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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第二百ニ十五回


       *********************



 『真の都』の存在は、現在の地球人類には認識ができない。


 シモンズでさえ、それは、どこかのブラックホールの内部にあって、その、奥深い事象の境界付近に存在していると考えていた。


 けれども、このところ、シモンズはそれに疑問を覚えるようになってきていた。


 もしも、この宇宙のどこかに、宇宙を構成する力を、自由自在に操ることが可能な存在があったら、どうだろうか?


 わざわざ、そんな面倒な場所に、街を作ったりするだろうか。


 以前は、そもそも、宇宙人の存在自体を肯定しかねていたし、もし存在したとしても、出会うことは不可能だろうと、多くの学者と同様に考えてきた。


 それが、火星人の出現で、まず、地球外生命体の存在は、(まだ表向きには認めていないが。)、内心では認めざるを得なくなっていた。


 ただし、火星人にしても、ここに来て、突然現れた金星人にしても、地球人の祖先筋あたりだと見て間違いはないようだ。火星や金星ならば、相対論に悩むほどのことでもない。


 しかし、宇宙警部とかは、それでは話が通らない。


 それでも、火星や金星に生物が存在出来る環境があったのは、遥かな過去のことであって、現在の地球人につながるなんていう考えは、成り立たないと思われた。


 そこについては、いまだにそうだとシモンズは思う。


 しかし、地球人が考えているその過去が、絶対に正しいとの確認もできない。


 それが、あれよあれよという間に、あすは、地球帝国の創設だと言う。


 なにを置いても、ヘレナの存在は、そうした、いまだ初期文明にある地球の理屈にも合わない。


 しかし、起こってしまう事実は、もとより、地球人が考える理屈には合わないものばかりだ。


 いま、シモンズがここで話そうとしていることは、確実な証拠のない、極めて出来の良くない推理小説みたいなものだ。


 結果が先にある、古い神学的な、形而上学に陥った話に思えるに違いない。


 けれど、なんとしても、武や正晴が、人間を食べる怪物になってしまうことは、阻止したいのだ。


 そのために、こうやって協力者を、必死にまとめて来たのだし。


 一方、ヘレナが知りたい、彼女自身の正体も、与えてやる必要があった。そういう約束だから。(彼女かどうかも、すこぶるあやしいが。)





 「アニーさん、まだ、誰も、調理はされてないよね?」


 シモンズは、アニーさんに呼び掛けた。


 これに、期待通りに答えてくれなければ、勝利は遠のくばかりだ。


 『まだですよ、シモンズさん。』


 アニーさんは、そう答えた。


 『良かった。』


 「おや。アニーさん、あなたは、あたくしではなく、シモンズさんに味方するのかしら。もし、そうなら、今すぐに、そのおしゃべりな機能を停止するわよ。」


 そのヘレナの身体は、女性化した弘志だというようなことは、誰も思ってもいない。


 本人自体が、自分は弘子=ヘレナであり、女であると、確信しているし、正体不明の何かであると信じている。


 それは、女王本体の作り出す分身と同じことだ。


 先ほど、婚約者の正晴と、実際に交わったばかりである。


 アニーさんは、ここでその事実を知っている唯一の存在だ。


 ルイーザは、別としてだが。


 ただし、真面目な彼女は、自己矛盾に陥らないように、必要な限度の情報だけを、ヘレナ本体から受け入れるようにされている。それは、ヘレナの自分勝手でもある。


 『アニーさんを止めると、やっかいな事象が起りますよ。ヘレナさん。』


 と、アニーさんが、ヘレナを脅迫するように言った。


 「ほう? なにが?」


 『アニーさんは、今、アブラシオさんと、連携状態にあります。アブラシオさんは、あなたが作ったものですが、非常に大きな力があります。太陽系を吹き飛ばすことも簡単です。それでは、あなたのエネルギー源が、しばらく断たれることになります。あなたは滅んだりはしないが、あまり、望ましくはないでしょう。』


 「ふううん。」


 ヘレナは、そうとしか言わなかったが、それだけで、十分な疑惑を抱いたことは確かだ。


 ヘレナが、絶対に認められない、究極の疑惑だ。


 『自分は、もしかしたら、分身なのかもしれない。アニーさんもアブラシオさんも、実際にコントロールできないならば。』


 ヘレナは、アニーと、アブラシオに、連携しろとは、もちろん命じていない。




 実際に、今のヘレナは、どう見ても、明らかに分身なのだ。


 普通の意味の分身かどうかは別としてもだが。


 でも、本人には、そうした認識はまったくなかった。永い永い年月だ。


 「じゃ、話を進めていいよね。人間の料理は出されない。」


 アニーさんが答えた。


 『どうぞ、どうぞ。その通りです。調理不可能な状況です。』


 

       *********************



 ヘレナが、この巨大な食堂の別室に、わざわざ招いた人たちも含めてだが、多くの関係者が、極めて不可思議な現象に遭遇していた。

 

 松村家の新しい本宅の地下は、マツムラ・コーポレーションの地下に直結している。


 ところが、その地下が、タルレジャ王国の謎の食堂とつながってしまっていた。


 こうしたやり方は、太古から、ヘレナが多用してきた手法である。


 いまや、松村の本宅にその時居た人ならば、また、本社の地下に入れる人ならば、誰でも、そこを通過して、入国審査も税関も無しに、この王国の秘密の場所に移動可能になった。


 紅ばら組の本部もそうだったし、超能力集団と闘いを続けている現場にも、同様の通路が開いていた。


 その、札幌の事務所でも、沖縄の秘密組織の地下本部事務所でも、パリの同様のことが起っていたし、火星の地球侵略本部がある宇宙船でも、そうだった。


 人間は乗っていないアブラシオの中も同様で、また宇宙警部の神秘的な宇宙交番の内部にまでも、同じ事象が発生していた。


 海賊船も同じだったし、金星の宇宙軍団の旗艦でもそうだったし、第一空中都市でもその現象が起こった。


 さらに、池の女神様の本拠地であるアヤ湖にまで、それは及んでいた。


 王国にある、皇帝用のタルレジャ・タワーもそうだ。


 そこには、怪物ブリューリもいた。


 タルレジャ教団の神秘的な本部の中央にも、その通路が開かれた。


 ただし、『真の都』と『地獄』は例外だった。


 そうして、それらは、ヘレナが行った事柄ではなかったのだ。





 ********** 幸子さんコーナー **********



 『やましんさん、生きてましたか。体調いかが?』


 『いやあ。ばちが当たったか、呪いか、偶然か、わかりませんが、あまりぱっとしないです。お手洗いの嵐。痛いし。』


 『第4部を終わりにするつもりとか?』


 『うん。いったん終わりにして、仕切り直しにしようかと。体は、結局、原因は病院でも分からないまま。』


 『ホントは、書けなくなった、とか?』


 『まあ、そうなんですが、気分を変えれば話も変わるかと。』


 『ふうん。でも、次回はまだある、と。でもって最後は、幸子が主人公になる。という訳ですね。』


 『それは、ないかな。』


 『お饅頭嵐が舞います!』



           *****************



  









 










 


   

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