表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/230

わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百八十九回


  ************     ************



 『第二王女』は、ある意味、大変に迷っていたのである。


 世間は混乱していた。


 射殺されたのは、『第1王女』だ、と、第1報では報道された。


 しかし、間もなく別の報道が出された。


 王室派の新聞『我が王国』は、どこからどう取材して来たのかわからないが、次のような見出しの大々的な記事を発表したのだ。


  《第1王女様はご無事! 亡くなったのは、『第2王女様』》


 その根拠は、《第3王女様》、すなわち、『皇帝陛下』筋から出された『極秘情報』である。


 と、すっぱ抜かれたのである。



 しかし、当の『地球帝国政府』も当惑していた。


 その時、『婚約の儀』と『地球帝国創立式典』のため、三王女様とも、王国の『王宮』もしくは、『タワー』に滞在していた。


 殺害された王女が、双子のどっちなのか。


 間違えるはずがないだろう、と、世間からは思われるかもしれないが、そう簡単ではない。


 タルレジャ王国は、一応『民主主義国』であり、王室は政治にはタッチしないのが基本だが、国王の拘束以来、事実上の『クーデター』とも言われる状況で、17歳の『第1王女』が、全ての権限を掌握していた。


 それは、周知の事実である。


 タルレジャ王室は、謎が多い。


 それでも、政府は機能していたし、大方の俗世のことがらは、首相に任されていた。


 それが、内戦の勃発で、『南島』対『北島』の戦争に発展しそうになった。


 王室を除いて、『北島』のトップは、『侍従長』である。


 『タルレジャ教』のトップ、『教母』様は、俗世の事には関わらないのが、古来からのしきたりだ。



 『第3王女様』は、地球帝国の『皇帝』であり、『第2王女様』は同じく『総督』である。


 しかし、『第1王女様』は、そのまま、王国の王女ではあるけれど、『地球帝国』には、直接のかかわりがない。


 その、『皇帝』の考えは、明らかに、『北島』の開放にあった。


 しかし、『第1王女様』は、徐々に緩和する方針ではあったが、即時開放は考えていない。


 それは、彼女にとって、非常に『マズイ』ことだからである。


 彼女にとって、というよりは、彼女に取りついている、ある『存在』にとって、と、いうべきだ。


 過去の秘密が明らかになることは、最終的にはどうにでもなるが、社会秩序の維持という観点からは、好ましくないということだ。


 さらに、食料の問題がある。



 火星での失敗は、『金星のママ』を放置していたことに大きな要因があった。


 『ママ』は、実のところ、すべてを『ぶちまける』考えがあった。


 もっとも、二億五千万年前のことだが。



 非常に危険な力のある『宇宙警部』が、干渉してきていたが、ビュリアに恋をしてしまったことから、状況は非常に不透明になった。


 おまけに、『宇宙警部』は、『宇宙怪獣』の元同僚で、さらに親友だったことは、『ビュリア=女王』には分かっていた。



 やがて、女王は、地球中心の、新しい『太陽系』の構築に踏み切った。


 現状は、その流れの上にある。


 『ヘレナ』と『ルイ―ザ』は、女王が作り上げた、自慢の『地球人類』の最高傑作だった。


 もう少し言えば、『ルイ―ザ』は、ヘレナのスペアだったのだ。


 シモンズは、そこのところを、早くから見破っていたのだが。


 この二人は、双子というより、さらに完璧な同一人物だったわけだ。


 まあ、いろいろ、女王は、味付けはしたが。


 

 だから、射殺されたのが『第1王女』なのか『第2王女』なのかは、『女王』にとっては、最終的にはどちらでもよかったのである。


 二人は、いつでも、完全に入れ替わることが可能であり、その意識そのものも、そのまま、入れ替えることができる。


 『どうしようかなあ・・・』


 と、迷ったのは、本物の『女王』だったわけだが、その『女王』そのものが、『本物』かどうかさえ、かなり怪しくなってきていた。



  ************   ************



 「ということは、間違いないと思うんだ。」


 シモンズは、弘志と会話していた。


 「う~~~~ん。」


 弘志は、うなった。


 「あの、シモンズさん。ならば、ぼくとゆきちゃんはどうなんだろう。」


 「そうだね。確実には言い切れない。雪子さんに確認してみるしかない。ただ、雪子さんは、自分の正体を明かすことは拒否しているだろ?」


 「そうなんだ。」


 「まあ、ぼくが想像するに、君たちの関係は、弘子さんと道子さんの、こうした関係とは異なるんだと思う。しかし、背後に、なんらかの企みがあって、キミたちが生まれたことも、間違いないんだろうな。君はビューナスの生まれ変わりだと言われた。『両性具有』の、言い方は良くないが、ミュータントだ。妹さんも、つまり、ゆきちゃんも、そうした存在だろう。気にはなるだろうけど。」


 「そりゃあ、気になるさ。化け物なんだよ。ぼくは。」


 「まあね。」


 弘志は、がっくり、首を床まで落とした。


 「しかしだ、人間だれしも、自分の出生は選べない。それは、みな同じだよ。」



 『あの~~~~~~。いいですかあ?』


 例によって、アニーさんが割り込んできた。


 「聞いてるのは、分かってるよ。アニーさん。なんだい。」


 『宇宙戦争がはじまりましたあ。場所は、金星近傍と、その大気圏内。攻撃してきたのは、『第9惑星』の、『火星』と『金星』の人類の子孫たちだと思われます。』


 「ほんとに、やり出したか。」


 「はい。まあ、同士討ちですが、同士とは思ってないようです。その姿は、見えないです。何らかの防御物質が宇宙船を覆っていて、中が見えないです。『光人間』の関与が疑われます。もしかしたら、『光人間』が、首謀者かもしれないです。形勢は、互角。『宇宙警部』さんが、なぜか、金星側についてます。これが大きいですね。ものすごく、強い。」


 「はあ。そりゃあ、警部さんだもんな。地球に波及するかしら。」


 そう、弘志が尋ねたのだ。


 『さあ、どうなんでしょう。ヘレナさんは、応答しないです。アニーさんも、困ります。』


 「あのさ、アニーさん。」


 これは、シモンズである。


 『はいはい。なんですか?』


 「亡くなったのは、実際、どっちなんかいな? へレナか。ルイーザか?」


 『ああ。回答したします。ヘレナさんです。』



   ************   ************










  








 






 

 



   ************   ************



 「やましんさん、御正月以来ですね。」


 幸子さんである。


 しっかり、黒のマスクをしている。


 「幸子さん、花粉症?」


 「ファッションですよ。女神様は、影響受けませんから。」


 「まあ、そうだと思うけど。『第3部』の続きのほうを、ぼちぼち書いてるからです。上手くゆかないけど。」


 「上手くゆかそうと思うと、間違いですよ。やましんさんは、天才じゃなくて、ばかの一種ですよ。だから、上手に書こうなんて、思っちゃダメなんですよ。あるがまま。指の向くまま。」


 「まあ、ね。このごろ、体力が急に減退。保険料は高くなる。もし、危ない状態になって、さらに、万が一医療が破綻してしまうと、60歳以上は捨てられる可能性が出て来ます。」


 「そのときは、幸子がご案内いたしましょう。地獄に。」


 「はあ・・・・。居場所があるなら、まだましかな。いやいや、それじゃ困るよ。やっぱり。」





  ***************   ***************











 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ