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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百四回


 ************   ************



 乗りなれた自分の席に落ち着いた『第1王女』=『ヘレナ』=『弘子』は、機長に内線をつないだ。


「機長様、申し訳ありませんが、おそらく領空から出たら、すぐに、攻撃されるんじゃないかと思うんです。」


『は???』


 タルレジャ空軍からの選り抜きであるベテラン機長は、さすがに少しいぶかしそうに答えた。


『失礼ながら『第1王女様』、あの、それがお判りになっていて、でも飛べと?』


「はいー。そうなんですの。で、多分、撃墜されます。」


『は~~!! いやああ、それは、なおさら、まずいでしょう?』


「はい、まずいですね。でも、ご神託は、そう告げておりますのよ。」


『はあ・・・神のお告げですか。そりゃあ、手に余りますなあ。』


「はい。そうなのです。そこで、お願いがあります。」


『はい、どのような?』


「攻撃してくるのは、「火星人」です。ただし、リリカ様やダレルさんとは違う、『反体制派』のテロリストですわ。きっと。」


『そりゃあ。おおごとじゃないですかあ。なんで、わかるのですか?』


「お告げですもの。・・・まあ、おおごとですのよ。でも、今のところ、その正体は、まだわかりません。そこで、機長様の腕の見せ所ですの。日本合衆国の領空から出たら、海面ぎりぎりまで降りてください。」


『そりゃあ、この機体だと、危ないですよ。こいつは低空飛行に向いてないですから。』


「まあまあ、そこは何とかしてくださいな。で、おそらく相手は、ミサイルか、あるいはビーム兵器か、そうした攻撃をしてくると考えられます。無人のダミー機を別途飛ばします。わたくしたちは、海面ぎりぎりに飛んでいた方が、補足されにくいんじゃないかと、勝手に思いますの。それと、王室所有の高速潜水艇を、攻撃されるであろうポイントに、すでに潜らせています。きっと、助かりますから、大丈夫よ。たぶん。」


『あの、そこまで分かってるんだったら、やっぱりやめましょうよ。』


「いいえ、攻撃させて、捕まえます。機長様、これは内緒ですよ。あなただから、言うのです。」


『はあ・・・・』


「歴史を変えるのですから。」


『え?歴史を、変える?』


「はい~。変えると言うか、変えられた歴史を元に戻すと言うか、ねじれを修正すると言いますか。ま。そういう感じなのですわ。」


『ううん・・・ぼくには、そこらあたりは、さっぱりと理解不能ですな。わかりました。王女様にお従いいたします。じゃあ、行きます。』


「おっけー!!」


 そこで、『第1王女』と大切な婚約者などを乗せたタルレジャ王室専用機は、離陸したのだった。



  **********   **********



 『青い絆』から分離した後の歴史は、彼らにとっては省略された歴史である。


 他の火星人たちに紛れてはいるが、彼らには『崇高』な理想がある。


 その理想の達成は、ダレルやリリカではできないことなのだ。


 ようやく、目覚めた今、まずやるべきことは、地球の占領である。


 とはいえ、自分達で全部やることもない。


 『地球帝国』が出来上がってから、うまく頂けばよいだけである。


 やっかいなのは、まずは、『タルレジャ王家』なのだ。


 タルレジャ王家こそは、憎むべき、火星文明の破壊者である。


 ずいぶんと時間は経ったが、彼らには報いを受けてもらわなければならない。


 それと、地球世界に3つある、その分家筋もだ。


 だが、まずは、日本合衆国の『松村』という家系だ。


 ここが、王家の人材供給源になっていることは、調べがついていた。


 下準備は、すでに入念に行った。


 こんどは、実行するだけである。


 利用できる者は、十分利用すればよい。


 捨てるのは簡単だから。



 **********   **********



「さてと、幸子さんとこにも、顔をのぞかせなければね。まあ、それは簡単ですわ。わたくしの義務みたいなもんだからなあ。」


 ヘレナの内部に入り込んでいる『この宇宙空間では生き物でさえない何か』は、意識の分身をアヤ湖に飛ばした。


 もちろん、幸子さんの結婚式に出席するためである。


 






 ************   ************



 




  ************   ************











 ***************   ***************

 *************** 付録  ***************



「洋子さんは、危険人物だとかあ・・・・」


「おわ! ずばっと言いますな。こわ~~~」


 幸子さんには、遠慮とか、配慮というものは期待しがたいのです。


 しかし、洋子さんはにっこりしながら答えます。


「昔は、そんなことなかったのですよ。大体、主人公は弘子というよりも、あたくしだったはずなのですから。」


「え~~~! そうなんですかあ? やましんさん。」


「まあ、なにしろ、もう半世紀前の、古い事なのでねぇ。よく覚えてない気もするのですよお。まあ、でも・・・」


 洋子さんの表情に、ちらっと怒りを見たぼくは、あわてて修正しました。


「はい~。いやあ、そうなんです。そうなんです。洋子さんは、実はもともと、スターの座に就くはずでした。」


「ふうん・・・・・なんでまた、弘子さんに奪われたのですか?」


 うわあ、またまた、挑発的な言葉を・・・・・


「それは、つまり、やましんの羨望というか、あこがれというか、そこにつながったからなのです。はい。」


「ふうん。何にあこがれたんですかあ?」


 相変わらずお饅頭をお口いっぱいに頬張りながら、幸子さんが尋ねて来ました。


「音楽です。」


「は?」


「まあ、洋子さんをどうするのかが、結局、最大の問題だったのです。いまだに、そうなんです。」


 そう、ぼくは、申しました。




                   ********    また、どこかに、続きます。


























 




 




































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