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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百四十九回


  ************   ************



 松村家の旧本宅は、現在もその広大な敷地の中にある。


 木造の大建築である。


 数回の大地震にもびくともせず、戦争でもなぜか無傷で生き残った。


 もっとも、この屋敷だけが助かった訳ではなく、町内全体が焼け残ったのだが。


 残っている証言に、『爆弾が避けて行った』、という話がある。


 もちろん、ほとんど誰も信じてはいないが、『超能力』が使われたのだ、と主張するオカルト系の学者も存在していた。


 『あんじ』のおじいさんは、この超能力説に加担していたらしい、と言われる。


 あんじの家も、同じ町内にあり、なにかと対立することも多かった両家が、戦争をきっかけに良い関係に転じたことは事実だとされる。



「こうして、この夜中に見ると、こりゃあまた、ものすごい圧迫感がありますなあ。うんうん。」


 村沢は、大げさに驚嘆して見せた。


 しかし、まんざら空言ではない。


 たしかに、大きいのだ。


 『マツムラ城』と言われただけのことはあるのだ。


 もっとも、現在は、新しい本宅の巨大さが、あまりにも目立つので、いささか大人しくは感じるのだが。


「こいつは、一般には入れないんでしょう?」


「ええ。そうです。ただ、ほっとくと痛むので、雨戸をあけたり閉めたりの作業とか、掃除とかはきっちりやります。専属の職員もおります。はい。」


「え? ここに、住んでるの?」

 

「そういう、わけではありません。あまり人目には触れませんが、裏に従業員用の宿舎がありますから。」


「そおりゃあいいな。知らなかったよ。どうやったら、就職できるの?」


「いまは、募集しておりません。募集するときは、『スローワーク』に、求人出します。あなたは、行かないんでしょう?」


「まあね。好きじゃあないよ。あそここそ、『恐怖の館』とか言われてるとか。」


「はあ・・・いやあ、私は、業務上行くこともありますが、そう、『化け物屋敷』の様なことはないですよ。まあ、もっとも、紹介されても『大泥棒さん』を、雇うつもりにはなりませんなあ。」


「また、人聞きの悪い事を。ときに、この本宅には、幽霊が出るという噂があるが、本当かい?」


 吉田さんは、即答した。


「ええ、本当でございますよ。」


「え? 本当に? 本当?」


「はい。出ます。」


「何が出るの?」


「さあて、正体はわかりません。昼夜問わず、廊下や階段を歩く音が聞こえたり、良く分からない話し声がしたり、食器が鳴ったり、まあ、いろいろ、ですな。」


「吉田さんも、見たのか?」


「はあ、しょっちゅうでございますよ。一回だけ、そのはっきりとしたお姿を目撃いたしました。内緒ですよ。」


「そりゃあ、いったい、誰だったんですか?」


「アヤ姫様です。」


 少し沈黙があったが、すぐに、村沢が大笑いした。


「まっさかあ~~~~~。『アヤ姫』は、この国に来たことがない。ましてや、この家にいるはずがないでしょう。」


「それがですな。秘密ですぞ!」


「はあ。」


「死後、アヤ姫様の魂は、ここに移住したとかも、言われております。しかも、この本宅と、王国の王宮は、『秘密の通路でつながっているのだ!』、という噂が、また、あります。」


「ぶっ! がっはははははははは。うんうん。そんなの、歩いていたら、一生がかりでしょうな。がははははははははは!」


「あっ、というまに、到着するとか・・・」


「まっさかああ。・・・・・ え? 本当ですか?」


 吉田の真面目な顔を見ながら、村沢はつい、本気になりそうだった。


「まったああ! もう。・・・・ぼくをかつごうとしてますな。うんうん。」


「さああて、あくまで、噂ですからな。」


「その、噂とやらの、出どころは? どこですか?」


「『第1王女様』です。だいたいは。」


「むううう。う~~~~~~~~ん。微妙だなあ。あの人は、すごい人だが、まったく、とっぴょうしもないことも、よく言うからなあ。そういうお年ごろでもあるし。しかし、『王女様』が、そのような噂を流しちゃあ、いけませんなあ。」



「ぶふぁわ、っははははははは。さあ、入りましょう。あなたが、確かめたらよろしゅうございましょう。」


「吉田さん。大丈夫ですかあ? ぼくを監禁する気とかじゃないですか? うんうん。」


「ははははは。まさか。さあ、どうぞ。普段は、警報装置が作動していて、おまけに、保安室がばっちり見てます。悪い事は、できません。まあ、いまも、見られてはいますがね。」


 吉田さんは、あらぬ空を見ながら、手を振ってみせた。



 **********     **********

  


「正晴様。どうぞ、キスを。もっと、深く。愛しているなら。もっと・・・・・」


 正晴は、自分の体が、まるで映画俳優のように、かっこよく動くのを見ていた。


「そうよ・・・・ううん・・・・いい。うん・・・・。さあ、服を脱がせて。ほら、すぐに、さがっちゃうわ。簡単よ。そうそう。良い感じ。」


 弘子は、ワンピースを後ろに蹴っ飛ばした。


「あとは、下着だけよ。でも、その前に、もうちょっと、やさしく・・・・・・そう。ううん。いいわあ。上手よ。・・・ほら、胸のあたりをさわってみて・・・・うん・・・・。」


 正晴は、なんとなく、夢の様な気分に包まれていた。


 よい香りがする。


 最高の肌触りだ。


 弘子の胸は、あまりにもふくよかすぎる。


 こいつ、ほんとに17歳か。


 高校生だぞ。ふたりは。


 いいのか?


 これで・・・・・




 ************   ************



「やっと、連絡が付いた。なになに・・・・・」


 シモンズが、通信文を読もうとしている最中に、『警部2001』が現れた。


「遅くなりました。おじゃまします。」


「ちょっとまってよ、これから、あなたに連絡するという通信が今来たのに、なんで、もう、ここにいるの。」


「通信の予測をしてるからですよ。シモンズさん。未来の通信は、少しだが、先読み可能だ。まず間違いは起こらない。これは予言ではない。通信が発せられたという事実が、過去に与える影響を読み取るだけなんですよ。」


「むむむ。それ、教えてください。後でいいから。」


「まあ、ビュリアさんが許可してくれたら。」


「ビュリアさんは、つまりヘレナなのかい?」


「まあ、最初はそうも思っていたが、どうも実際の行動と、ビュリアさんの痕跡が途中から一致しない。したがって、過去のある時点まではそうだったが、現在は大方、違うと思われるんです。」


「じゃあ、今は、大方、誰?」


「それがですな。わからない。見事に雲隠れしているんだよな。伝えたいことが、たくさんあるのだが。」


「『愛してる』とかですか?」


「む。シモンズ君は、やはり、ただ者ではないな。どこの宇宙から来たのですか?」


「ぼくは、地球人です。それよりも、まず、とにかく、ヘレナを探すの手伝ってください。」


「いいですよ。人探しは、ぼくの職務だから。」


「ダレルが拉致したらしいんだけど、どこにも見つからないんだ。どうも、この『宇宙空間』ではないかもしれない。」


「ほう・・・・。じゃあ、リリカさんに、まず聞いてみよう。」


「え? そんなこと、できるの? アニーさんにも、やんわりと拒否されたし。」


「まあ、シモンズさんは、いろんなとこに関わってるから、警戒されてるんでしょう。」


「ヘレナには、話しているよ。」


「ダレルさんとヘレナさんは、親子だけれど、敵でもあるのです。」


「そうなんだ。ダレルがお父さんかい?」


「逆です。ヘレナさんが、お母様です。ただし、肉体は別。」


「そりゃあ、親子と言うのかなあ。最近、少々のおかしなことには、すっかり慣れてしまったけどもなあ。」


「精神的に、親子です。」


「ふうん。とにかくじゃあ、リリカさんと話してください。ぼくは、アブラシオの中で会うには会ったが、まともには話をしていない。」


「了解。通信開始。・・・・・・・あああ、リリカさん? ぼくです。」


『まあ、警部さん。無事地球にお着きか? 今は? 温泉とかですか?』


「いやあ、シモンズ君に呼ばれましてね。今、トウキョウのマンションの彼の部屋ですよ。ヘレナさんの、今の弟さんからも依頼があるのです。」


『ああ、ヘレナさんが、行方不明の件ですか。』


「そうです。そうです。」


『なるほど、まあ、そうでしょうね。・・・・・わかりました。そこに行きましょう。』


「おおお、助かります。」


 警部が、シモンズに、まるで地球人のように、目くばせした。


 リリカは、直ぐに現れたのである。




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