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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百六十三回


 ************   ************



 『皇帝ヘネシー』は、姉を甘く見ていたのだろうか?


 それとも、わざと挑発をして、何かを確かめようとしていたのだろうか?


 残念ながら、頑強な不感応者である『皇帝』の意識を読むことは、少なくともルイーザには不可能だった。


 しかし、『教育センター』職員の意識を確認することは、たやすい事だ。


 ルイーザを支配しているヘレナの分身は、『教育センター』の宿直職員の配置や行動を確認し、その意識の中身を素早く探った。


 案の定、クークヤーシスト先生は、夜中にセンターに連れ込まれていた。


 おまけに、改造のための『準備段階』が進行していた。


 しかし、幸い真夜中だったこともあり、本番の処理までは出来なかった。


 『技師長』が、捕まらなかったのだ。


 地球帝国皇帝からの緊急の指示であり、おまけに、だれも、これまでやったことがない処置だった。


 『技師長』抜きでは、成り立たないのである。


 つまり、実際のところ『体制』が、まだ十分には、整っていなかったというわけだ。




   *****   *****




 彼女は、休暇を取って、友人と南島の沖にある『離島』に出かけていた。


 核攻撃された、王女様の島とは、反対側の沖である。 


 まあ、それは、彼女の唯一の『趣味』なのだったけれど。


 そこは、現在は『無人島』で、交通機関もなく、漁師に頼んで運んでもらう。


 迎えに来てくれるのは、翌日の夕方の予定だった。


 予定外の移送を頼むのは、法外な料金を取らてしまう結果となる。


 しかし、漁師には仕事があり、それを投げうって、急遽来てもらう訳だから、高くなっても、当然と言えば当然である。


 命にかかわる様な事態でもなければ、そうしたことは、したくない。


 次回から、相手にされなくなるからだ。


 おまけに、ここは通常の無線電話の圏外域である。


 彼女と、友人の男性が過ごしている小さな小屋は、南島本島からみたら、反対側にある。


 まあ、月の裏側のようなものだ。


 間に立ちはだかる山は、900メートル程度の高さがある。


 だから、衛星電話は持って来ているが、『たまたま』、電源が切れていた。


 それは、いつものことである。


 だいたい、彼女がいなければならないような事態が起こるなどとは、誰も考えていなかった。


 男は、『王室科学アカデミー』の研究所に勤務している『なんでも屋』である。


 特定の専門を持たない、科学技術全体を縦断的に扱う嫌われ者である。


 細部までを、よく知らないくせに、一定の権限を持つからだ。


 たくさんの『短冊』とか『単語カード』を、一か所に小さな穴を開けて、細い糸で結んでいる、その『糸』のような存在である。


 このふたりは、『結婚』というものは、あまり考えていなかった。


 たまに、いっしょにいるから、とても良いのであって、毎日くっついているなんて、嫌いになる原因を、わざわざ作るだけだ、という点で、このふたりは一致していた。


 そういう事情で、センターが必死に連絡しようとしてきていることなど、知る由もなかったのである。




   ************     ************



 ルイーザは、クークヤーシスト先生の処置を、一旦『停止』するように職員を、再誘導した。


 『技師長』抜きで実行することなどは、本来『不可能』である、と、再度、きつく全員に言い聞かせた。


 それから、アポなしで、『第1タワー』に、上がって行った。


 こうしたことが許されるのは、彼女だけである。


 『皇帝』は、『総督』から『業務上緊急事態』という理由で謁見を求められた場合は、『基本的に、拒否はできるが、あえて行わない。』ことで合意している。


 『皇帝ヘネシー』は、お祈りを実行していた。


 不感応者である彼女には、『総督ルイーザ』のようには、神の声は聞こえない。


 それは、ヘネシーにとっては、もし気にすれば、大変な問題になるはずのものだ。


 けれども、なぜか、ヘネシーは、そうした事実を意識したことはないし、問題に感じたこともない。


 それを、不思議に思ったこともない。


 実際、お祈りというものは、そうしたものであることが、普通なのである。


 

 『皇帝秘書官』は、交代で24時間休みなく勤務している。


 『総督ルイーザ』が、早朝からやってきて(非常識と言うほどの時間ではない。)皇帝に謁見を求めてきた。


 あえて言えば、『皇帝』とされてはいるが、正式な就任式典は終わっていないから、国連の議決からすれば、まだ『暫定皇帝』ではあるのだが、だれもそうは思ってもいない。



「いまごろから、やってきたか。まあよい、姉上には、わしに会う権限があると言うべきじゃからな。」


 『皇帝ヘネシー』は、あっさりと『総督ルイーザ』を招き入れた。


 

「いったい、何事じゃ? 『総督閣下』、いや、姉上様。」


 ルイーザは、言われるより先に、ソファに腰を下ろした。


 気に入らないことがある、という、意志表示である。


「陛下、なぜ、あのような命令を、わしに相談なしで、お出しになったのですか?」


「ほう・・・どの、命令かのう?」


「『中央教育センター』に対して、『不感応者』の再教育を、ただちに『30%ロボット化』とするよう、指示なさった。昨日の事です。混乱が生じております。まだ、『教育センター』では、その方式の技術的確立がなされておりませぬ。首都の『中央センター』が、そうなのですから、それ以外の『地方センター』は、なおさら無理です。対応策さえ分からず、大混乱です。しかも。」


「しかも?」


「なぜ、クークヤーシスト先生まで捕縛したのですか? あのかたは、中村先生同様に、『再教育対象外者』に指定されているはずです。」


「ほう。それは、・・・誰であったかのう・・・・」


「む・・・陛下、わしと、ヘレナ様の先生じゃ。ヴァイオリンの。世界的名手です。もう、頭を開けられる寸前でしたぞ。」


「ほう・・・・そなた、わしの、命令を覆したのか?」


「いいえ。停止させただけです。それは、わしに、許されている範囲じゃ。陛下、先生を、直ぐ解放するように、指示してください。さらに、この命令自体を撤回してください。まだ、これは無理なのじゃ。」


「ほう・・・総督・・・そなたは、自分の立場を勘違いしておる。もし、まだ技術的に不完全ならば、いくらか時間はかかってもよいから、すぐに、実行できる体制にせよ。それが、そなたの役割じゃ。そもそも、施設的には、十分処置可能と聞いておるぞ。わしは、さきおとつい、気になったので、カイヤに確認してみたのじゃ。すると、技術的には、一部の地方施設以外は、王国内の施設であれば、すぐに実行可能じゃと、聞かされた。ただ、そなたが、どうやら、まだ無理じゃという意識を、職員に植え付けておるらしい。とな。事実なのか?」



『そうきたか。カイヤは、やっかいなのは、判っていたわ。ふうん・・・』



 『総督ルイーザ』は答えた。


「陛下。機械は十分でも、人間は、そうは行きませぬ。研修が必要です。まだ、それが十分には出来ておりませぬ。とくに、なにしろ、脳をいじるのですよ。直にね。慎重にやらねば。もし、失敗した場合の措置に関しても、まだ十分な意志共有が出来ておりませぬ。慎重に、行う必要があるのですじゃ。」


「ほう・・・カイヤ、総督は、こう言っておるが、そなた、どう思うのか?」


『はい。陛下。『総督閣下』が言われることには、一定の合理的根拠はあります。人間は、よく教育しなければ、多くのミスを発生させる可能性は否定できません。ただし、あのセンターは、十分、『コントロール可能』です。』


「ふーん。そうなのか。わかった。」


「では、陛下、ぜひ、この命令は、いったん撤回してください。先生を、すぐに解放してください。」


「それは、できぬ。」


「で・・・・きぬ・・・?」


「よいかな、総督。『地球帝国』の範囲は広大じゃ。『王国』とは、規模が違う。いったん出した命令は、簡単には撤回できぬ。前例となるからのう。それは、好ましくない。まあ、もっとも、先ほど申したように、『全体的な実施』を、いくらか先送りするのは、容認しよう。そこは、そなたに任せよう。ただし、実行はせよ。まずは、『王国』での、成果を見たいのじゃ。当面、別に全員でなくてよい事にしよう。数人、創立式典までに、実行せよ。なお、そなたの、『先生』は、そなたが、そう思うなら、自分で救い出せばよい。わしは、手を出さぬ。」


「それは、しかし、陛下・・・」


「それまでじゃ。そなたが、監修すれば、安心じゃ。では、これで。」


 それ以上は、ルイーザには追及が出来ない。



 彼女は、急いで退室し、直接、ゴンドラで、地下経由にて『第2タワー』の自室に向かった。


 急速降下し、いったん、地下を平行移動した後、垂直に高速上昇する。



 中村先生が、おかしな事をやらかしそうだ。


 しかも、あのセンターは、『カイヤ』が、直に介入できるのに、違いないと見た。


 なぜだかわからないが、ヘネシーは、クークヤーシスト先生を『許したくない』らしい。



 ヘネシーに、やられてしまったわけだ。


 もう、間に合わないかもしれない。


 ルイーザの分身は、あそこでは、あまり、物理的に大きな破壊力を発揮できないらしい。


 ヘレナが、超能力者のテロ防止の為に、さまざまな『意識シールド』を、あちこち張っているからだ。


 しかし、アニーなら別だろう。


 アニーの及ぼす力は、『意識』ではない。



 『第2タワー』に、駆け込みながら、ルイーザは、アニーを呼んだ。



「アニーさん、カイヤを止められる?・・・アニーさん、こら、シカトするな! おどりゃあ、て、めえぇ!」


『おお、こわ~~~~! ルイーザさん、ヘレナにそっくり。そんな言葉使い、ルイーザさんはしませんよお。』


「わしは、へレナじゃ。わかっとろうが、てめぇ!」


『ああ、そうか、分身さんが入ってるからね。やってもいいけど、いいんですか? ヘネシーさんに睨まれますよ。カイヤさんには、基本的に介入するなと、ヘレナさんに、言われてます。はい。ま、でも、あなたは、へレナさんでもあるしな。』


「介入じゃなくて、センターの機械を止めればいいんじゃ。壊しても、『停電』でも、なんでも。ええ。わしの能力では、どうやら、でけんようじゃけぇ。」


「はあ・・・・よいしょ。・・・・はい、全館『停電』させました。もう、稼働不能です。」


「間に合ったのか? クーク先生は、無事?」


『まあ、タッチの差でしたけど。いまのところ、なんとか。意識はないです。』


「よかったあ。・・・搬出できる?」


『まあ、アニーさんに出来ない事は、だいたい、ないですが。でも、ここはに、次元シールドも張ってありますんで、ちょと空間移動は、無理みたいです。あなたも、他人は連れ出せないんでしょう?』


「あなた、ことば、変よ。それも、お姉さまが、やった?と?」


『そうでしょうねぇ。ルイーザさんのほうが、ざーとらしいですよ。』


「ふうん・・・わたくし、いえ、わしには、そこらあたりの、詳しい情報がないのじゃ。これは王室ことばじゃ。ここにくると、なんとのう、そうなるんじゃ。」


『お気の毒に。分身さんには、まま、あることです。あ、あ、動き出しました。カイヤさんが、設備の復旧させてますよ。電力を、空中伝送してます。』


「ぶっこわせ! かまわん。全部、ぶっこわしてしまえ!」


『はああ! やりますか? 世界をアニーとあなたが掴みますか? いいでしょう、アニーもたまにはそういうこと、やりたかたからね! ぶっ壊します。・・・ え? あららららあ!』


「どうしたの?」


『これは、びっくり。『幽霊軍団』が、現れました!『池の女神さま』軍団です。『アヤ姫様』がいます。うああ、おそろしやあ・・・・くわばらくわばら・・・』


「はあ? それは、『不思議が池』以来じゃの。わかった、見に行くわ。すごっく気になるわ。」


 ルイーザは、自室に入り、再び意識をセンターに飛ばした。



 


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 ************  ふろく  ************



「やましんさん、突っ込みどころ、満載になってきてますよお。でも、・・・やたあ、ついに、幸子が出そう!出るんでしょう?幸子が? ようやく、とうとう、大活躍ですね!」


「でます。そういう、時期ですし。」


「やた、やたあ! 少々の無理は許す! ばんばん、活躍します。お饅頭嵐を、吹きまくりますよお!」


「お饅頭嵐は、ないと思います。さすがに。」


「そうかなあ。すっごい、武器なのにい!」


「まあ、ちょっと、シリアスさに欠けますから。・・・・・『むむむ。やはり、書き直そうかなあ・・・』





   ****************   ****************

  








 

  






































 



 








 



 



 


 





 




 


 






 

 

 

 




 
















 




 


  



 


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