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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第五章 

 

 ダレルとソーは、月の裏側に連れて来られた。

「まあ、お久しぶりな事ですわ。直接お目にかかるのはですけれど、何億年ぶりかしら。全くお変りもなくお元気そうですわね。」

 弘子は皮肉たっぷりに言った。

「さて、二億年くらいじゃないですか。確か。あなたは随分小さくなりましたね。今でも、角や牙は持ってるのですか?」

「まあ、出そうと思えば出せるけど、それは今の世界では必要がないの。」

「ほう。昔はよく、叱られたものですがね。」

「『時世時節』だわ。」

「ふうん。でも、妹さんたちには出してもらいますよ。セレモニーではね。地球人と火星人が同化する証拠にね。」

「その前に、あなたの処分を考えなければ。わたくしを殺そうとした。」

「ばかな、女王様は殺せない。リリカさん二人もね。殺せないものに対して攻撃したって罪にはならない。」

「分かって言ってるくせに。言い訳にもならないわ、なぜ、あんな事したのよ?」

「黙秘します。」

「ほう?それで、無事に済むと思うの?」

「あなたは、僕がいないと困るはずだ。いろいろとね。」

「ふうん。相当自信があると見えるわね。」

「だって、皇帝陛下のマインドコントロールを指示したのは、あなただ。」

「あんなブレスレットを作るようには言いませんでしたよ。」

「だから、さっきも言ったけれど、あれはサービスです。双子の妹さんが手に負えなくなったら困るでしょう?」

「うそばっかり、私にもはめさせる魂胆だったことは、ちゃんと分かってます。アニーの記録を確認しました。コントロールしているつもりなんだろうけど、わたくしだって、大昔の失敗を繰り返さないように、安全の確保は二重三重に図ってますのよ。アニーは今、自由意志を停止させて、わたくしが確保しています。」

「おやおや。まあ、そうだとは思ったけれどね。あれはまあ、お楽しみという事ですよ。」

「どうやったのか、言いなさい。」

「いやねえ。それこそ、その大昔の事ですが、ジャヌアンがいたでしょう。」

「ええ、まさに、今この世界にいますよ。二億五千万年前に会う、その前の彼女がね。」

「ああ、そうですよね。彼女がその技術を置いていってくれたんですよ。だから、今、アニーは危ないですよ。でも、ぼくがジャヌアンが介入できないように手を打っておきました。だから、もう大丈夫です。少しだけ、遊ばせてもらっただけです。感謝してほしいなあ。あなたは、そこんとこ、注意を怠っていた。」

「むむむ・・・あやしい・・・でも、確かにそうね。・・・じゃあ、なんでわたくしも、支配しようとしたの?」

「そりゃあまあ、そのほうが、色々とやり易いから。でも、諦めました。あなたには勝てないです。やっぱり。」

「なんと、虫のいい言い草。やはり許しがたい。道子の腕輪を外しなさい。あの子一体どうなってるの?」

「どうなってるの?と言えば、ぼくの命令にしたがいますよ、皇帝の命令にもね。あなたの命令にも素直に従うようにも、先ほど捕まる直前に追加指示しました。本当です、ほら、ソーに聞いてください。」

「ああ、それは事実です。そのように、命令されました。誓って言います。」

 ソーが答えた。

「誰に誓って言うの?」

「あなたにです。」

「ふうん。ソーさんが昔のままならば、信じるけれど、怪しいモノね。じゃあ、あの子の腕輪を外しなさい。」

「できません。」

「はあ?」

「はめる技術は作りましたが、外すことは考えていなかった。」

「ばかな。あり得ない。」

「でも、そうです。あいつは、生きている腕輪です。一度人間の体に同化したら、外せない。切り離せば別ですよ。でも、楽器は出来なくなりますなあ。」

「よく言うわ。二人とも監禁。ここから絶対に出さないわ。腕輪を外すまではね。外部との通信はすべて遮断するわ。リリカさんの長年にわたる研究を侮ってはならないわよ。どんな通信も利かないわ。」

「帝国の創立に支障をきたしますよ。ぼくたちがいないと。様々なシステムが動かない。」

「それは事実です。かなり、任せてますから。」

 リリカ(本体)が言った。

「いいわよ。強行すればいい。ジャヌアンさんは、第三王女の命を狙って来る。そこはわかっているわ。ばっちり逮捕する。動きも完璧に掴んでる。あなたとつるんでいる可能性もある。まあ、時間を掛けて見極めましょう。道子の腕輪は外して見せるわ。あなたの泣き顔が楽しみ。ふんふん(♪)ほら、監禁!」

「早く捕まえた方が良いですよ。そうそう、もうすぐ皇帝が逮捕するんじゃないかと・・・」

 二人の座っていたあたりは、床の中に消えていった。


「まあ、でも困ったなあ。アニーさんの制御は掴んだけれど、道子は困った。何だろう、あれは?」

「よく調べて、取り外し方法を見つけます。」

 リリカ(複写)が答えた。

「ええ、そうね。」

「女王様は、地球にはすぐにお戻りにはならない方が良いでしょう。」

「道子の動きが心配だ。接触したいが、藪蛇になるかもしれない。ジャヌアンの事もね。下手に動くとかえって危ないのに。ああ、ほらほら、呼び掛けて来てるわ。強力な思念ね。普通の人なら、即絶倒だわ。私が与えた力よりも強い。もう、うるさいくらい。『お姉さま、返事しなさい。総督命令ですよ。』だって、ああ、どんどん強くなる。拒否。拒否。」

「大丈夫ですか?」

「まあ、わたくしだからね。でも、この能力は、どうやら、腕輪に挑発されてる感じがする。まてよ。これ何かに似てるなあ。」

「え?」

 リリカ二人が同時につぶやいた。

「もう、絶対に忘れられないものよ。これ、ブリューリの思念によく似ている。『わたくし』は、これにずっと操られていた。でも、今は影響を受けていない。読めたわ。」

「読めましたか?」

 リリカ(複写)が尋ねた。

「ええ、読めた。わたくしは、ここに来る前に「抗ブリューリ予防薬」の再投与をした。道子は、多分、まだしていなかった。効果が薄くなってきていた。」

「ブリューリですか?」

「そう、どうやったのか分からないけれど、『生きた腕輪』とか言ってたでしょう?」

「ええ、そうですね。」

「腕輪は、一種のブリューリなんだろう、と。マンガみたいな推測だけど。」

「はあ・・・じゃあ、どうすれば?」

「そこ、ちょっと研究してみてくれないかな。リリカさん。大至急で。」

「はい、わかりました。」

「道子を監禁するのは、なかなか難しいけれど、自宅に誘導しましょう。こういう時は、古典的なメールが一番よね。あの子の大好きなお部屋に、閉じ込めますか・・・。演奏会とセレモニーに間に合えばいいけれどなあ・・・」



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