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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百九十五回

 

 ************   *************



 「変異種同士での戦いなんて、したくはないが。向こうが我々の傘下に入らないのであれば、実力で排除するか吸収するかしなければならない。」


 パート1が言った。


 パート2が答えた。


 「同意します。ただ、可能な限り、殺戮はしたくないです。」


 「ああ、そうだね。君は? パート3」


 「1と2が同意したら、ぼくの投票は意味が無い。」


 パート1が言った。


 「まあまあ、そう言うな。君は、貴重な存在だ。動き出した後、ブレーキを踏めるのは、君だけだ。」


 「ぼくらは、過激派で通ってますがね。穏健派の方がよほど、残虐だ。彼らは、動かないだけだもの。そこを念頭に置いて、よしなに。それと、あの、『紅バラ組』ですな。彼女たちは、超能力者ではない。しかし、バックに化け物がいる以上、人間だとは思わない方が良い。」


 「あら。じゃあ、殺せ、と?」


 「殺すこともないが、戦闘意欲の排除が必要だ。究極の洗脳をされて、非常に過激になっているから、元に戻すのは困難です。ある程度の、改造は、仕方がない。」


 「まあ、かわいそうに。殺してさしあげた方が、よろしくてよ。」


 「こらこら、だから、きみは、過激なんだ。」


 「あら。ほほほほほほほほほ。」


 「気になる笑い方だ。まあいいや。向こうも、とうとう、一戦交えることに決して居るらしい。人間たちを巻き込みたくはないが、見てもらった方が良い。一度消えた北海道だ。全域を戦闘区域としたい。」


 「パート1のお好きなように。」


 「市街地は、可能な限り避けるようにしよう。しかし、目的は、火星人どもから、地球を奪還する事だ。動かない『穏健派』を、引き込んで、総攻撃につなげたい。そのためには、あの、出て来ない、謎のボスを倒さなけりゃな。あいつの意志が、奴ら全体を支配している。逆に言えば、簡単だ。」


 「もう一段、裏がありそうですわよ。」


 「うん。それも、一枚剥がさないと、わからないさ。君の服みたいなもんだ。」


 「ぶー。それ、セクハラ。許さない。昔と違う。」


 「すいません。ときに、『紅バラ組』のボスは、やはり、王女様で間違いなしかい?」


 パート3が、パート1に、確認した。


 「ああ、そこね。まあ、間違いはないんだがな。相手は、これまた、化け物だ。前は、ひとりでやってたみたいだが、最近は妹も、洗脳して仲間に入れているようだ。しかし、あの二人は、出て来ないと思うよ。彼女たちには、趣味みたいなものだからね。ただ、持ってる武器が、いったい、なにがあるのかが怖い。情報では、人類が普通持ってない武器を使う。また、どうやら、核弾頭も持ってるらしい。小型ICBMなんかも、あるという。小さなテロ集団よりも、はるかにやっかいだ。いまや、日本全国に団員が広がっているようだ。警察も、後押ししてるようなんだ。さらに、国外にも、似た不良集団をたくさん作っているようだ。その総数は、不明。毎日、万単位で増加してるようだともいう。」


 「ううん・・・・つまり、三つどもえ戦になるわけね。王女様の狙いは、われわれ、ミュータントが、共倒れすることね。事実、最初は、そうなるかも。」


 「最初はね。まあ、その先が、楽しみだね。細工はりゅうりゅう、・・・・ね。」


 「おそろしや!で、おフランスは?」


 「同調する。ロドロンも、同調する。オーストライアンもだ。アメリカ国は、まだ分からない。彼らは、いつも、自分たちでやりたいんだ。でも、ぎりぎりには、同調して動くと思う。」

 

 「あの、王国本体の仲間は? いかが?」


 「ああ。いくらか、同調しそうだが、内乱になったおかげで、ちょっとわからないんだ。」


 「ふうん・・・・なんか、結婚式、やるみたいな感じよ。すごいね。死んでも、止めないなんて、さすがは、生きてる神のいる国かな。」


 「生きてる、化け物さ。」




       ************   ***********


 

 「接続者さん、こんどは、逃げないよね。」


 キャニアが念押しした。


 「おらあ、逃げたいですよおおおお。」


 「あらま。」


 「でもね、沖縄のじいさまと、ばっちゃんが決めたから、もう、変わらないと思うよ。やつらは、もう、北海道に向かって集結している。よくもまあ、うちの本拠地でやるなんて、あほなこと、考えたな。」


 「うん。そこは、確かに、なっぞ、だよね。地の利はこちらにある。分かってるはず。なぜ、北海道にしたのか?」


 「うちが、逃げられないからじゃないかと思う。」


 「なるほど、まあね。沖縄に本部があることは、知ってるのかな?」


 「さああ。本部ってたって、じいさんとばっちゃん、ふたりだけだ。警備もない。」


 「そのふたりで、他全員分より、強いわよ。」


 「まあね。さあて、どこまで知ってるんだか。おいらたちだって、連中の中枢部は分からずにいるもの。」


 「そうなんですがねえ。・・・・・あの、ほら、あの子のことなんだけど。」


 「あんじクンかいな?」


 「そう、そこ。返してあげない? あの子は、ちょっと、危険すぎる。あまりに、能力が拡大しすぎてる。自分を道ずれに、地球を破棄しかねないわ。」


 「ふうん。抑制の方法は、教えたんだろう?」


 「もちろん。でも、どうも、いざとなったら、抑えが効かなくなるんじゃないかしら。心配なんだな。」


 「本人が、やる気満々なんだ。帰らないさ。」


 「ふうん・・・・そうなんだけど。そっこは、あなたが、説得してですね。」


 「おら、できね。あんた、やったら? それなら、文句、言わねがら。」


 「はあ・・・・・わかった。なら、やってみるわ。」


 「びえ~~~~~? 主戦力だんべ? ほんと、やるの?」




   ************   ************



 いよいよ、『婚約の儀』だというのに、弘子が殺害されたと言うニュースは、同級生たちはじめ、学校、地域社会全体。さらには、国全体を揺り動かしていた。


 松村家にも、隣にある、マツムラ・コーポレーション本社にも、さかんに、自動車や、小型のヘリなどがひっきりなしに、出入りしている。


 正晴の実家は、にもかかわらず、ひっそりとしたままだ。


 武の家もそうだが、路地の入口に、警護のために警官が24時間体制で張り付いている。


 よほどの関係者以外は、立ち入り禁止である。


 王国政府は、弘子が内戦で銃撃され、死亡したと思われる、と、すでに発表していたのだが、王宮とタルレジャ教会は、まだ、一切、そこを認めていない。


 そこで、政府も、立ちどまったままになっている。


 弘子は、日本国籍も持っている。


 日本政府も、気が気ではないが、なにもできないでいた。



        *****     *****


 

 杖出首相は、ひっそりと、金星から帰ってきていた。


 しかし、『第9惑星人が、金星で、金星人、火星人相手に一戦を交えた。』。


 なんてことを、まともに報告できるものか?


 本人も、あまりにあほらしすぎて、話す気にもならない。


 しかし、そうも言っていられない。


 首相は、アニーさんが撮影した証拠映像を提出して、秘密閣議に臨んだ。


 しかし、実は、南北アメリカ国は、衛星を金星に複数持ってるだけに、独自に情報を得ていた。


 そうして、やはり、かなり、おんぼろではあるが、やはり金星に衛星を投入している、日本政府に情報の提供を求めて来ていた。


 ただし、今回、首相が持ってきた映像は、それらの、はっきりしない映像とは、天と地くらいの違いがあった。


 「こりゃあ、よく出来過ぎでしょう、首相。」


 絵江府副総理は、持ち前のいじわる丸だしで、言った。


 「そりゃ、どうも。ああ、きみ、ちょっと、その、比較を出して。」


 首相は、あらかじめ、同じような状況の映像を抜き出して、直ぐに、自国の衛星が録った写真と、比較出来るようにしてきていたのだ。


 「ありゃま、こりゃあ、そっくりですよ。副総理。」


 毛葉井大蔵大臣が指摘した。


 唯一の首相の支持者ともいえる四日よつか総務大臣が、付け足した。


 「同じ、場面ですね。」


 「ふん・・・ふん。ふん。」


 気に入らん、という感じで、絵江府大臣が鼻を鳴らす。


 この人の、くせである。


 「これが、真実と仮定して、つまり、どうなるのでしかなあ?」


 いくらか、おとぼけの野付のっぷ通信大臣が尋ねた。


 「こうですな。かつて、太陽系を支配していた、火星と金星は、2億5千万年前に、文明崩壊を起こしたのです。火星人と金星人の一部は、地球に移住した。それが、タルレジャ王国のご先祖様です。で、火星人の多くは、時が来るのを、火星の奥深くで、じっと待っていた。一部は、活動を続けていた。それが、あのリリカとか、ダレルというやつらですな。どうやって、そんなに、生きて来たかなんて、聞かないでくださいよ。で、一方、金星人たちは、よくわからないが、遠い宇宙空間に追放されていたが、長い時間かけて、帰ってきた。火星人とかの一部は、最近地球でも、言われていますが、太陽系外縁部の遥かな遠くにある、『第9惑星』に移住していたが、ここにきて、太陽系中心に、進出を始めた。で、抗争事件が起こった。と、まあ、こうしたわけですな。」


 「そりゃあ、金星人は、怒るでしょなあ。」


 野付大臣である。


 半分、冗談で言っているのは、みえみえである。


 「そうです、そうです。しかし、僕が思うに、この問題は、地球人がぼんやりしていてよい話ではない、に違いない。」


 「なんですか、それは。第一、そのような話、宗教的にも、倫理的にも、どこの国だって、認めるはずがないです。火星人だけで、もう、頭がいっぱいでしょうが。」


 絵江府大臣が、次の一発を繰り出そうと待ち構えながら尋ねた。


 

  そこに、首相の例の秘書が、飛び込んできた。


 「あの、緊急事態です。これ、防衛隊からです。」


 「あ、ども。ふん・・・・・・やはり、な・・・・・」


 「なんですかな、首相。」


 絵江府大臣が、押してきた。


 「ああ、防衛隊からですがな、正体不明の物体が、多数地球を包囲し始めている。アメリカ国からも、同様の趣旨の報告が来ている。と。また、帝国軍も、同様に確認した。帝国軍は、すでに戦闘準備態勢に、入ったと、のことですな。各国の協力も、間もなく、正式に求めると。火星のダレル将軍は、全面的に地球を支援すると帝国に伝えた、と。さらに、金星の総統も、同様の意志を火星を通じて伝達してきた。」


 「また、火星人じゃないのか?」


 絵江府大臣は、その先には、進めないらしい。


 感応者は、思考力に一定の枠がはめられているのは、間違いないな。


 首相は、内心、ほくそえんだ。



 「いやあ、違いますな。」


 会議は、しばし、凍結した。



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