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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百八十五回

 

  ************   ************



 地球帝国皇帝ヘネシーは、第1タワーに帰ってきていた、


 ただし、これがコピーの皇帝だと気が付く人間は、ほぼ、だれもいない。


 それは、火星人も含めての話しだ。


 例外は、まず、この技術の、最終完成者である、リリカ。


 初期の技術は、彼女のご先祖が開発していたが、現在の技術を完成させたのはリリカである。


 そこで、彼女は、相手がコピーかどうかを確認することができるはずだ。


 ただし、ダレルには、その術がない。


 ジャヌアンの機械は、このコピー人間には対応しないことは、経験上だが、確実だった。


 それから、もちろん、ヘレナ本体だ。


 もっとも、火星人は『人類』だけれども、『ヘレナ』そのものは、人類ではない。


 生き物でさえない。


 しかし、ここに、大きな問題があったのだ。


 このコピーは、そもそも、リリカの技術によって、なされたものなのかどうか、ということだ。


 おそらく、ヘレナは、そのこととは関係なく、同じ効果をもたらすことが可能なはずだ。


 それは、まったく、魔術のようなものでさえある。


 科学との大きな違いは、だれも説明が出来ないことだ。




 しかし、雪子は言うのである。


『今、起こっていることは、リリカさんやダレルさんが、すべてを起こしているのではありません。』


『やはり、ヘレナが、犯人なわけかい。』


 シモンズが、分かった話だと言う感じで、そう言った。


『そう、簡単でもないのです。』


『ほう・・・と、いうと?』


『シモンズ様も、以前からある程度ご存じだったことですが、ヘレナ様は、女王様は、ひとりではありません。』


『うん。それは、それは、そうなんだろうとは思ったよ。本人がそう言うんだからね。へレナは、自分の分身を自由に作れるらしい。目には見えないが、それが体内に寄生したら、ヘレナ自身になる。ここは、なかなか意味深だが、本来の自我がすり替わってしまうようなものなんだろう。弘子さんは、弘子さんのままで、体内に存在している。身体的な抵抗は出来ないが、意識としては抵抗も出来るが、やがて飼いならされてしまう。それでも、ヘレナ本体が留守すると、本来の自分を取り戻せるらしい。おかしな話しだがな。』


『まあ、そういうわけです。問題は、いったい誰が、ヘレナさん自身になっているのか、まったくわからないことです。すべてがわかっているのは、総本体と申しましょうか、へレナさまの、すべての元になっている、なにモノかだけなのです。』


『うん。じゃ、ちょっとまって。あなたは、あのヘレナは、本体そのものじゃない、と、言ってるのかい?』


『そうですね。まあ、とりあえず、そうです。ただし、本人は、そうは思わないことがあるのです。多くの分身は、ルイーザ様のように、ご自分が分身であると認識するように仕組まれます。しかし、そうではない場合がある。たとえば、かつての火星の女王様のように。です。』


『ぼくの調べた範囲では、当初の女王は、ほんもので、怪物ブリューリが取りついて以来は、分身になっていたと。』


『そう。ちなみに、その当時、リリカさんや、先駆的な技術を開発した科学者であるご先祖は、まだ姿も形もない。でも、でも、完成されたコピー人間はいたのです。最初の女王には、コピーがたくさんいたのですから。長く、姿が変わらなかったという伝説があるのは、そのためです。』


『そりゃあ、そうだな。』


『ですから、コピー技術は、もちろん、本来は、リリカさんの特許ではありません。もっと古くから、実はあったのです。ただ、しばらく使われなかっただけです。忘れられていたのです。ヘレナ様以外には。同じ見た目であることを、やめただけです。地球上にも、そうした実例が伝説化してる場合があります。』


『ふうん。異常に長生きした古代の伝説の英雄なんかかな。でも、まだ、核心はさっぱり、わからないよ。』


『まあ、急がないでください。まず、ご自分が、ヘレナ様の分身だとさえ、思わないものもいるのです。』


『そいつは、自分が乗っとられていることもわかっていない、ということかい?』


『そのとおりなのです。しかし、その目は、ヘレナ様のものです。』


『ふん。で?』


『この世は、ヘレナ様だらけ、ということなのです。自分では、まったく知らないことさえも、多数ある。いえ、そのほうが多いはずです。でも、ある日、目覚めることもある。たとえば、もっとも有名な伝説的人物として分かりやすいのは、金星のビューナス様です。』


『金星の、伝説の支配者だね。そいつは、地球人には、とっぴょうしもない話だけどな。その最後は、金星のママに攻撃され、討ち死にして『真の都』に入った。ただ、ぼくは、その『都』の実在は、またく、信じていないけれども。でも、ビューナスは、実在したんだろう。リリカやダレルがいるんだし、ぼくらは、シブヤのママに会ったし。でも、ビューナスは、ヘレナ自身だった? と?』


『まず、『真の都』は、実在します。『真の都』は、実在するのです。まあ、その意味は、いくらか問題ですが、実在します。そうして、ビューナス様は、その身体は、ヘレナ様によって作られた『人類』ですが、両性具有という、特殊な身体でした。そのなかには、実は、へレナ様の分身が住んでいました。でも、いいですか、ビューナス様はもちろん、その当時の女王ヘレナは、その『こと』を、知らなかった。そうして、さらに、重要なことは、避難していた本体のヘレナ様も、じつは、『知らなかった』のです。それがどうしてわかるのかは、実は、簡単な事です。弘子様は、あたくしの姉ですから、知る機会はあったのですから。詳細は、まだ、少しお話を待ってください。ただ、金星と火星の崩壊は、いわゆる『歴史』とは、大分、実は、違ったお話になるのです。当事者だった、リリカ様やダレル様や、シブヤのママさんや、王国の女将さんが認識していることも、実は、ちょっと、違うのです。さらに、これは、ここで話すべきかどうか、少し疑問はあります。弘志さまには、以前お話を少し致しましたが。あなたのことです。』


『ぼくが、ビューナスの生まれ変わり、とか言うことだろう。いいよ。もっと知りたいし。』


『なんだ、そりゃあ。』


『わかりました。ただ、いま、ここで、すべてを解明することは、まだ、できません。大きな問題があり、みなさんが、非常に危険だからです。最初に申し上げますと、わたくしは、相手がヘレナ様の支配下にある存在かどうかを、すべて見抜くことが、おそらく、可能です。この地球上では、わかくしだけに可能です。ただし、おそらく、です。絶対ではないのです。ヘレナ様が、少し、考えを変えるだけで、歴史が、全て変わるかもしれませんから。しかし、現在の『この宇宙』、でならば、たぶん、そうです。地球以外に関しては、責任もてませんから。』


『まずは、きみは、へレナじゃないのかい? ぼくは、かなりの確率で、そうだと考えていたんだけれど。』


『まあ、信じるかどうかは、あなた次第ですが、わたくしは、ヘレナ様、つまり、女王様では、ございません。分身でもない。本体でもございません。』


『ふうん・・・・・・・・・』


 シモンズが、腕組みした。


 彼が、とんでもない事を考えているときの、くせである。




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