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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百六十六回


 ************   ************



 侍従長は、王宮の地下に隠されている部屋のひとつに入り、いかにも、おどろおどろしい感じの、うっそうとした『機械』の操作パネルに向かい、『第1王女』から極秘に預かっていた、『黒の兵士』の『カギ』を、外した。



 ここは、『第1王女』と『侍従長』以外は、知らない場所である。


 その、侍従長も、『ここ』しか、知らない。


 他には、なぜか移動できない。


 そこは、かつての巨大な『火星王宮』の『本体』そのものの内部にある。


 この部屋は、人造人間などの、制作制御室だったところである。


 いや、現役で、使用可能なのだ。


 

 もっとも、むかしは、火星人専用のコンピューターパネルだけだったものに、地球人にも扱える『現代型』パネルの様式も、すでにしっかり取り入れてあって、パソコン嫌いな侍従長でも、すぐに使えるような、たとえば、駅の自動券売機みたいな画面にも、すぱっと切り替えることもできたのである。


 このあたりは、アニーが、腕によりをかけて、改修していたのだった。



  『ようこそ・いらっしゃませ! ここは、人造複写人間モデルの作成レシピです。』 


 

 という、いささか、わけのわからない表示が出た。



  『あなたは、どのようなモデルが必要ですが? 必要なものをタッチしてください。』


  1 男


  2 女


  3 性別考慮必要なし



「なんだ、こらやあ? 関係なしだが・・・・まあ、3かな。」


 侍従長は、3を押した。


  『どのような職種が必要ですか?』



  1 官吏


  2 兵士


  3 文人


  4 音楽家


  5 スパイ


  6 科学者


  7 殺し屋


  8 その他



「またまた、なんだか、おかしな分類だが。まあ、でも、2かな。」



  『つぎの中から、お選びください。』


  

  1 伝統的な黒の兵士(おまかせ版)


  2 オーダーメイド版兵士



「いやあ、オーダーメイドしてる暇はなさそうだ。」



 侍従長は、1番を押した。



   『何人作成しますか? 数字を入力してください。』



「いやあ、そりゃあ、多いほうがいい。まいたな、私は、軍事は苦手だ。まあ、1万人・・・と。」



   『1万人?  最終戦争ですか?』



 これは、関心を持ったアニーが介入した質問である。



「はあ・・・・・なんだこりゃあ?」



 侍従長は、『No』と押した。


  

   『了解。通常兵器を装備します。』



「おいおい、Yes、としたら、どうなったんだろう? まあ、いいか。」



  『以上で、よろしいですか? さらに、細かい指定がある場合は、✖を入力。よろしければ〇を入力してください。』



  侍従長は、『〇』を入れたのである。




  ********     ********



 『黒の兵士』は、先にヘレナとシモンズに付き添った、あれである。


 アンドロイドではなく、いわゆる、コピー人間であり、永くは生きられない。


 標準設定は、5日間とされていた。


 もちろん、必要ならば、つぎ足せばよい。


 ただ、彼らは、ほぼ、不死身に近い。


 遥かなむかし、キャニアが発揮したような超能力があるか、よほど特殊な細胞破壊兵器でもないと、強制的な機能の停止は、させられない。


 もちろん、『権限者』が消去すれば、話は別である。


 核爆発でも、メガトン級の核融合爆弾の直撃以外では、まず、破壊できない。


 それでは、都市自体が、なくなってしまうけれど。



 いずれにせよ、南島政府には、どれも、その能力はなかった。


 そんな兵士が、1万人も現れたら、たまったものではないのである。




   **********   **********



 『皇帝陛下』が、消えた。


 しかし、『総督』ルイーザがいる。


 ルイーザは、いまは、ヘレナと同化している。


 もっとも、見た目は、もともと同じだから、周囲から見れば、違和感というものはほとんどないのだが。


 クークヤーシスト先生と、中村先生の問題が、すっかりめんどくさくなった『ルイーザ=ヘレナ』は、教育センターにまだいた中村教授を、強制保護させた。



    *   *   *



「どういうこと。所長。なんで、拘束するんだ?」


「いやあ・・・まあ、上からの指令なので。わかってくれよ。職務上、逆らえない。」


「ぼくなら、逆らうかも。いや、・・・・失礼、で、どこに連れてゆけと?」


 自分は『不感応者』だと公言するのは、さすがに、少し気が引けたのだ。


「それは、わからないんだよ。まあ、逮捕とかじゃあないらしい。『丁重に保護すべし』だからな。お迎えが来たようだ。じゃあ、元気でね。また会おう。」


「そうだね。君、ここの上にあがったら、次は、どこになるの?」


「いやあ。そりゃあ、ここは、まあ、教育省の外郭機関だから、まあ、本省の教育部長あたりかなあ。」


「ふうん。場合によっては、ぼくが止めるかもなあ。」


「無茶、言うなよ。君は、王室の覚えが目出度い。わかった、本省には、よしなに言うから。でも、指示の出どころによっては、判らないよ。効き目がないかも。」



   ************   ************



 ジャヌアンは、未来の自分に何が起こるかを、詳細に確認している。


 しかし、ここにいる自分が、本当に自分なのかどうかについて、かなり問題があると考えてもいた。


 遥かな過去において、大失敗をして、その後に、女王へレナによって、自分自身が分割されたか、複製されたか、分離したか、などにより、いくつかの宇宙に、飛び散った可能性が、かなり、ある。


 実際は、ここにいる自分は、過去に行く前の自分である。


 にもかかわらず、過去で起こったことは、わかっている。 


 だから、過去の自分と、未来の自分と、現在の自分とが、重なり合っている。

 

 その、根本的な区別は、基本的にはつかないのだ。


 すべてを管理する総合システムは、遥かな未来にある。


 それは、確かだ。


 記憶も、行動も、そいつが握っている。


 彼女の脳は、そこに管理されている。


 それ以外は、誰にも、わからない。


 いや、それさえも、すでに、怪しいのかもしれないが、それでも、何があっても、あったにしても、もう、なかったにしても、ジャヌアンにも、区別は付かない。


 それでも、まだこうして活動してると言うことは、『管理』されてるという事だ。


 『女王』でさえ、手が付けられないはずだ。


 人類が、持てる能力を、全て注ぎ込んだシステムだ。


 最終的に、悪魔の、あの『女王』を消し去る、人類の最後の手段だ。


 一度は成功したはずの、あの、単純なできごとだ。


 いまの『第2王女』が、『第1王女』を、異空間に消去した。


 しかし、おかしな、『池の女神』とかいう、お道化役に、まったく、あえなく阻まれたらしい。


 それも、その事実を知っているのは、ヘレナと、火星のリリカだけだ。


 そうして、・・・・それをふまえて、革新的な、その、『最終的な』技術は、現在の『第2王女』の未来が、開発した。いや、する、はずの、ものなのだ。


 その事実を、消してはならない。


 

 しかし、いずれにせよ、この世界で、『第3王女』を消去し、『第1王女』を即位させれば、それでよい。


 ジャヌアンの仕事は、それだけだ。


 分離した自分が、みな同じ行動を成功させたら、問題はない。




 ここで、捕獲され、外部と遮断されることは、計算済みである。


 問題はないはずだ。


 誰かが失敗したら、自分は消されるだろう。



  ************   ************

  


 金星の支配者は、以前よりも忍耐力が、格別に向上した事はまちがいない。


 とはいえ、ポプリスは金星の居住権を高額で貸与する、という基本線は譲らない。


 もちろん、多少値引きする案は、腹の中にはあるが。


 ダレルも、金星人に地球における一部の支配権を認めることは、断じてしない、と、言い張っていた。


 地球全体の所有権を、今も維持していると、かつてビュリアでもあったという、『ヘレナ=第1王女』は、改めてそこをまず、認めるように強く求めていて、その合意が出来なければ、話は進めない、と、かたくなに言い放った。


 警部は、中立である。


 ただし、ヘレナが、かつて『ビュリア』でもあったと、はっきり、ここで言いのけたのには、やや、衝撃を受けている。


 彼は、本来は『戦争』が、起こることを抑止するために、ここにいるはずなのだが。


 

 会議は、そこで、休憩になった。


 休憩は、食事時間でもあり、温泉につかる時間でもあり、個別に話し合い、また、さらに考える時間でもある。




   ************     ************









 








 


  


 

 



 

 



 

 


 



 







 

  *************** ふろく ***************



「や、ましんさあん、起きてますかあ?」


「まあ、い、くらか。」


「はあ・・・・わかって、書けてますかあ?」


「さあて。あぶないなあ。もう、おわりかもですね。」


「ぶ。でっも、雰囲気、幸子が登場しそう。ちょと、出たし、この先、大活躍するはず! すくなくとも、そこまで行きましょ! ね。」


「はいい。まあ、そうしましょう。」


「えらく、素直な。あんな、書き方したら、そのままだと、食べちゃうからあ! おおおおお!!」


「あ、はい、大きくならないで。」




  ************   ************

















  








  













 








 







 




















  



  













  

   

 

 







 




 




  




 








 

 






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