表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/230

わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百七十八回


  *************     ************



 紅バラ組の代表者会議が開かれていた。


 紅バラ組は、急速に膨張し、拡大し、もはや、トウキョウの地域女子暴力グループにはとどまらなくなっていた。


 彼女たちが所持する武器は、地方警察の武器を、すでに遥かに超越していた。


 さすがに、防衛隊のような重装備はないが、紅バラ組の為に防衛隊が出動するという発想は出て来ないうちに、彼女たちの実力は州警察に匹敵するくらいになった。


 女子高校生から始まり、さらに中学生たちも、次々に組員に改造されてゆく。


 この、強力な洗脳薬剤と即効教育システムが、どこで作られているのか?


 警察の現場は探っていたが、なぜか、中央は、あまり立ち入ろうとはしない。


 むしろ、現場が介入しすぎないように監視しているのだ。


 なお、大学生は、ピュアな精神が少なくなり、理屈が先に立って扱いずらいので、組織の中核は、中高生になったのだった。


 ただし、一部、専門知識が必要なので、優秀な女子大学生が、全体の5%程度は、スカウトされていた。


 必ずしも、幹部という訳ではない。


 

 組織が大きくなると、全員会議というわけにはゆかなくなる。


 それは、厳しい引き締めが必要だと言う意味にもなるが、紅バラ組の結束は非常に固い。


「いいか、てめぇら、よう、聞け。組長から連絡があった。関西州から西側の、瀬戸内側本州地域は、わいらが自治権を取ることに決まった。もちろん、組長がボスじゃ。ただ、ヒロシマだけは、政府が直轄することで組長が譲歩したようじゃ。まあ、これは、やむおえまい。州都は、オオサカじゃ。州名は、『紅バラ州』となる予定じゃ。」


「お~~~~~~~!!!」


 歓声が上がった。


「リーダー。シコクは、とれなかったんか?」


「そうじゃ。まあ、わい自身は、いずれは、併合するつもりじゃがのう。まあ、最初からあせるものではない。時を待つのが、上策じゃ。」


「地球帝国の傘下には入るんじゃろうか?」


「うむ。それは、組長の方針じゃ。わいらは、地球帝国の屋台骨とならねばおえん。そこは、根性入れてわきまえよ。」


「あい!」


 このリーダーの正体は、いまだ明らかには、なっていない。


 組長が、実はへレナであり、副組長が、改造後のルイーザであることは間違いがない。


 ただし、もちろんそれは、リーダーしか知らない、秘密事項でもある。





  ************   ************




「まったく、お姉さまのお考えは、革新的と申しますか、むちゃくちゃと申しますか、表現しがたいほど、すばらしいですわ。」


 はあはあ言いながら、ルイーザがつぶやくように言った。


「ふんふん。それは、褒めたの? けなしたのかなあ?」


 アニーの仲裁があったにもかかわらず、いったん、とっつかみあいの喧嘩となったが、これは、このふたりの和平のためには、やむ負えないことだった。


 世間さまからは、いささかも信じられないだろうが、このふたりは、つかみあいの喧嘩は、実のところは、しよっちゅうだったのである。


 怪我はしないように、おたがい注意はしていたが。


 どちらが強いかと言えば、それは、まあ、ヘレナが強い。


 しかし、ルイーザは、かなり手加減をしているのだ。


 本気になると、実は殺し合いになりかねないからだ。


 妹ととしての、マナーのようなものである。


 よほど、どうしても通したい事件がある場合を除き、姉にうっかり勝ったりはしないのだ。


 ただ、絶対に譲れない場合というものが、時にはあるものだ。


 そういう場合は、それなりに、覚悟を決めて挑むことになる。


 すると、その内容をヘレナの本体が認識したら、意外とあっさりと承認されてしまうものでもある。


 まあ、そうした場合は、喧嘩にもならないわけだが。


「いずれにせよ、なにを、どうしたいのかが、はっきりといたしませんわ。」


「まあ、めんどくさい子ね。しばらく、管理しないと、すぐに跳ね上がる。ほら、文句言わずに、あたくしに従いなさいませ。」


 ヘレナは、分身の心理操作をした。


「あ・・はい・・・・お姉さま。分かりました。すべて、仰せのママにいたします。あたくしは、あなた自身です。幸せです。」


「あたりまえよ。逆らうのは、1億年早いわ。」


『あ~~~あ。また、無理やり従わせちゃった。』


 アニーがぼやいた。


「あなたも、改造されたいかなあ? まあ、それって、快感だものね。人間はねぇ、あたくしに操られると、異常な幸せを感じるものなのよ。」


『そりゃあ、あなたが、そうさせてるんだから。昔からそうですよね。麻薬みたいなものです。長くなれば、もう、操られるのが当たり前になる。絶対にあなたには、反抗はしたくなくなる。北島の人は、みなそうですよね。』


「人心支配の極意だわ。あたくしがやらなくても、人間自身が、そうするようになる。」


『おお、こあ~~~~~~!結局、やはり、地球も支配するんだ。』


「ふうん・・・・・アニーさん、やはり、ちょっと変ヨ。どしたのかな? やはり、改造が必要かな。最近まったく、改造してないしな。」


『いやいや、大丈夫レス。アニーハ、モンダイナイレス。』


「おおありみたいね。ま、今は、あなたを調整している暇はないわ。あなたをいじくるのは、大事おおごとだ。さて、そこで、アニーさん、お願いがあるんだけどなあ?」


『はあ? なんでしょうか・・・・・・・』




   ************   ************




 あんじの属する、穏健派ミュータント組織としては、紅バラ組の急速な膨張は、ほってはおけない事態だったにもかかわらず、なぜか、組織のトップは、あの衝突以来、派手に動かないように指示してきていた。


「ねえ、『接続者』さん、いいのかなあ。みんな、ちょっと、不満感と不信感が増大中。例の急進派に移ろうかとか言うお話しもあるみたいですよ。」


「あ、そ。おらしらね。」


「ほらほら。それがよくない。知ってるんでしょう? 何を待ってるの?」


「はあ・・・・・おらしらね・・・・と、言いたいのですが・・・先ほど指示が来ました。叩きます、徹底的に。急進派2派との共闘がなりました。あなた、おひま?」


「まあ、何か用があるなら、優先しましょう。」


「よかった。じゃあ、ちょっと、一緒に来てください。」


「ふたりで?」


「おや、心配かなあ? じゃあ、このさい、レーダー君も連れてゆきましょう。」


「どこに行くのですか?」


「ふふん。まあ、行ってのお楽しみかな。良いところだ。」


「そりゃあ、よくない言い方でしょう。まだ、良いところにはゆきたくない。」


「きみは、どこの出身だっけ?」


「火星です。」


「は? え? なに?」


「あら、言ってなかったっけ? あたしは、火星人。もっとも、名目上は金星人だけど。普段は、角や牙とか、隠してるの。まあ、もっとも、長く出してない。もう、出ないかも。多少は、整形もしてるわけですよ。」


「なななななな。連中のスパイかい?」


「まさかあ。まあ、あえて言えば、反逆者。反体制派。反女王派。かな。」


「むむむむ。そりゃ・・・・・」


「連れてくの、やめますか?」


「・・・いや。いい。行こう。」


「そうこなくっちゃ。」


「やれやれ、やっぱ。ひとすじなわでは、ゆかないよなあ、この人たちは。」


「は? なんですか?」


「いいや。いいです。」


「だいたい、あなたは、どこの御出身ですか?」


「地球です。」


「あ、そ。」



  ***************   ***************

























































































































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ