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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第二百六回

************   ************



『ここは、つまり、どこ?』


 正晴は、そう尋ねた。


 ・・・君、死んだはずじゃないのか?


 まさか、歌の歌詞のようなことを、頭から尋ねる勇気が出なかったのだ。


 正晴と弘子の力関係は、絶対的に、弘子・・・いや、ヘレナ王女が強い。


 絶対君主時代の、支配者と、被支配者くらいの力関係だと言って構わない。


 実際、北島では、それが事実上、まったく正しいのだから。


 しかし、それでも、へレナは、極力、正晴に気を使っていたのだ。


 今後、彼女を、弘子、と呼ぶことは、公式な場では厳禁とされる。


 けれども、ふたりだけの場合は、『自由でいいわ、いや、今まで通りでよいのよ』、と、ヘレナは正晴に説明していた。




 その部屋は、やはり、薄赤い色に染まっていた。


 シモンズなら、これが女王へレナの色なんだと、教えるだろう。


 正晴は、シモンズよりも、女王に関して、いや、王女様に関する情報でさえ、遥かに少なくしか与えられていない。




 その部屋の中央には、大きなベッドがあった。


 見たこともない位の大きさだ。


 少々、どうなっても、落ちることはあるまい。


 「正晴様、あたくしは、あなたのために、この衣装を選びました。まあ、伝統でもあるけれど。どう、あたくし、かわいい?」


 「え・・・いや、もちろん。」


 「奇麗かしら?」


 「もちろん。奇麗です。」


 「です、は、いや。いい?ここは、あなたが、主役なのよ。さあ、あなたの望むように。これこそが、婚約の儀の真の儀式だから。」


 「うん。あのさあ・・・あ・・ヘレナさん・・・・」


 「ばか。弘子でいい。ここは、二人以外は絶対に入れないお部屋だから。」


 「はい・・。あの、ひゃあ、弘子さん・・・」


 「ばか、『さん』、いらない。」


 「ああ・あ・・・弘子。」


 「なあに。正晴様。」


 「あの。つまり、ぼくは、子供のころから、自分の役割を言い付けられてきた。だから、ぼくは、君のために、なんでもする。自分の命をかけて守る、はずだった。わかるかな。君が、殺せと言えば、だれだって、殺す覚悟だった。両親からも、ずっと、言われてきた。君に、食べられてこそ、ぼくの最高の栄光なんだ。王女の夫は、みな、早死にする。でも・・・」


 「でも・・・なによ。ここまできていて、じらさないで。早く。」


 「うん。あの。。。つまりね。ぼくは、君のためになら、何でもするよ。ただ、知りたいんだ。真実を。」


 「ううん・・・いいわ。じゃあ、大切なことを、やってくれたら。教えてあげるわ。」



   **********     **********



 「あのね、武さん。」


 「なんだよ。」


 こちらの二人は、部屋の中で、あおむけにひっくり返っていた。


 「武さんは、なんでも、そつなくこなす。いまもね。でも、正晴様は、そうじゃない。」


 「まあ、あいつは、ぶきっちょだ。しかし、くそ度胸は、ぼくよりある。そうだろう?」


 武は、あちこちを、道子に噛まれていた。


 「そう。もちろん。しかも、お姉さまには、忠実よね。わんちゃんみたいね。」


 「ぼくは、忠実じゃない?」


 「役割が違う。武様は、最後まで敵と戦う。先頭に立って。正晴様は、お姉さまを、ひたすら、守る。」


 「どこが違う? 君は、実は弘子よりも、かなり強い。隠してるけど。おそらく、ほんとに一騎打ちしたら、弘子は、一瞬で、君に叩きのめされる、たぶん。」


 「じゃあ、さあ、もう一回、試す? ね?」


 「痛いんだ。あのね、道子さん。」


 「なに?」


 「弘子は、何なんだ? あれは、本物? 正晴が文句言う力はないだろうさ。でも、あいつが、気になる。これは、正しい事が行われているのか?」


 「まやかしだと?」


 「そこまで、言いたくはないよ。でも、弘子は死んだ。君は、その通りだと言う。じゃあ、あれは、誰? あたりまえの質問だろ?」


 「武様は、あたくしの独立性は、確信している? お姉さまの、ロボットだと、思う? あたくしの話のすべては、お姉さまに筒抜けになると。そう、思う?」


 「どっちなのかい? たまには、君から真実を話そうよ。」


 「なるほど。いいわよ。もう一回。キス・・・・」



   **********   **********



 ビュリアは、いま、王宮で何が起こっているか、綿密にチェックしている。


 もっとも、あの二人が、あのビュリア自身が慣れ親しんだ部屋に入ったあとは、さすがに覗けない。


 それは、最低限のマナーだろう。



 しかし、王宮は広大だ。


 見るべき場所は、たくさんある。



 また、今、世界の各地では、『紅バラ』や、『ミュータント』たちが、各国政府を襲っている。


 明日からは、地球帝国の組織のひとつになる、国々だ。



 ただし、この王国だけは、少し違う。


 襲っているのは、『池の女神様』たちだ。


 彼女たちは、実は、ヘレナの精鋭部隊だ。


 その、リーダーは、もちろん、アヤ姫である。


 王国には、まったく、未だ隠されているが、地球帝国の首都として、独自の役割がある。


 それは、地球文明の最後を看取ることである。


 女王ヘレナが、そう、決めた。


 ヘレナは、地球の最後を見届けることになる。


 そのこと自体は、ヘレナが決めた、というよりは、『地球自身』が、そのように決めたのだ。


 『地球自身』は、第1タワー内に、保護されている。


 ルイーザも、ヘネシーも、そうした自覚はない。


 また、『地球自身』は、かならずしも、お利口ではない。


 ママが、『金星自身』であったことを考えれば、それは、それほど、突飛な話ではない。


 地球自身が、もうろくしたって、おかしくはない。


 ビュリアは、そこらあたりの事情は、おおかた知り尽くしていた。




    ************   ************




 シモンズは、そうしたことも、すでに、独自に推測していた。


 『金星自身』は、金星のママ。


 『火星自身』は、おそらく、ヘレナそのものだろう。


 このふたつは、抜け殻だ。


 『地球自身』は、その流れの上にある。


 それは、誰か?


 シモンズは、それは、彼しかいないと、判断していた。



 タルレジャ王国、最初の国王。


 不死の存在には違いないが、火星のママの話からしても、どうやら、歳は取るらしい。


 長い年月の中で、いささか、認知症的な状態になるのは、それほど、おかしな話しでは、ないのだろう。


 まあ、少し、早いのかもしれないが。



 しかし、ヘレナと、『地球自身』は、どういう、力関係になっているんだろう?


 そこが、わからない。


 普通なら、ヘレナが圧倒的に強者であるはずだ。


 なにかが、おかしいな。



 そこを知るのは、ヘレナは自身は、もちろんとして、あと、だれが、知っているのだろうか?


 

 シモンズが思うところ、あと、みっつ、いや、よっつ、大きなピースが足りていない。


 ひとつは、その初代国王。


 つまり、パル国王。と呼ばれた存在。


 そうして、その、母だ。


 あと、ビューナスだ。



 ギンザのママは、現在、彼らがどうなっているのかは、知らないと明言した。


 マヤコも、同様だった。


 知ってるかもしれない、洋子さんは、会ってもくれない。



 へレナも、アニーさんも、つれない回答ばかりだったが、そこに思い至ってからは、返事さえしない。


 アニーさんは、協力を約束したのにも、関わらずだ。


 つまり、アニーさんには、何かの変化があったのだろう。



 シモンズは、ついに、思い切った、単独行動に出た。


 解放状態の『弘子さん』からもらった、あの機械を、活用して。





  ***************   ***************




   ・・・・おまけ・・・


 『やましんさん、コメント、いただけないですね。』


 幸子さんです。


 『いやあ、やましんは、気が小さいから、厳しく言われると、すぐ、隠れてしまうからですね。落ち込むと、再起不能かも。』


『なに、いってますか。やましんさん、ここが、勝負だ!闘い抜くなら、徹底抗戦から。本出すなんて、ほんとに、これで考えてるなら、1億円は、かかる。途中には、おにや、怪物が張っている。やましんを、狙ってね。命かけないと、ダメですよ。』


『それは。あなた、一億なんか、ない。100 万もむり。』


『はい〰️〰️〰️〰️〰️❗もう、魑魅魍魎の世界ですよ。お金は付いてくる。ただ、現状、やましんさんは、評価が、ひくいからなあ。幸子、心配。女王さまの、奇跡が、起こればよいけれどなあ。』


『むり。やましんは、あらゆる、よいことからは、見放される。やましんは、もと、上司に呪われてる。亡くなったふたりはもちろん、いや、それ以上かも。』


『じゃ、偉い人を誉めなさいよ。ね。バンバン、誉め殺し、攻撃。』


  

『だから、ベートーベン先生を、褒めておりますが。』


『あああ、つまり、いま、強い人を、誉めなさいな。』


『はあ、努力はしましが、すでに、時、遅し。もう、あまり、知ってるひとが、いない。』


『たのみますよ。幸子の将来の世界が変わりますからね。はらはらだあ…………….うんじゃあまいやら、うんじゃあまいやら、なんのことやら、うんじゃあまいやらあ。めんくいにこ〰️〰️〰️〰️✨やましんに、たまには、幸も来てください。昔の偉いかたは、反則ですわ。あら、失礼。』


『やましんにも、落ち度はあったが、上司さまもかなり、意地悪した。仲直りしなければ。』


『そうそう。池の女神さま総出で、応援いたしましょう。』




 


 














 











 







  



























 



























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