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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第ニ十五章


「異常ありません。洋子さんはそれなりにノーマルで、ブリューリではありません。」

 アニーが宣言した。

「ふう・・・・」

「やれやれですわー・・」

 双子が座り込んだ。

「気が済みましたか?」

 その様子を見ながら洋子が尋ねた。

「よかったです。」

 弘子が答えた。

「さあ、そうなると、しかしどうなのでしょうか?アニーさん、お家の中を徹底的に点検しなさい。地下も天井裏もゴミ箱の中もね。兄弟姉妹の方達も。それと、会社の中もね。いいですね?お姉さま。」

「あなた、ほんとに鬼みたいな子ね。」

「鬼ですもの。まあ、お姉さま、これは地球全体の問題なのです。ブリューリは退治可能にはなったけど、相手はずるがしこいわ。そう簡単には正体を現さないでしょう。それに・・・」

「それに?」

 道子が、不思議そうに聞き返した。

「まあ、ダレルちゃんが怪しいわねえ。絶対に何か知ってる。でもこの間会った時には、確かに特に異常な気配はなかったけれど、やってることは、明らかに変よね。あなただって、一時操られたのですから、十分に注意が必要です。」

「帝国創立セレモニーには、現れるのでしょうか?」

「まあ、そうだと思うな。」

「女王様は、彼に何かのペナルティーを課す気はないのかしら?」

「それは、まあ、まずは総督閣下が、ダレルちゃんにきちんと事情を確認する事ね。ただし、皇帝陛下がそんなことに同意するかしら?彼は、皇帝陛下に何かさせようとしているんだとは思うけど、なかなか白状はしないでしょう。」

「いやあ、それは、やはりないでしょうねえ。」

「まあね。ならば、やはり、まずは、あなたが出てゆかなければ。とっても危険ではあるけども。よく注意してね。」

「ええ、でも、とりあえずやってみます。けじめは必要ですから。」

「そうなのよ。まあ、女王が彼をどうするかは、少し考える。まずはダレルちゃんを見つけて、それと、にっくきブリューリを発見することに、わたくしは力を入れます。洋子お姉さま、ご協力いただけますわよね。」

「それはまあ、もちろん。」

「よかった。じゃあ、お姉様、おじゃましました。ご飯にしましょう。総督閣下さま。」

「はい、お姉さま。オムライスが良いですわ。」

「まあまあ、急に言って大丈夫かな。『レジェンド料理長』が怒るわよ、きっと。」


 **********   **********


「むむむ、こいつはどこに行くつもりか?」

 シモンズは、アンジの行く先を突き止めようとしていた。

「まあ、ヘレナから聞いた話では、こいつミュータント化しているらしい。ぼくとしては、その反体制組織に興味津々だよね。虎穴に入らずんば虎子を得ず。あえて無茶やって見なくちゃ何も得られないっ、てことだよな。あら、消えた。ふうむ、なんだろう? まてよ、どこに行ったのかな。・・・ あ、いた、捕まえた。なんと、北海道だと? 瞬間移動ってやつか。さっき弘子さんからもらった機械が、そのような機能をするらしいが、こいつ、そうした能力もあるのかな。」



 アンジは、札幌の街の中にいた。

 不思議な男が一緒にいる。

 ふたりは、繁華街から横道に逸れて、どこかの建物に消えて行った。


 **********   **********


「さて、皇帝陛下。」

 幻影のダレルが現れていた。

「なんじゃ?ダレル将軍。」

 第一タルレジャタワーの頂上にある、皇帝専用の祭司場に、ヘネシー皇帝はいた。

「地球帝国創立セレモニーで、自決するように申し上げましたが。」

「わかっておる。」

「よろしい。しかし、私は、あなたに、ただ死んでほしいと思っているのではございません。」

「なんじゃ、それは?」

「あなたには、新しい生命体になっていただくのです。」

「新しい生命体?それは何なのじゃ?」

「まったく、これまで宇宙のどこにもなかった、新しい生命体です。永遠の命と、超高度な知性と、人類など遥かにしのぐ高邁な理性を持ち、あらゆる観点から人類を支配する存在です。しかし、そこに至るために、一度肉体の死を超えなければなりません。あなたは、そのために、死ぬのです。」

「わしには、そなたの言う事は、よくわからぬが。しかし、そなたには従おう。」

「はい。それが正しいのです。その結果、あなたは、女王さえ超えるものになるのです。あなたは、女王を屈服させ、名実ともに太陽系を支配するのです。いえ、いずれは銀河系をも。ですな。」

「考えも及ばぬが、そなたには従おう。」

「そうです。ダレルは、最終的には権力は要りません。火星の再興が成れば、ダレルはそこで手を引きます。あとは、あなたのご自由になります。」

「わかった。」

「ただし、一つだけ、心していただきたいことがあります。」

「なんじゃ、それは?」

「それは・・・」

 ダレルは、幻影から実像に移り変わっていった。


 **********   **********


 警部2051は、いろいろと、地球の事を思い出していた。

「ちょっとコースを変えるだけだ。やはり寄ってみるかな。」

 現地では、2億5千万年ほど経っているはずだった。

「ビュリアさんは、どうしているだろう。まだあの星にいるのだろうか。女将さんはどうしているのかな。あの、カタコリニウク、という傑物は、どうなったのかな。ビュリアさんには伝えるべきことがある。しかし、また、伝えない方が良いかもしれない、とも、思っていたが・・」

 彼は、思い切ったように地球に向けて航行し始めた。

 まだ、ここは銀河系の外である。


 **********   **********


 そこは、異世界とか言うような場所ではない。

 普通のビルの地下にあるホールだった。

 部屋のドアには『北海道・極地・地質問題対策協会(株)』とかいうよくわからないプレートが張り付けてあった。

「どうぞ。」

 とても良い感じの女性が応対に出た。

 でも、どうやら外国人らしい。

「あなたには、別のお仕事が入ってます。」

「ああ、わかった。じゃあ!」

 その黒服の男は、姿かたちとは似合わない、かわいらしい笑顔を残して、すっと消えてしまった。

「すごい人だ。」

「まあまあ、もっとすごい人もいますよ。さあ、『接続者』がお待ちですから。」

「『接続者』?って?」

 アンジが尋ねた。

「まあ、会ってみればわかるわ。こちら。」

 普通の事務所を横切った。

 時間も時間なので、かもしれないが、机の数よりはかなり少ない、数人の社員らしき人がパソコンに向かっている。

         『社長室』


 という小さなプレートが張られた部屋に、アンジは案内された。


 そこにいたのは、ごく普通の、まだ30歳くらいかと思われる男の人だった。

 二枚目と言えばそうだが、取り立てて騒ぐほどでもない。

 あたりまえの、ビジネスマンだ。

「いらっしゃい。よく来てくださいましたね。どうぞお座りください。あなたも。」

 その女性とアンジは一緒に腰かけた。

「さて、あなたがここに来ることは、必然だった。と、まず言いましょう。」

「はあ・・・。」

「ぼくが『接続者』です。まあ、本名もあるがそれは、後でいいでしょう。ぼくたちは、目には見えない手でつながっているネットワークなのです。『地球帝国』の立ち上げに合わせて、自然に作られました。」

「誰にですか?」

「さて、それは、実は分からないのです。まあ、あなたがどうしても気になるなら、『神によって』と思ってもらってもいい。実際、それが作られることは早くから決まっていたのです。そうして、誰がメンバーになるかも、ある意味決まっていました。もっとも、個人的に決まっていたわけではないが。その人の形質によって、あらかじめ想定されていたものを満たした人が、自然に指定されたのです。あなたもそうです。だから、僕たちの目的は、みな一緒なのです。」

「人類の解放ですね。」

「その通り。それは僕たちの形質に刷り込まれていました。ぼくたちは、ネットワークの中で、いつでも、だれでもが行動を提起できます。皆が力を合わせて問題を解決するのです。しかし、みな持っている力はまちまちだし、まあ、まとめ役みたいな人はやはり必要なので、そこの役目を、ぼくがしているわけです。だから、『接続者』なわけなんだけどな。」

「はあ・・・分からないような、不思議なような、です。」

「そうそう。まあ、そうなんだよな。ね?」

 『接続者』は、アンジの隣の女性に向かって確認した。

「はあ?いやあ、まあ、そんなに神秘的でもないような気はしますけどねえ。」

「うん。神秘的じゃあないさ。そうなんだ。目標は、『地球帝国』の解消なんだ。いいところだけ残してね。」

「いいところだけ残して?」

「そうさ。火星人や、いわゆる『女王』たちがやろうとしているすべてが悪じゃあない。良い結果のところは、もらいたい。でも彼等の支配は受け入れがたいからね。」

「難しいです。」

「まあ、ゆっくり考えてもらったらいいさ。当面の君の棲み処は用意する。覚悟は良いかな?」

「はい。それは。」

「状況によって、自宅に戻れるようにはしたいが、当分は危険だからね。それに、ぼくたちは、まあ穏健派だが、そうじゃない連中が他で集まり始めている。『超能力戦争』も、辞さない連中なんだ。彼らは味方の様ではあっても、どっちかと言うと厄介な存在だ。はっきり言って、もともとは友人たちなんだけど、まあ路線が違うと言うかさ。ま、そのあたりは、あまり今は気にしなくていいが、しかし狙われる可能性もある。」

「狙われるって、なんですか?」

「まあ、引き抜きと言うかね、スカウトと言うかね。こっちの仲間を自分たちの仲間につけちゃうんだよ。」

「いつの間にかね。」

 彼女が付け加えた。

「はあ・・・・・・」

「まあ、すぐにいっぺんに、頭の中に押し込もうとしても無理が行く。君もぼくたちのネットワークの一員として働いてほしいが、状況は少し時間をかけて解説するから。それは、彼女の担当です。」

「よろしくね。わたし、キャニアです。」

「やはり、外国の方?ですか。」

「まあ、そうよね。外国というか、異邦人と言うかな。」

「そりゃあ、まあ、ゆっくり話してください。じゃあ、ここはお終い。あとよろしくね。」


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