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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百四十回


 ************   ************



 通常次元から、少しだけずれた異空間に、『紅バラ組』の組員と『サッポロにある穏健派ミュータント組織』の構成員たちが、続々と集結していた。


 『紅バラ組』は、もちろん少女ばかりだが、『ミュータント組織』の方は、男女半分づつくらいである。


 そのような構成にしたのは、『あんじ』本人だ。


 今回は、この対決を、『接続者』から、任されたのだ。


 『あんじ』たちは、『紅バラ組』の解体を最終目標にはしているが、ここですぐ達成できるほど、簡単なことではないことは、十分わかっていた。


 『紅バラ組』の背後には、『大物』がいる。


 そいつが、『紅バラ組』を解体する気にならなくては、最終決着はつかないだろう、と考えていた。


 それが、誰なのかは、今も自ら考えることが可能ならば、すぐにわかることだ。


 地球帝国の『皇帝』と『総督』のどちらか、あるいは両方か、である。


 もっとも、帝国政府に一切かかわっていないらしい『弘子』が・・・・・それも不思議と言えば不思議だが、『タルレジャ王国』の次期国王であるという、確かにそれなりの理由はあるが・・・どうからんでいるのかが、『あんじ』には、いまひとつはっきりしないのだが。



 一方、『紅バラ組』側としては、実のところ、早くこの『連中』とは決着を付けたいと考えていたのだ。


 というのも、『紅バラ組』が本当に狙っていたのは、この連中ではなかったからである。


 さらに、『組長』から、ひとつの指示が来ていたからでもある。


『あの、『サッポロのミュータントさん』たちとは、絶対、殺し合いはするな!』



 まあ、確かに今回は、『くっこ』と『あんじ』の個人的な争いが、拡大したようなものだったのだ。


 しかし、陰に隠れている『組長』=弘子=ヘレナ、としては、『あんじ』にも『くっこ』にも、ケガをさせたくはなかった。


 なによりも、この『ミュータント組織』のリーダーが、いったい誰なのかを、突き止められれば、あるいは、その手掛かりが得られれば、まずは、それでよかったのだ。



  **  **  **  **  **



 妖しい風が吹きぬける、薄暗い異空間に、二つの勢力が相対していた。


 『紅バラ組』の先頭には、『リーダー』と呼ばれる謎の少女と、『くっこ』が立ち、『サッポッロの穏健派ミュータント組織』の先頭には、『あんじ』が立ちはだかっていた。


「てめ~ら、逆らうても無駄じゃ。わいらに、おめぇらごとき『超能力』は通じん。全員、わいらに同化する。覚悟せ~~!」


 くっこが言い放った。


「くっこ、あんた、薬をやられて洗脳されたんだ。思い出せ!」


 アンジが応じた。


 アンジが他人に向かって、進んで話をするということ自体が、すでに事態の新しい進展を示している。


「ほう。てめぇ、会話がでけるようになったんか。立派な事じゃ。わいが洗脳されたんは、ぜってぇに、正しい事なんじゃ。てめぇも、仲間になれ!そうすりゃあ、わいらと同じ、絶対(ぜって~)の幸福になれるんじゃ!」


「ことわる。独裁者に操られるなんて御免だ。まず、あんたたちの『組長』を出せ! いつまでも隠れてるなら、ひきょう者だ。」


「操られとるんは、てめぇらあじゃろうが! そっちこそ、『ボス』を出せ!」


「ことわる!」


「ほう~~~。わかったわ。じゃあ、やったるわい。行け、全員、『麻痺』さえてまえ!!」


 『紅バラ組』の隊員たちは、用意していた『特殊兵器』を、一斉に発射した。


 しかし、『あんじ』が拡げた、眼には見えない『保護領域』が、その一種の『光線』の軌道を曲げて、遮断する。


「おどりゃあ! レベルアップ! 突入じゃあ!」


 『特殊兵器』の攻撃レベルをあげ、さらに連続『発射』を続けながら、『紅バラ』たちは猛然と突進したのだ。



  ************   ************

 


「この連中、おかしいなあ。」


 キャニアは画面を見ながら言った。


「そうかい?」


 『接続者』が、例によって、のほほんと答えた。


「ほうら、これ見てくださいよ。この体、ね、おかしいと思いません。まるで、鋼鉄製のロボットみたい。これじゃあ、通常の刃物なんかは、身体を通さないわ。多分、『拳銃』くらいなら、傷も付けられない。」


「ふうん・・・みんな、裸足だしなあ。」


「そう。そうなったら、思い出しませんか?」


「なにを?」


「ほら、タルレジャ王国の『王女様』たちよ。あの子たち、いつも裸足でしょ。」


「うん。宗教的な決まり事とか。」


「まあね。確かに、まあ、そういう事は、古くからなかったわけじゃないけれども。」


「南国だから、寒くはないだろう。」


「この国内でも、真冬でも、おなじらしいですよ。まるで、拷問に近いような気がするわ。17歳の女の子ですよ。ありえる?」


「つまり、同じような、何かの特別な処理をされていると? まあ、『修行』じゃないのかいな。『巫女様』だよ、あの子たちは。」


「最初の方が、きっと、『ご名答』ですよ。ミュータント顔負けよ。『洗脳』されるときに、なんらかの体の処置をされているに違ないわ。ああ、『あんじ』が突っ込んだ。すごい速度ね。いつの間にか、ものすごく進化したわ。」


「ああ。でも、互角だな。身体能力では。いやあ、本当に、こいつら、人間かなあ?」


「で、しょう。ちょっと、甘く見たかなあ。予定よりも、早めに切り上げた方が良いかも。」


「いやあ。しかし、これからだよ、『あんじ』くんたちが、本領を発揮するのはね。」


「ふうん・・・・行った方が良かないかしら? あらら。ね、あれ、見えた?」


「ああ、見た。ちらっとだが、映ったな。でも、すぐに消えた。ありゃあ、『第1王女様』だろ。」


「いえいえ、『第2王女様』つまり、『総督閣下』かも。区別はつかないわ。でも、その可能性が高い。『第1王女様』は、どうやら、表舞台には、出てこないつもりらしいからね。」


「ふうん。そりゃあ、君、じゃあ、行ってくれる? 直に統率した方がいいかもしれないな。危なくなる前には、撤退しようよ。」


「まあ、いいですよ。そろそろ、あたしが登場したって悪くない。おもしろく、なるかも。でも、顔は隠すわ。」


「ご自由に。」


 キャニアは、そこから消える前に、『狐の仮面』をかぶったような『顔』になった。





  ***************   ***************




































 

 





 





 









 


 














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