わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百七十一回
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『リリカさん! 応答せよ! リリカさん! リリカさあああん!』
『そんな、はでに呼ばなくても聞こえております。ヘレナさま。』
『よかったあ。最近、ちょっと、調子悪いんだなあ。』
『風邪でもひかれましたか? ヘレナ様が御病気というのは、聞いたこともないですが。うそ病気以外は。』
『あらら。見抜かれたか。気分が重くてね。うつかもしれませんわ。』
『まあ、たいへん。で、何をやれと?』
『ははは。まあ、リリカ様には、かないませんわ。あのね、ヘネシーさまのコピーをお願い。兆精密なやつね。それと、あたくしと、ルイーザさまのも。』
『ははああ。ずるする気ですね。』
『まあね。このさい、しかたがないわ。』
『いつ、入れ替えますか?』
『ヘネシーは、すぐよ。あたくしは、しばらく、そこで展示でもしておいてくださいな。初夜がすんで・・・恥ずかしい・・・・から、交代ね。』
『ふうん・・・・そこは、まあ、はあ・・・・』
『まあ、身代わりだから。で、あなた、いつ地球にいらっしゃるの?』
『明日の晩の予定です。』
『大々的に来なさい。ダレルちゃんは?話が通じてる? いま、まさにここで、目の前で、わいわい言ってるけど。』
『大丈夫です。でも、そこ、どうなさなるのですか?』
『まあ、お金と、時間稼ぎよね。ポプリスちゃんは、長期的にお金がもうかれば、まずは、それでよい。名目は何でもいいわけだ。金星調査費でもいい。環境維持費でもいい。主権がどちらにあるか、に関しては、しばらく棚上げにしてもいいという気持ちはあるらしい。ブリちゃんが問題だけど、主権問題は、当分棚上げにしても仕方がないという気にはなってきている。戦争になったら、帰ってきた意味が無くなるかもしれないものね。とくに、アブラシオと、さらに得体の知れない『宇宙警部』さんが付いてると来た。警部の本体は、さかんに、いろんな、デモンストレーションをして見せているわ。地球の大きさくらいになってみたり、逆に極小になってみたり、あんぱんや肉まんくらいになったり。金星をちょっと太陽側に動かしてみたり、水星をこっちに動かしたり、また元に戻したり。』
『まあ、それで、地球も騒いでいるのですが・・・』
『ああ、さすがに騒いでるか。』
『はい。ただ、帝国政府には、あまり情報を出してないのです。』
『うん、それでよい。まあ金星人の地球に関する権益は、ちょっと待ったよね。帰って早々に、三等分してくれなんて、あまりに、むしがよすぎるわ。』
『もちろん、そうです。では、式典は?』
『予定通りよ。延期する理由などないわ。式典が住んだら、地球の態勢は大幅に変えるわよ。まあ、大改革ね。お約束通り、火星で働く労働者を大々的に募集するわ。それと、お待たせしておりましたが、急速に火星のテラフォーミングを進めます。わるいけど、アニーさんに監督やらせるわ。『第9惑星』にも手をつけるわ。『火星』は、優秀な地球人の協力があれば、100年もかからないでしょう。『第9惑星』は大きいから、もうちょっと、時間がかかるけどね。金星は、さすがに、勝手にはできない。まあブリちゃんと相談しながらでいいわ。火星と、『第9惑星』を見ていたら、気が変わるわよ。きっとね。』
『まあ、そうでしょう。』
『もうひとりのあなたは?』
『例の、パイオニアの少佐さまを、接待しています。キッチンさまとか。』
『見つかったの? 彼女は?』
『はい。生きていました。』
『やた! ちゃんと、会わせてあげるのよ。しっかりお膳立てしてね。マスコミさんも入れなさい。感動の再会よ。うまく、式典と連動させなさいな。さあ、忙しくなるわよ。地球人は、衝撃の太陽系の歴史を発見するの。自分たちが何者かを、見つめ直す。火星人だって、地下から這い出す時期がやって来た。金星人にも、衝撃の事実がぶつかってくるわ。光人間さんにもね。・・・ほ~~~ら。海賊さんが現れたわよお。マ・オ・ドクが来る。ジニーさんも。お相手しなくちゃね。弘志くんにも、新しい自分が待っているわ。地球人の生物としての在り方そのものが変わるの。さあ、リリカさま、動いた動いた!』
『まあ、でも、私は、どうなのですか?』
『あなたとダレルちゃんは、いつも、客観的であるべきだ。そうそう、あと、横綱クラスの大物が何人かいるわけよ。洋子お姉さまとか、教母さまとか。隠れてしまったミュータントさんふたりとか、それと、シークレットのやつよね。これが、きっと、おお事なんだ。あたくし自身の身体が、本当に消滅するかもしれないな。まあ、それでも、事は進むわ。弘子さんが消滅しても、あたくしは滅びない。見えないけどね。いずれ、あなたが、アニーさんと、ちゃんと進めてくださるでしょう。』
『でも、私は、全ては、存じませんが・・・・』
『はい、御免なさい。・・・まあ。大丈夫よ。確かに、不確定なところは、一杯あるのよね。だから、面白いのよ。いよいよ、これからなんだ。まずは、あたくしの、暗殺からね。でも、その前に、美味しいお食事しなくちゃ。そうして、正晴様と・・・・ね! さっきは、あとちょっとで、じゃまされちゃったし。』
『はあ・・・・・・・』
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池の女神様軍団は、教育センターを席巻して回った。
様々なシステム、機械など、あちこちを、周到に破壊した。
その指揮は、アヤ姫様が執った。
アヤ姫様の姿は、王国人の頭には焼き付いている。
映画のような、かなり衝撃的な事態だったが、手の付けようがない。
一方幸子さんは、大量のお饅頭を、そこらじゅうに、山のように振りかけて回った。
『ハイパー・おまんじゅう、あらしい~~~~~~!!』
とか、叫んでいたという。
それは、ちゃんと、個別包装されているものだった。
さすがに、王国人には、これがいったいなにか、直ぐにはわからない。
日本合衆国出身の研究者が、『これは、お饅頭という、お菓子です。』
と、説明した。
しかし、食べて良いモノかどうかは、さすがに、判断が付きかねたのである。
事務所も、スタジオも、改造室も、お饅頭で埋まってしまった。
やり尽くした、池の女神様軍団は、次の目標に向かった。
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*************** ふろく ***************
「やた~~~~~。ハイパー・おまんじゅう、あらし~~~~!!」
「ぎゃ~~~~~!」
前が見えないほどのお饅頭がふってきたのです。
「さ、さちこさん、こりゃあ、やりすぎだ。お部屋が、うまる。たしけて~~!」
ぼくは、脱出しようと試みましたが、無駄でした。
「幸子、活躍記念です~~~~。おまんじゅう、あらし~~~~~!」
「ぎえ~~~~~~~~! おうちが、破裂するよ~~~」
こりゃあ、幸子さんを登場させたら、大変だ!
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