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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第ニ十四章


 第一王女のご主人様は、ようやく教会の『体』にまで戻ってきた。

 しかし、大切なお客様を待たせたままになっている。

「やれやれ、マヤコさんに会えるとは思ってなあかったなあ。収穫だけど、杖出様はお待たせしました。」・・・『あなた、留守中にいたずらしたんだって?』

 ヘレナが弘子に尋ねた。

『お遊びですわ。ご主人様。』

『まあ、まあ、で、息抜きになったのかな?』

『まあ、そうですわね。』

『ふうん・・・ま、いいか、じゃあ合体!杖出さんのところに行きます!』


 *****   *****


 鍵がかかったドアが開いて、第一王女が姿をあらわした。

「首相様、お待たせいたしまして、申し訳ございません。」

「これは、監禁ですかな?」

「まあ、そう思えばそうですわね。匿って差し上げたと言えば、それもまた、そうですけれど。情報では、いまあなたの閣僚の皆様が、官邸を訪れていますが、あなたがいらっしゃらないので、ちょっとした騒ぎになっております。」

「そりゃあ、そうだろう。」

「さて、そこで、わたくしから提案がございます。まず、あなたは首相を続けるご意志がありますか?」

「意志?意思はあるよ、当然。しかし、周囲が許さないだろう。まして、地球帝国はね。」

「まあ、今のままでは。でも、もし、わたくしに協力してくださると、お約束なさるのであれば、話は別です。」

「いわゆる火星人や、その仲間に協力するつもりなどない。」

「そうでしょうとも。でも、わたくしは、『火星人』ではないし、『帝国』とは独立して動いております。まあ正直に申しまして、『帝国』そのものの存在は、将来まで支持していますが、発足当初から残念ながら少々ガタついておりますの。つまり、方針面で内部問題があります。あなたにとっては、突っ込みどころですよ。」

「君たちの家来になれと?断る。」

「違います。あなたはあなたのやりたいようにやればいい。それが可能なように、わたくしが配慮いたします。お父様・・・タルレジャ国王様に関しても、様子を見ながらですが、社会復帰させるつもりですの。つまり、いま、あなたにとっても、わたくしにとっても障害となる大きな存在がいます。それは、『ブリューリ』と言って、人間を主な食料とする宇宙の怪物です。かつて火星文明や金星文明を崩壊させた陰の張本人です。この化け物が、地球に来ていることは間違いありません。何にでも化けます。どこにでも潜みます。地下の穴の中。高級ホテル。人間のからだの中、動物の中・・・どこにでもね。そうして、仲間を増やし、各地に巣を作り仲間を繁殖させもします。ただ、いま、わたくしとにらめっこ状態なのですけれどね。というのも、わたくしは強力な駆除薬を開発していて、昔と違ってさすがの怪物も、そう自由には動けません。地球中に駆除薬を撒きましたし、予防薬も散布をして、人間の体内に吸収させています。うっかり食べたら、いちころさんです。相当お腹を空かせているでしょう。しかし、困ったことに、何も食べなくても飲まなくても、耐久性は抜群なので、最終的には、見つけて直接駆除薬を注入しないと、完全な駆除は出来ません。さらに、あなたには理解しがたいでしょうけれど、他にも『未来人』やら、新しいミュータントやら、古いミュータントやら、いろいろな勢力が姿を現してきておりますのよ。もし、あなたがこの怪物を退治してしまって、各勢力とも安定状態になるまで、わたくしに協力してくださるのならば、あなたの首相の地位を守って差し上げましょう。」

「ばかな、君はいったい何なのだね?ぼくは、失礼ながら王女様のペットじゃあない。」

「なるほど、なら、あなたもお父様と同様に、拘束します。まあ、永遠に、とは、まだ言いませんが、その可能性もあります。ただし、これは、あなたをお守りする為なのです。ほら!」


 杖出首相は、突然、まったく違う場所にいた。

「なんだ、ここは、どこなんだ?」

『あなたの時間で、24時間経ったら、またお会い致しましょう。よくお考え下さい。そこに各種資料をご用意いたしました。分析してみてください。極秘資料ですよ!』


 そこは、かつての地球にあった、あの『パレス』だったのだが、そんなことが首相にわかるはずもなかった。


 **********   **********


 弘子と道子は、つまり第一王女と第二王女は、洋子の部屋を訪れて来ていた。

 夜も、大分遅くなっている。

「お腹すきましたわ。」

 第二王女がぼやいた。

「はいー。ぺこぺこですわね。もう少しの我慢です。」

「はあ・・・・」


 コンピューターに入力。

『洋子姉さまから、呼ばれております。』

 コンピューターは、あっさりと『OK』を出した。


『お姉さま、参りました。二人です。』

 『開かずの自動ドア』がスーッと開いた。

「おじゃまします・・・」


 洋子は、畳の上に正座して待っていた。

 中央の透明な『膜』は下がったままだった。

「お待たせいたしまして、申し訳ございません。お姉さま。」

 弘子が最高に下手に言った。

 確かに、妹であり、姉である。

 それにしても、まるで王様に挨拶する、かつての下女のような感じがする。

 実を言えば、ここには宗教上の理由もあった。

 洋子は、次期『教母様』と決められていて、現状では『副教母様』である。

 『タルレジャ教』の名目上の最高指導者の次席だ。

 まあ、実質は、『第一の巫女』が実権を握っているが、そこは、形式も大切なのだ。

「お忙しかったのでしょう。仕方ありません。」

 洋子は、寛大に言った。

「さて、で、私に、あの怪物が憑依しているのではないか、と、疑っているのでしょう?」

 双子は、顔を見合わせた。

「まあ、そうですね。あるいは、ブリューリ細胞が植え付けられているのかもしれません。または、この部屋のごく近くに潜伏しておる可能性もあります。」

「まあ、わたくし自身が、一種の特異な『ブリューリ』ですものね。」

「おそれいります。お姉さま。お体の改修方法については、みな努力いたしておりますが、いまだ解決策が見いだせないのです。」

「ええ、非常に特異なケース、なのだもの。で、どうやって試験するのですか?あなたがたが、一番危険なのですよ。」

「はい。しかし、中央のシャッターは、わたくしの支配下にあります。窓は、ブリューリにさえ、破壊不可能なものです。自分の経験から生み出したものですから。地下にも逃げられません。そのはずなのです。しかし、なお、『あやつ』は、抜け道を見出すかもしれません。しかも、わしが推測するに、ブリューリには、ダレルが加担している・・・あるいは逆かもしれないが、と・・・思われるのじゃ。お姉さまには、大変失礼ではありますが、まず、試薬を落とします。人間の体には無害ですが、お姉さまの本体細胞以外のブリューリ細胞があれば、反応します。では、失礼します。アニーさん!」

「はいはい!」

「やって。」

「了解。では・・・」

 洋子の周囲に、五人の黒い、人間らしきものが現れた。

 複写人間だ。アニーが説明しながら、同時に彼らは動いて行く。

『まず試薬『A』です。これは、ただちに細胞に浸透し変態性のブリューリ細胞に反応します。洋子さんなら、反応するはずです。』

 洋子のまっ白な腕に、ぽとりと、試薬が落ちた。

 その部分が青緑色に反応した。

『明らかに洋子さんです。さて、次に、試薬『B』を落とします。もし、本来性の『ブリューリ細胞』があれば、赤く膨張します。複写性のブリューリ細胞、つまりブリューリ人間ならば、硬直して動けなくなります。さらに、もし、本物のブリューリ自身がそこにいれば、大きな打撃になります・・・のたうち回り、暴れるでしょう・・・万が一そうならば、ただちに、高濃度の抗ブリューリ薬を銃で撃ち打ち込みます。イチコロですよ。昔のと違ってね。まあ、この薬の完成は伏せていましたからね。即、昇天です。ただし、洋子さんは助けます。まかせてください。』


 黒い複写人間が、試薬を手に取り上げた・・・・・ 

 


     **********    **********
































 


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