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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第十五章 


 弘子は校長室に連れて行かれ、ミアとくっこは応接室に入れられて、それぞれ事情聴取をされた。

 しかしながら、アンジは消えてしまっていて、行く先もわからなくなり、学校からの申したてで行方が探されたが居所いどころはなかなか掴めなかった。

 けが人が出たのは、結局弘子を襲った側だったが、彼らが一様に言うのは「なにも覚えていません。」だけであった。

 どこで、危険な武器を入手したのか、どこの誰に指示されたのか。なんにも証言が得られなかったのだ。

 しかも、襲撃に参加した8人は、それぞれに何の関係もなく、各自の職場から不意に居なくなっていた。

 いなくなった後の足取りを、警察は懸命に調べていた。

 もっとも、アニーは事前にそうした怪しい動きの情報を掴んでいたし、弘子にも警告を出していた。

 だから、襲撃者たちは、実際のところは弘子の罠に嵌って、まとめて捕まってしまったともいえた。

 ただし、あの「核爆弾」は例外で、さすがのアニーもビックリだったらしい。


 校長室には、『校長先生』、『教頭先生』、『担任の山鹿先生』、『警察のお馴染み田中警部』、その子分の『宮田刑事』、さらに大使館の『一等書記官さん』と揃っていた。

「第一王女様、今日は、お疲れでございましょうから、一旦大使館にお戻りください。」

 一等書記官が、しおらしくも言った。

「そのような、逃げるらしき行動はしたくございませんわ。」

 気の強い第一王女にしてみれば、当然の事である。

「お気持ちはよくわかります。しかし、他の生徒や教員が、また危険にさらされる可能性がございます。ここは、ぜひご配慮くださいますように。」

「ふうん。まあ、そうね。・・・アンジの行方は?」

 校長先生が答えた。

「それが、まだ分からないんですよ。自宅にも帰っていない。」

「ふうん。」

『お姉さま・・・』

 道子が意識の中に声を掛けて来た。

『なによ。』

『あの、お気持ちはわかりますが、ここは退却しましょう。』

『ふうん・・・・まあ、あなたがそうおっしゃるのであれば、わかったわ。』・・・「あの、校長先生、ではこうしましょう。午後の授業は当然中止して、生徒全員下校する。ただし、保護者付き添いまたは、それに準ずる型でね。警察さんも保護活動して下さいね。わたくしは、お家に帰る。」

「は?」

 一等書記官が異議を唱えた。

「いやいやあ、それはダメです。大使館ですよ。もちろん第二王女様も、退院後すぐ大使館に入っていただきます。」

「いいえ、お家の方が安全です。」

「いけません。大使館で外出禁止ですよ。」

 一等書記官が、叱りつけるように言った。

「おおこわ。そんな、叱らなくてもよろしくございませんか?」

「ええ、いや、その、けっして叱ったのではありません。大使館として当然の保護措置です。あの、大使から・・・ええ、お好きな飲み物も出すと・・ね・・」・・・『ねえ、道子。この石頭何とかしてくれないかな。アンジと8時に、教会で会う約束があるの。あの子はきっと来るわ。大使館じゃ身動き取れないわ。』

『でも、お家は危険なのでは?』

『そこも調べたいの。直接にね。』

『まあ、また、取りつかれますわ。昔みたいに。怪物になっちゃいますよ。』

『だから、そこはアニーさんとうまくやるわよ。いいわね。もう、決めたから。』

『ああ~あ・・・。わかりました。』

 一等書記官の電話が鳴った。

「ああ、ちょっと失礼。はい・・・・あ、はい! 総督閣下でありますか!」

 一等書記官は跳ね上がるように立ち上がって、不動の直立姿勢となった。

『えらい違いねえ・・・』

 弘子はぼやいた。

「え?あ、はい、・・・は!・・・・は!!・・・・・は、かしこまりました。仰せの通りに!」

「なによ、ルイーザがなんと?」

「はああ・・・あなたを、ご自宅で保護するようにと、いう事でありますので・・・」

「じゃあ、そうしてくださいませ。」

「分かりました、総督閣下のご指示となれば、話は別であります。」

「第二王女は、いえ、総督閣下は、どうなさると?」

「明日朝、大使館にお入りになるとのことであります。」

「まあ、先生のお許しが出たのね。よかった。」

『お姉さまあ! わしも今夜は、お家に帰りまする!ヘレナ様をおひとりになどは出来ませぬのじゃ。』

 王宮言葉を交えながら道子は伝えてきた。

『はい、はい、どうぞ。でも、叱られるぞー!』


「ええ、時に、この映像ですが・・・・」

 警部が話を変えた。

 それは、例の核爆弾が、天井からぶら下がっている写真だった。

「まあ、スマホの写真を印刷しました。それと、これですね・・・」

 心霊写真の様な真っ白な長い手が、弘子の頭の上に生えている写真である。

「これは、今朝教室内で写されたものです。つまり、生徒さんが写したものです。あるいは、幽霊かも。しかし、データの発信元は、はっきりしております。本人も、撮影して投稿した事を認めています。ただし、こっちだけ。この手が付いてる写真がどこから出てきたのかは、まだ掴めていません。このような物体が現れたことは、クラス中の生徒さんが認めております。あなたもご覧になりましたか?王女様?」

 いや、痛いところを突かれたのである。

 あの時の行動は、明らかにまずかった。大ぼけである。

「あの、実を言うと、見えてました。でも、わたくし、ああいう超常現象と言いますか、まやかし現象といいますか、とても嫌いなのですね。で、見えてないようなふりをしました。」

「見えていた。この写真のように?」

「そうですわ。ただし、真下から見上げておりましたのよ。」

「で、どうなりましたか?」

「消えちゃいました。」

「なるほど。この、気持ちの悪い方について何かありますか?」

「そうですね。幽霊写真じゃあないですよ。誰がいつ加工したのかでしょう?わたくしは、保健室にいました。四人でね。スマホなどの端末は教室に置いたままで、持っておりませんでしたわ。でも、そこで、ミアにメールが来ました。その写真ですわ。誰々に送られたのですか? わたくしのスマホにも後で確認したら来ていました。差出人は、『宇宙人』さんです。知らない相手ですわ。会社の研究所に分析させます。すでにデータは送りました。」

「地球帝国の関係者ではないですか?」

「さすが警部さん、おもしろい。でも、そこはわかりませんの。なにしろ、わたくし帝国にはタッチしておりませんもの。」

「ふうん。王国の関係者にもあたっていただけますか?王国なら、あなたが事実上トップだ。こちらで聞くより早いでしょう?」

「それは、すでに指示いたしましたわ。でも、まあ、そうおっしゃらずに警察でも、どうぞあたってみてくださいませ。・・・『あにーさん、出どころ分かったあ?』」・・・・・『それがですな。巧妙にやってますが、どうやら修正発信源は、学校内ですね。』・・・・・・『あらま・・・ふうん。先生ですか。どなたかしら?』・・・・・・『ええと、音楽の中田恵子さんです。』・・・・・・・・『ぶ! 中田? あらま・・・』・・・『消えてますよ。午後から早引けした様ですよ。』・・・・『どうも、みんな消えてるのか・・・』・・・「ああ、校長先生、中田先生の姿が、今日はまだ見えなかったのですが・・・」

「お昼で帰られたんでしょう?確か、ご親戚の葬儀とか。」

「ええ、そうです。」

 教頭先生が肯いた。

「それが何か?」

 警部が尋ねた。

「いえ、特には、音楽の先生は、わたくしにとって大事な方ですもの。」

 実際は、学校の音楽の先生には、ほとんど世話になってはいないのだが・・・。

「なるほど・・・いや、実は早退した職員や先生方も調べてはいますがね。」

「さすが、警部さん。」

「いやいや・・・。ふうん。じゃあ、あなたは今夜はご実家ですな。あすは?」

「予定では、学校に来ますわ、もちろん。」

「ああ、ニ~三日、お休みになるかもしれませんなあ。」

「確かに・・・しかし、困るのは困るのですが。カリキュラムが立たなくなります。でも、まずは今夜にでも保護者への説明会が必要ですが、なんと言って説明したらいいのか?」

 校長先生が答えた。

「そうですな、そこは、夕方またご相談しましょう。最新の情報は提供しますから。」

「じゃあ、女王様は・・・」

「ええ、一旦お帰り下さい。必要ならば、保健室へ行きますか?」

 警部が確認した。

「いえ、結構です。」

「まあ、無理はなさらないように。じゃあ・・またお話しさせてください。そうですな、今夜お伺いしてもよろしいですかな?」

「ええ、よろしくてよ。でも9時以降にしてください。わたくし、夜のお勤めがございますの。巫女としてのお仕事ですわ。」

「あああ、なるほど。神様と通信なさるのですな。」

「精霊たちとですの。通常は、神と直接お話しできるのは、国王と教母様だけですわ。わたくしは、また聞きですの。」

「ああ、そりゃあ、失礼。むつかしいですな。」

「ええ、とっても。」


 ************   ************











































 ************   ************


「やましんさん、またまた、元気ないですねぇ。」

 幸子さんが心配して言いました。

「はいー。ヒラメかないんですよ。まったく。」

「ふうん。だいたい、いつひらめくのですか?」

「お風呂、トイレ、自動車の運転中、とか。」

「ふうん。自動車は気を付けましょう。危ないですよ。」

「はい。そうですね。でも、このところ、ほぼ、だめです。」

「ふうん。歳のせいですか?」

「どきっ。むむむむむむむ・・・」

「あら、あたっちゃったかしら。」

「いやあ、まあねえ、べー先生が亡くなった年ごろも超えたし、しべ先生が作品を発表しなくなった時期だし、何かと良くない時期なのですが・・・」

「ふうん。まあ、やっぱりお饅頭しかないですね。」

「やはり、そうですか。」

「はい。どんどん行きましょう!」

「あの・・・・病気が・・・」

「ああ、大丈夫、幸子が食べますから。」

 というわけで、またまたお饅頭の雨が降りました。

 ぼくには何の役に、立つのかしら?



































































 


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