わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第二百十八回
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「シモンズさん、一生懸命、妨害したいのはわかる。でも、あなたの御自慢のコンピューターさんには、ここからは、アクセスできない。アニーさんが手伝っても、できない。残念ながら。リリカさんも、ダレルちゃんもね。ここは、あたくしのお城だから。どこでもない場所だから。」
ヘレナが言った。
「ね、アニーさん。」
『たしかに、ヘレナさんには、まだ、アニーさんにも分らない力があるようです。残念。』
「おほほほほほ。あっさり、認めたわね。コンピューターさんらしいわ。褒めてあげましょう。」
シモンズは、しかし、諦めてはいなかった。
ヘレナは、意外にも、シモンズとの約束は守っていた。
彼の頭の中を覗いたり、操ったりはしなかったのだ。
なぜ、ヘレナが約束を守るのか。
シモンズには、いささか、謎だった。
感情もない、倫理観もない、この化け物が、なぜ約束は守るのか。
しかし、まったく短時間しか経っていないのに、おおきな扉は開かれたのだ。
巨大な銀のさらに盛られた、みっつの頭が現れた。
大奉贄典が、それを抱えてきたのである。
彼にとっては、最後の花道である。
そのうしろから、弟子と、真っ白な衣装に身を包んだ、正体不明の者たちが、沢山の料理を運んできた。
そこには、人間の『手』や『足』そのものが、豪華に、野菜などの食材と共に、たっぷりと盛られていた。
「なんと、醜悪な」
シモンズがうめくように言った。
「おだまりなさい。あなたは、わいの部下じゃ。よいかな。」
「よくないね。ぼくは、あんたに雇われてるが、文句を言う権利は手放してない。」
「まあ、そうよね。いいわ。みとめたげる。でもね、一口食べたら、もう、やめられない。ほほほほほほ。」
「あなたの姉さんは、化け物なんだ。わかってるだろう、道子さん。いや、ルイーザさん。あなたの意識は、分身に操られているが、でも、あなたには、特殊な能力がある。ぼくは、知っている。あなたは、自らの力で、分身の統制を破る力がある。そうしようと思えばだけど。」
「なにを、おっしゃいますの。シモンズ様。あたくしは、お姉さまの忠実な僕。あなたのおっしゃることは、わかりませんわ。」
ルイーザは、あっさりと答えた。
ヘレナは、満足そうに言った。
「さあさあ、まずは、お食事よ。今日は、目出度い日なんだから。めいっぱい食べましょう。お酒も、許可します。ここは、王国の圏内ですからね。たくさん飲めば、いやなことはふっとぶであろうぞ。さあ、我が仲間たち、心行くまで、人間を食べるが良い。愛する正晴様、それから、武様も。一口食べれば、もう、正式な仲間じゃ。さあ。」
正晴と武は、明らかに何かに取りつかれたような感じだった。
ヘレナに、操られていることは、間違いがない。
シモンズは、まず、グラスに注がれた真っ赤な飲み物を、自らの機械で確認した。
『ぶ。人間の血液が主体だ。ちょっと、味付けされてるか。こりゃあ、ちょっと、ここまでは、手が回らなかったなあ。」
それから、こう言った。
「あのね、ヘレナさん、普通の、ジュースはないの? これは、人の血だと思う。」
「まあ、シモンズさん。なんと、贅沢な。といいますより、これ以上の飲み物などはないのに。いいわ。お子様にはオレンジジュースが良いでしょう。でも、お肉を食べれば、この方がよくなるのじゃ。」
それから、ヘレナは、その人間の頭をひとつ、小皿に持ってきて、それから、ぐさっとナイフで突き刺して、ぐりぐりと分解したうえ、脳を取り出した。
「これが、最高の美味なのじゃ。」
そう言いながら、一口目を、口に入れた。
すると、へレナの表情が一変した。
その頭が乗っかった白い小皿を、テーブルから放り投げた。
大奉贄典は、飛び上がった。
「いかが、なさいましたか。第1王女様。」
ヘレナは立ち上がり、弘子本体が持つ、激しい怒りを放出した。
「なんじゃ、これは。どうなっておる。誰が、このような、まやかしをしたのじゃ。むむむむ。きさまか、ダレル、リリカか、いや・・・・そうではなかろう。このようなことができるのは、他に居らぬのう。アニーさんと、シモンズ様。なぜ、このようなことを、どうやって。まずは、不可能なはずじゃ。」
シモンズも立ち上がって、ナプキンを投げながら言い放った。
「あんたが、人間を食べても、いまさらどうにもならないが。この新郎たちまで、化け物に変えたくはないんだよね。ぼくを、甘く見ないでほしいな。」
ヘレナとシモンズは、睨み合った。
しかし、通常考えたら、シモンズには勝ち目がない。
ヘレナが約束を守っている間は良いが、もはや、その意味はなくなったのだから。
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********** さちこさんこーなー **********
「やましんさん、すごく、久しぶり。なんだか、寝てばっかりだた、だいじょび?」
「いやあ、例によって、うつの再発かとか・・・。なんだか、肩の上から、何十トンとかの重しを乗せられたみたいです。きょうは、町内会の文書作る必要があって、その勢いで、書きました。」
「町内会のおかげですか。」
「ああ、まあ、そうね。」
「あしたは?」
「まだ、仕上がってないからな。それに、あしたは、街にお出かけする。怖いけど。」
「たしかに、今は、危ないですね。人間は。女神様には影響ないかと思ったら、お参りに来る方が、まったくいなくなっちゃった。お饅頭の差し入れもない。お酒ぱっくも来ない。思たより、影響、大です!」
「そうそう。どこもそう。だから、ぼくは、寝ている。冬眠に近いです。」
「むむむ。女王様にお願いしたけど、人事不介入だって。お話と違う。なんでよお~!」
「お話ですから。みまさま、新型コロナウイルスさんには、十分警戒を怠らないようにしましょう。ぼくが言うのも、なんですが。」
「ほんと、そうですよ。地獄に誘うのが役目の幸子が言うもの、もとい、のも、なんですが。」
「まったくだ。」
「むう。 お饅頭嵐い~~~~~~い。・・・あら、在庫不足。」
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