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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百四十七回



   ************   ************


 *法的な扱いに関しては、まったくの創作であり、現実の扱いとは関係ありません。



   ************   ************



 杖出首相は、閣議を開催して、《R2P》の発動を国連に通告したいと提案した。


 もし、閣僚の同意が得られなかったら、強行する積りである。


 そうした場合、首相の座を降りるように勧告される可能性があるが、党の承認が必要となるので、いくらか時間的には余裕がある。


 そこで成果があがれば生き残ることが可能になる。


 意味が無ければ、自分はお終いだ。


 絵江府大臣は、当然、まっこうから反対した。


「王国は、崩壊していないし、政府はちゃんと動いとるんや。ただの内政干渉に過ぎないでっせ、総理。」


「でも、現実に『国王』は逮捕され、『第1王女』も行方不明ですが、王国は何ら有効な対策が打てないでいます。また、内戦の雰囲気さえある。特に、『第1王女様』は、我が国の国民でもあり、我が国の高校生です。王国が保護できないのであれば、我が国が彼女を、『保護』すべきでしょう。問題は、方法があるのか?ということです。」


 四日総務大臣は首相を支持する発言をした。


 毛葉井大蔵大臣は、何があっても、絵江府大臣の支持をする人である。


 次次期あたりの首相を狙っているから、ある意味当然なのだ。


「いやあ、帝国の意向が絡んでるんだぜ。口出しはマズイ。『第1王女様』は、そりゃあ心配だが、いずれ本国に引き上げるお方だ。様子見したが良いでしょう。我が国の安全保障上も、そのほうが無難ですぜ。」


「ああ、諸君は、軽く考えていますな。よろしいですかな、『第1王女様』は、我が国にとって、なにか?

 彼女は、我が国の国防の要である。そこをよく考えてほしい。『帝国』が地球を支配しても、その行く先は必ずしもはっきりしません。許される範囲の中ではあっても、一定の防御策は必要です。それは、『地球帝国の防衛』という意味でもあるのですぞ。彼女ほど、いささか非公開ではあるが、我が国の防衛にとって重要な、質の高い通常兵器を、リーゾナブルに提供してくれる方はない。もちろん、製造は、ご実家の企業ですがね。設計は、超天才の彼女であると確信できます。しかも、意図は必ずしも明確ではないが、彼女は『帝国』の運営から外れています。王国の跡を継ぐ使命があるからだ、とされています。ならば、いずれ王国の奥深くに隠れてしまわれる。ただし今ならば、『マツムラ・コーポレーション』に対しても、彼女は大きな影響力がある。『第2王女様』は、帝国の総督であらせられるので、あまり大きな期待はできませんが、私は、彼女の協力は得らえると思っています。」


「総督閣下と首相には、良い関係がおありかな?」


 絵江府大臣が皮肉に尋ねた。


「まあ、そうですな。そのつもりですが。」


「それにしても、賛成は出来ない。なんだったら、ここで決議してもらいたい。」


「それはあ、閣内不一致を認めることになるから、よくないですなあ。」


 なにごとにも慎重な、恵留霧大臣が抵抗した。


「ここは、いったん任せてほしい、上手くゆかなかったら責任とります。」


 杖出首相は、賭けに出た。


「ほう・・・・・興味深い。」


 意外と早く、自分が首相になれそうだ。


 それに、失敗しても、自分は無傷でいられそうだ。


 絵江府大臣は、納得した。


「ま、上手くゆくとは、思えないけどな。」



 **********   **********



「とにかくも、弘子さんを、まずは救出すべきです。」


 姿の見えない洋子が発言した。


「あら、お姉さま、聞いていらしたんだ。」


 明子が、ちょと例によって皮肉った。


「そんなこと、今、言ってる場合じゃないでしょう?明子さま。」


「はい。すみません。」


 文句は言うが、洋子に頭から叩かれると、明子は意外と素直でもある。


「でも、どこにいるかも分からない。それで救出なんかできる?政府のお役目だし、あたくしたちが、出しゃばってよいのかな?」


「まあ、いまになって、気の弱い事、おっしゃいますのね。自分たちの妹ですよ。マツムラの力を使って探すことは当然です。王国からの情報では、パブロ議員が絡んでいて、王国政府は、上手く動けないでいる。しかも、北島と南島が、にらめっこしようと動いている。こうしている間にも。わたくしたちは、逆に動ける立場です。『皇帝陛下』がどう出るかは、わかりませんが。」


「陛下が、介入なさって、止めるようにおしゃったら?」


「それは、ご指示に従うしかありません。我らは、陛下の僕ですから。」


『ふうん・・・・・会社が介入するのはいいけど、たぶん、皇帝陛下に、友子に、すぐ止められるな。想像だけど。まてよ、ならば、シモンズさんと宇宙警部さんに、今こそ協力要請すべきだろう。宇宙警部さんは、宇宙規模の人さがしのプロだと聞いた。こいつはすぐに実行だな。』


 弘志は、そう確信した。


『お兄様、正解!』


 頭の中で、雪子が拍手してくれている。



  **********   **********



「まあ、ぼくが思うに、吉田さんが、その人を知らないということは、ないと思うんだけどなあ。うんうん。」


 村沢は、振り向きながら言った。


「村沢様は、この吉田が、200年近く生きてる怪物だと、申されるのですな。」


「いやいやあ。そうじゃなくて、・・・。ね、吉田さん、ぼくはね、ある、仮定を持ってるんだよね。とてつもなく、常識外れで、無茶苦茶だけど。なぜ、あの火星人さんたちは、突然現われたのか? あなた、どう思いますか。」


「どうっ、て。さあ・・・・」


「ふん。はっきり言って、この村沢は、不感応バリバリですぜ。あなたがどうか知らないがね。でも、ぼくはね、すでに『講習』も、ちゃあ~~んと、済ませたんですよ。ほら、『手帳』もある。ね? うんうん。」


 それは、『不感応者』だが、政府の所定の講習を受けたという証拠であもある。


 一般的には、物理的な『洗脳済み』の証である。


 しかし、村沢が、従順になっているとは思えない。


 どうせ、なにかのトリックを使ったのだろう。


「で、このかた、ご存知ですよね。」


「いいや、ぞんじませんなあ。まったく。」


「ふうん・・・・堅物ですなあ。あなたは、扱いずらいや。わいろも通じない人だし。」


「村沢さん、あなた、『御本宅』に入ったことが、おありですかな?」


「『御本宅』?あの、でっかい和風建築物ですかい。いやああ、ないない。忍び込もうとしたことはあるんですがね・・・いや・・・・・あははは、あまりに固くってね、入れなかったんですよ。だから、諦めたんだ。うんうん。」


「ほう・・・入って見たいですか?」


「そりゃあもう、お宝満載とか・・・・」


「そうですなあ。それはもう、国宝級といいますか、世界遺産クラスといいますか、ですな。」


「吉田さんが、勝手に入れるのですか?」


「はい。警護も、任されておりますゆえ。ただし、良からぬことをなさろうとしますと・・・・」


「そうすると?」


「地獄行きです。」


「はあ?」


「あの建物は、地獄に直結いたしております、ゆえ。」


「へ? は~~ははははっは。面白い、是非、見たいや。いや、そっちの方がすぐ見たいですな。うんうん。」


「じゃあ、どうぞ。」


 『こいつ、何か企んであるなあ。』


 村沢は、そう思いながら、吉田に付いて行った。




  ************   ************



 弘子=ヘレナは、なんとなく逃げ腰の正晴のくびに、やわらかい腕を巻き付けて、迫っていた。


「もう、待てませんの、正晴さま、どうか、ほら、あたくしの、ここに手を当ててくださいませ。」

 

 正晴の手をつかんで、自分の腰に持って行く。


「キスして、よろしくてよ。」


 これは、実は初めてではない。


 数回、脅迫しながら、やらせたことはある。


 しかし、ちっとも、正晴は上手くならない。


『もう。ぶきっちょなやつね。いいわ、あたくしが、ちゃんと、動かしてあげるわ。』


 弘子は、正晴の体を、自分の意識の支配下に収めた。


 これで、なんでも、もう、彼女のやってほしいと思うように、正晴は動いてくれるのだ。




   ***************   ***************

 


            ************   ************




* R2P=『保護する責任』。現実世界で2000年9月に、カナダによって提唱された新しい概念。ただし、ここでは、その名称のみ援用させていただきましたので、内容的には、まったく関係ありません。




















































 



 
















 










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