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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第二百五回

************   ************



 世界各地で、地方国家政府(これまで、国であった政府)を、各国の『紅バラ組』相当組織が襲撃していた。


 また、同時に、ミュータント組織が軍事部門への攻撃を行い、さらに『紅バラ』との戦いを開始していた。


 『紅バラ』組は、『地球帝国』の支援組織と見られてはいたが、実際は、あくまで『へレナ』を崇拝する一種のオカルト集団である。


 組員は、強力な薬剤で精神と身体を改造されており、しかも、ヘレナが提供した未来兵器を持っているため、普通の人間では、歯が立たない。


 製造元は、もちろん、『マツムラ・コーポレーション・タルレジャ』だったが。



 一方、ミュータント側は、穏健派と強硬派が手を結んだことから、急速に事が進んだらしい。


 彼らは、地球の保護、エイリアンの撃破を目的にしていた。


 それでも、地球帝国は、翌日の創立記念式典を、強行しようとしていた。


 火星の軍は、もちろん、帝国側についている。


 そこに、『第9惑星』の膨大な宇宙攻撃艦船が現れ、金星にはその一部が残って、いまだに、金星軍とにらみ合っていたが、半分以上は地球に向かった。

 

 彼らが重視していたのは、もちろん、『アブラシオ』である。


 この状況になると、『宇宙警部』は、手を出せなくなるのは、実は分かっていた。


 その情報を提供したのは、『宇宙怪物ブリューリ』と、かつて呼ばれた存在だった。


 宇宙警部は、大規模な宇宙紛争には介入が禁止されている。



 

   **********     **********


 赤い部屋の中は、いつもとは様子が違った。


 とは言え、様子が違うなどと思える人物は、ダレルやリリカなどの火星生き残り組の幾人かと、地球人では、おそらくシモンズくらいだろう。


 いつもならば、まず大きな部屋が、どかんと座っているものである。


 しかし、今は、そうではなかった。


 そこにあったのは、広々とした廊下であり、光のせいなのか、もともともそうなのか、そこは分からないが、赤いじゅうたんが、両側の、遥かな彼方まで敷かれている。


 両側共に、その、端が見えないほど、長い廊下である。


 シモンズは、そうしたものは、おそらくは、視覚のマジックなんだろうと考えていた。


 あるいは、脳をごまかされているというべきだ。


 ヘレナが見せる空間には、こうしたものが、非常に多いようだ。


 相手を威圧する、一種の仕組みであって、おそらくは、実際は空間が閉じているのだろう。


 つまり、どんどん行くと、いつかは、戻って来るのではないか。


 地球の上を、一周するようなものだ。と。


 もちろん、それ自体が、尋常なものではないが。


 もっとも、今の正晴や武は、そうした余裕のある状況ではない。



 「どうぞこちらに。」



 弘子は、正晴の手を取って、右側に進み、道子は同様にして、左側に進んだ。


 

   **********   **********



「こんなときに、クーデターごっこしてどうするんだ。え?」


 杖出首相は、紅バラ組のリーダー格らしい少女を怒鳴りつけた。


 本当は、危ないから脱出するように側近から言われたが、首相はそれを振り切って、ここに現れた。


 しかし、相手は、そんなことで動じるような存在ではない。


 「あんた、首相さんじゃのう。」


 「そうだよ。間違いなく。君たち、何をやってる。誰が、背後にいる?」


 「さっすが、出てきたんは、立派じゃ。これから、この国は、わいらが指導する。」


 「はあ?」


 「今、言った、とおりじゃ。」


 「ほう。あの、防衛隊本部を襲った連中は、仲間か?」


 「どあほ。あいつらは、ミュータント連合じゃ。組長に逆らおうちゅう、許せん連中じゃ、これから、壊滅させる。防衛隊は、わしらが指揮するようになる。」


 「壊滅? ぶっそうな。あのね。君たち、ここは、この国の中枢だよ。早く帰りなさい。」


 「ばーか。きさま、拘束する。おりゃあ、こいつ、生け捕れ。」


 「あい!」


 取り巻きの少女たちが、首相を押さえつけにかかった。


 あとから入ってきたSPが、阻止しようとする。


 実は、最初に立ちはだかったSPたちは、彼女たちに、まったく歯が立たず、全滅していた。


 「どあほう。わいらに逆らえるわけがないわ。」


 彼女は、なんらかの武器を使ったのだと思われる。

 

 一瞬、何かが、光った。


 首相の側近や護衛たちは、あっさり、みな倒れてしまった。


 「なんだ、どうなってる。」


 首相は、一人になってしまった。


 「組長から、あんたを保護するように、指示が出とる。傷つけてはならんとも。おとなしくせえ。おめぇには、シールを張った。ショックフィールドを回避するんじゃ。」


 「保護だって?」


 「そうじゃ。あんたは、狙われとる。間もなく、暗殺されるはずじゃったが、ミュータント連合が動いたんで、まあ、ちょと、時間が狂ったようじゃのう。あおら、きた。」


 ばばん。


 破裂するような、しかし、あまり大きくはない音がした。

 

 どうやら、窓が、衝撃を受けたらしい。


 外から、狙撃されたのだ。


 しかし、マツムラ・コーポレーション特別製造の窓は、まったくひびも入らなかった。


 銃弾は、跳ね返ったらしい。


 「ふうん。こいつは、ようできとるようじゃの。まあ、さすがは、我が国の首相官邸じゃな。誉めてやろう。連行せよ。」


 「あい。」


 杖出首相は、少女たちに拉致された。



  ************   ************



 あんじは、防衛隊襲撃の中核にいた。


 彼女の力は、さらに、すさまじいものに成長していたのだ。


 防衛隊の隊員たちは、みな、あんじの能力で、身体が自由に動かなくなっていた。


 もちろん、あんじだけが、特殊な能力を発揮した訳ではない。


 ここの攻撃には、100人程度が参加している。


 サッポロのメンバーたちも、参加していた。


 過激なミュータントグループも合同している。



 みな、それぞれが、さまざまな能力を持っているわけだ。


 もっとも、問題なのは、ここの武力を封じる事だ。


 この場所の、すべての武力を使用不能にする力があるのは、ほかならぬ、『接続者』だった。


 武器が使えない、身体が動かない。


 これでは、防衛隊の精鋭もどうにもならない。


 ミュータント連合のメンバーたちは、防衛隊本部を、短時間で制圧していった。


 ・・・・・・・・・・・・・・


 『これで、よいのかな?』


 彼は、相手にそう尋ねた。


 『まあ、いんじゃないですか。今回、お互いに和解できたのは、大きな進歩ですよ。』


 この、ふたりは、穏健派と、強硬派という、ふたつの組織に分裂した、『ミュータント連合』の両指導者である。


 ほとんど、その姿を見せることはないと言われるが、実際は、そうでもない。

 

 つまり、普段の姿は、普通なのだ。


 誰も、正体を知らないだけのことである。


 穏健派のリーダーは、本拠地をオキナワ地域に置いていた人物。


 しかも、マツムラ家ゆかりの人間だった。


 もうひとりは、よく知られた、世界的音楽家である。

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・

   


 この事態は、もちろん、すぐに、アニーさんが把握していた。


 アニーさんは、当然、『ヘレナ』に、その状況を報告したのである。

 

 アニーさんには、関係者を、まとめて処分する力があるが、実行を見送っていた。


 ヘレナの本体は、すでにアニーさんの意図は分かっていた。


 そこで、回答しなかったのである。




 ***************


 


 


 


 


 




 












 


  

 

 


 

 





 

 




 
























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