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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第二百ニ十九回


      ***************



 「ずいぶん、ぼこぼこにされましたね。」


 リリカが、隣の観察ルームから、眠っているヘレナを眺めながら、いかにもあきれたように言った。


 「ぼこぼこ、ずたずた、ぎたぎたですね。」


 マムル医師が、深く同意した。


 「しかし、いささか、不思議なんです。使用されたのは、ヘレナさんが開発したビーム銃です。特別仕様でして、このようなものは、今のところ地球では、我が王国の王室内にしかなく、北島の特別警備員のみが所持しています。戦闘に出ていた兵士は持っていないですよ。もちろん、一般には出回っておりません。わたしは、立場上、この王国にあるすべての兵器を調べていますし、地球上のものも、手に入る限り、そうしています。もちろん、ヘレナさんやルイーザさんならば、あるいは、ヘネシーさんならば、持ち出せますでしょう。ただし、火星の軍隊には、よく似たものがありますよね。いったい、この犯人は、どこから入手したのでしょうか。さらに、様々な波形、周波数、出力で発射できます。この場合、やや細いビームを使っています。威力はそれなりに出てますが、一発で焼き殺すとか、蒸発させるとかは、出来るはずなのに、していません。また、この暗殺者は、非常に腕がいい。良すぎるくらいです。致命傷を、間一髪かわしています。見事ですね。」


 「つまり、意図的にそうしたと?」


 「もちろんそうでしょう。あるいは、そのように誰かがコントロールしたか。わたしが見たら、その武器の正体は、一発でわかることも、承知してたはず。実行犯は知らなかったかもしれませんが。」


 「ふうん。怪しい。」


 「そらもう、怪しいなんてものではない。明らかに、計画的に、ぎりぎり、殺さなかった。ただし、瀕死状態にはした。言い方は良くないですが、普通の地球の医師ならば、たぶん大方は、救えなかった。わたしは、威張って言っているのではなく、この子が生まれる前から、ずっと観察し、出産に立ち会い、以降、ずっと健康管理をしてきました。この子の特殊性をよく知っています。また、この病院の設備がありますし。この子とルイーザさんは、一種の遺伝子操作により生まれた特別製です。また、弘志君もそうです。雪子さんも。さらに、あの家の長女さんも、かなり異常児でした。もちろん、公表されていません。この子たちは、母上のお腹の中で、シューベルトさまの歌曲をドイツ語で歌ったり、完璧な和声でフォレさまやブラームスさまなどをデユエットしていた双子です。誰が教えたのでしょう。」


 「うわさは、聞いたことあります。」


 「たまたま、非公式に覗いてしまった看護師さんがありまして。いいタイミングで歌ったのですよ。」


 「はあ。」


 「つまり、この子も、ルイーザさんも、誰かの意志で作られたのです。」


 「女王様ですか。」


 「まあ、あなたの方が、そのあたりは詳しいでしょう?」


 「そうですね。火星でも、さかんに人体実験していました。」


 「おそらく、この双子は、女王さんの傑作なのでは? そう思いますよ。出来すぎです。ヘネシーさんが、いささか嫉妬するのも無理ないでしょう。あの子も、並外れた天才ですが。」


 「そんなこと、言っていた気がします。」


 「そうでしょう。」


 マムル医師とリリカは、さらに呆れたように、今は、やたらに大人しいヘレナ=弘子を、見やった。


 しかし、マムル医師は、非常に重要な点を見逃していたのだが。


 さらに、ここには、『ありえないものが、入り込んでいた。』のである。




         ***************





  ************ 幸子さんコーナー ************



 「やましんさん、このセリフ、どっかで聞いたような。」


 「そうですか。」


 「うん。誰が、入りこんでいると?」


 「そりゃもう、決まってます。」


 「やっぱり、幽霊!」


 「そりゃ、幸子さんでしょ。」


 「失礼な、幸子は、女神様ですよ。」


 「失礼しました。」


 「写真には、写る?」


 「写らないでしょうね。たぶん。」


 「ふうん。幸子は、たまに写るけどな。」


 「それも、不思議ですよね。」


 「うん。不思議だ、おかしいな。あり得ない事ね。」




         **********************






























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