」


 火星で行った、大量殺りくについて、思い出していた。


「人間を、食べたかった。それだけだ。仲間を増やしたかった。どこまでも・・・しかし、なぜ、そうなったのか? そこが、よくわからない。」


 彼は、自分がどこからやって来たかを思い出そうとしていた。


「ブリューリになる前は、自分はいったい、何だったのだろうか?」


 もう、長い長い間、そんなことは考えたこともなかった。


 液体状の彼は、身もだえしながら、記憶をひねり出そうとしていた。


 恐ろしい苦痛が、ブリューリに襲い掛かってきた。


 ************   ************










 ************   ************



「やましんさん、バッハはいかがでしたか?」


 お池から帰っていた幸子さんが、やんわりと尋ねてきました。


「まあ、良かったです。」


「それは、よかったですね~。では、今度は、やっと幸子の登場ですね。女王様の『地獄』が出てきたから、きっと次回あたりは、幸子がかっこよく登場しますね!」


「はあ、まあ、そうかなあ・・・ははは。」


「少なくとも、次の次くらいには、そうなるのでしょう?」


「まあ、ははは、うん。お楽しみにね!」


「強化された、『お饅頭嵐』を、お見舞いしましょうか? 生きていられるのも、今の内かも。」


「あああ、いや、真剣に再検討いたします。資料を再精査いたしまして、ご報告いたします。」


「ふん!! まあ、いいでしょう。」



 ************   ************
















































 




 


 












 


 


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