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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百二十六回


  ************     ************



「みなさん、今日は、南島の王国議会議員『パブロ議員』がおいでになりました。


 ここに、王国議会の議員様がお見えになるのは、歴史上大変久しくなかったことです。


 私のもつ記録によれば、5525年前に、当時のダヤック議員が訪問して以来のことなのです。


 これは、『北島教会立図書館』の蔵書の中に記録がございます。


もっとも、北島以外では宗教的伝説と、されておりますけれど。


 パブロ議員さまは、現在、北島内で行方が分からなくなっていると考えられる人々の消息を尋ねておられます。皆さまの中に、該当する方がいらっしゃるものと思われます。


 議員様のご質問には、確実に正確にお答えください。


 では、この後の進行は、パブロ議員様にお任せいたします。どうぞ・・・」


「はあ?任せるだって?」


 さすがの議員も、やや面食らった。


 議員は、公正な民主主義者ではあるが、非常に疑い深い性格であり、人間を簡単には信用しない。


 まして、『第1王女』については、人間ではあるが、明らかな『魔女』だと思っている。


 もっとも、質の高い民主主義というものは、そうした個人の性格によって、簡単に破壊されることはないものである。


『ふうん・・・・よほど自信があると見える・・・』


 議員は内心さまざまな事情を疑いながらではあるが、この場の進行を『第1王女』から、引き継いだのである。


 彼らは、会場の前方に机を並べ、広い集会場の前側半分に、空いた区画を設けた。


「では、皆さん、これから、このリストに基づいて、氏名を読み上げます。呼ばれた方は、この線から前の方に座ってください。それから、個人面談します。」


「議員。こっちの人数は限られている。」


 警部が言った。


「そんなに、沢山いるとは思えないよ。」


 議員は、そう答えた。


「そうですか、嫌な予感がするがね・・・」


「ふん・・・」


 議員はリストを手に、名前を呼び始めた。



 **********   **********



「この銃は、結局何なんだ? 報告せよ。」


 東京の『松村家対策本部』は、『日本合衆国警察庁本部』の巨大な建物の真ん中あたりにある。


 あまり、人目にはつかないあたりである。


 大体、これは本来、違法な可能性が高い。


 実際、そうした名称は、一切掲げられていない。


 捜査課長は、会議室に部下を集めて尋ねていた。


 それは、弘志が逃げる途中で、自社ビルのポストに放り込んだ『光線銃』であった。


「はっきり申しあげまして、現在地球上では一般に所持使用されてはいない未知の『銃』であります。」


「じゃあなんで、ここにある?」


「ええ、ビルの管理者から、法令に従って、提出されたからであります。」


「ばかもん。そんあことああ、わかってるんだ! 誰がポストに入れた? 監視カメラがあったんだろう?」


「はい。ええ、これが、そうであります・・・・このように、非常に暗い角度で、しかも、うまく顔を隠しております。カメラの見えにくい方向を知っていたのではないかと思われます。」


「ばあ~~~かもん。そこを解析するのが貴様の使命だろうが!!」


「ああ、課長さん、もっと穏やかに言い給え。」


 部長が諭しに入った。


「はあ・・・ども。」


「で、いったい、これは、誰だと思われるのかなあ? はっきりしなくてよいぞ。」


「はい。どうも、輪郭とかからは、松村家の双子の兄の方かと思われるのですが。いわゆる、お兄ちゃんですな。」


「ほう・・・・」


 彼らは、松村家の専門家である。


 双子の兄の方と言えば、弘志しかいない。


 彼らの間では『お兄ちゃん』と呼ばれる。


「この銃自体は、今回始めて入手しましたが、実験してみると。。。。ああ、この映像ですが・・・こうですな。実は、使い方が、いまひとつはっきりとはわからないのですが、このように、ブロックが吹っ飛びましたように、かなりの破壊力があります。過去の証拠からみると、以前『紅バラ組』が残した破壊痕と一致するのであります。」


「『紅バラ組』かあ。」


 誰かが声を上げた。


「お兄ちゃんは、『紅バラ』とつながりがあるのかな?」


「いいえ、これまでのところ、一切そうした兆候はないです。ただ、最近「ぐれた」クラスメートがいます。そこと、関連があるかもしれないですが、そうではなく、単にこの時に発生した、単発の偶発的事態だったのかもしれないです。」


「ふうん・・・。本人に聞いたか?」


「ええ、昨日、学校で会いました。」


「なんと?」


「それがですねえ。ポストに入れたことは認めています。『第3公園』あたりで、たむろしていた連中をたまたま目撃したら、なぜか追っかけられ、ちょっともみ合いにもなったが、ひとりから銃を奪って逃げたと。で、途中であのポストに放り込んだと。女子高生ばかりの感じだったと。」


「証拠は?」


「周辺のカメラからは、逃げてる姿は確かに映ってましたが、格闘した様子は映ってないです。もっとも、王子様ですからな。高度な訓練は受けてますよ。」


「追いかけてる方は?」


「これです。これです。」


「うううん、これはまた、暗いなあ、該当者はいたか?」


「それが、確認可能な範囲では、こちらのリストには一致しません。クラスメートでもないようです。他の新入りかも知れないです。最近、勢力の拡大が著しいですから。しかし、この連中は、他部署の管轄ですから、今後一層の、協力体制が必要ではないかと思います。」


「お兄ちゃんは、いったい、何しにこの時間にシブヤにいたの?」


 課長が再び入ってきた。


「それがですな、ここがやっかいでして、『第1王女』様の知り合いの店に、お茶を飲みに行ったとか。お忍びで。」


「ほう。調べたか?」


「はい。例の『最高級喫茶』ですよ。ほら、この。」


「あれか。あああ・・・こりゃあ、『長官』が、こっそり出入りしていると言う。」


「ええ。そうなんです。」


「ママは、なんと?」


「間違いなく来て、お茶飲んで帰ったそうです。確かに周辺のカメラには映像があるので、嘘ではないようです。」


「まあ、お茶飲んだからって、すぐ違法ではないなあ。個人的な知り合いなら、なおさらやっかいだ。」


「そうです。まして、あの『学園』は、規則があっても、ないような底抜け学園ですからな。」


「ふん。このビルも、松村家の実質所有かな?」


「まあ、そうなんです。」


「あやしいなあ。『松村家』と『紅バラ組』は、やはりつながってるんじゃないのか?」


「家宅捜索しますか? 課長?』


「許可が出るかですな。部長。どうでしょうか。」


「ううん・・・・長官がらみだと、いささかやりにくいな。」


「長官、関係ないでしょう。この際。松村家が、『反帝国的』であると証明されたらば、・・・いかがですかな? ね、部長。」


「ふうん・・・・そうね。」


 部長は、次期の次あたりで、長官を狙っているのであった。


 ところで、この会議室の一番後方で、せっせとメモを取っていたのは、・・・あの、幸子さんの夫となった『警部』であった。



  **********   **********



 議員が読み上げるたびに、該当者という人物が前側に集まって来る。


 外れというのが、一件もないのには、むしろ呆れた。


 ここまで揃えられたら、かえっておかしい位である。


 もちろん、呼ばれずに残っている者も多数いたが、名前を読んだものは、ほぼ100%対応者がいた。


「まあ、あきれたというか・・・・こらあ、困ったな。」


「ふうん。やはりですな。」


「君、知ってたのか?」


 議員が警部にかみついた。


「まさか!しかし、必ずしも本人だと言う証拠はないですな。うまく、順番を合わせているだけかもしれないです。」


「ふうん。確かに。検査が必要かな。同意も必要だが。」


「機会を改めないと、これでは、今日は対応できないですなあ。名前を呼んだのは失敗だったかもしれんですなあ。」


 警部は現実的な状況を、素直に言っただけである。


「ふん。いやあ、二度とないかもしれないね。」


 議員は、きっぱりと抵抗した。


 そこに、アムル医師が、一団の人々を引き連れて登場したのであった。


「これはあ・・・アムル先生。なぜ、あなたが?」


「まあ、議員さん。それが『第1王女様』に1時間ほど前に急遽呼び出されましてね。」


 『第1王女』は、遥かに後ろ側で、成り行きを見守っている。


「はあ?いやあ、あなたではなあ・・・・」


「なにか不都合でも。」


「あなたは、『第1王女様』側の人ですからなあ。」


「まあ、そうおっしゃるかもしれないからと言われて、タルレジャ大学のカタクリ先生にも来ていただきましたが・・・・」


 入り口から、別の一団が現れていた。


「なんと。ううん・・・・」


「議員。我々は、すっかり見透かされているらしいが、どうするのですかな? それでもあえてやりますかな? 100人以上いますが。」


「ふん。引き上げたら笑いものだ。乗ってやろうじゃないですか。」


「これは、議員。国家の大問題だと学長から呼ばれましてな。王立ホールで王女様の演奏会にいたのにですなあ。なにごとでしょうか、これは?」


 カタクリ教授は、大いに不満そうであった。


 そこに『第1王女』が近づいてきて、こう言った。


「あたくしからは、両先生には、是非、パブロ議員さんにご協力をお願いいたしますわ。」


「いや、『第一王女様』のご依頼ならば、拒むことはできませんな。先ほどの演奏は、まことに素晴らしかったです。『第2王女様』の演奏も、是非、聞きたかったですなあ。」


「ああ、先生、大丈夫です。絶対に間に合いますから。」


「はあ?・・・・・・」


 だいたい、すべて承知済みのムヤマ医師はこう言った。


「教授。きっとそうなのです。これは、王女様が開発なさった特別な技術によってもたらされています。わたくしが保証します。まあ、理屈は、いまだに、よく、わかりませんけれどもね。これはまあ、医学ではないですから。」


「まあ、あなたが、そう、言うならば。で、何をせよと?」


「同一人かどうかの判定です。」


「こんなに沢山ですかあ?」


「はい。国家の危機だそうですから。お手当は、かなり出ると思いますよ。大学にもね。人手はたくさん用意しましたから。」


 たしかに、白衣の人間が、続々と入口から入ってきていた。


 そでに、後方に、ずらっと並んでいる。


「ほう・・・なるほど・・・・・さすが、『北島』さんですな。」


 カタクリ教授が、いたく感心した。


「火星人と言い、我らが王女様と言い、我々は夢の世界に、迷い込んだようですな。」


 アムル医師が、まったく同感だと言う風に、深くうなづいた。 




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