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わたしの永遠の故郷をさがして 第四部 第百二回


 ************   ************



 弘子=ヘレナ=第一王女は、ふたたび、今度は正式に、通常の飛行機で王国に向かうことになっていた。


 彼女にとっては、自室のドアを開ければ、王宮内の自室だった。


 という事にするのは、いとも簡単なことで、そのほうが余計な費用も時間もかからないのだから、きわめて合理的なやりかたである。


 しかし、いくら合理的でも、現時点の地球人のテクニックから言えば、あきらかにイレギュラーであって、法的にも扱いにくい。


 したがって、今回のような公式行事に用いることは控えなければならない事である。


 双子の妹が先に出国するにあたっては、この国の国民を代表して、杖出首相自らが見送りに出て来たのだが、今回も同様の予定になってはいる。


 いろいろな、おかしな事件が未解決のまま放置されているし、その背後には、ヘレナがいるということは首相はすでに知っているが、多くの政治家や官僚には、まだ当分秘密事項である。




 正晴と武の家には、黒塗りの巨大なリムジンが迎えに来た。


 例によって、ふたりの自宅は路地の奥にあり、このような大型自動車が入って来ることはできないから、車は大通りに駐車したまま、係官が自宅の玄関まで出迎えにやって来た。


 前回、呼び出された時は、当然だけれど、もっと質素だった。



 二人は、それぞれ、着なれない、青いスーツを着た姿で玄関を出た。


 荷物は一切持たされていない。


 それぞれの保護者は、自宅の玄関までしか見送りに出ることが出来ない。


 これは、宗教的なしきたりというものであって、法律で決まっているようなものではない。


 昔であれば、再び親子が会う事さえ、もう出来なくなってもおかしくはないのだが、さすがに今の時代にあっては、そういう訳ではない。


 『婚約の儀』には、親族などは一切出席できないが、2か月後の『結婚の儀』には、国王と王妃様以外の双方の親族の参加は、今回から、許されることになっていた。


 それは、『第一の巫女様』のご意向で、過去から長く続いた儀式の次第が、ようやく改定されたことによる。


 だから、『結婚の儀』が、かつてなかった、きわめて賑やかなものになるであろうことは、すでに巷の楽しい噂になってもいた。



 だが・・・その間に、『地球帝国創立』の記念式典が予定されている。


 それが、信じがたいほどの、悲惨な結果になるだろうということは、その計画を推し進めている『第三王女』本人と、その後押しをしている、ジャヌアンなどの不気味な存在が、当然に予測しているわけだけれど、すでに未来に起こる事の情報をはるか昔に入手していたヘレナと、補佐役のアニーとアブラシオも、勿論、その結果を、いまやすでに共有していた。


 リリカは、その情報をもたらしはしたが、詳しい内容は、まだ告げられてはいない。


 しかし、ヘレナは、間もなくリリカにも、その話をする考えでいた。


 正確に言えば、未来において、何が実際に起こったのかを、確かに目に見えるように知っていたのは、へレナとジャヌアンだけのはず、なのである。

 

 一方、ジャヌアンに加担していたダレルは、相変わらず拘束されたままであったが、すでに脱走する手筈は、もうひとりのヘレナによって整えられていた。


 あとは、いつ、脱走するかのタイミングを見計らっていたのだ。



 宇宙怪物『ブリューリ』は、地球の中心付近から、まだ動くことが出来ずにいた。


 しかし、そのブリューリに接触を図り、『共同作戦』に引き込もうとする動きは、また別なところで、確実に進められていた。


 中村教授は、つい先日、王国の王立大学の教授に収まったが、実はそれだけではなかったのである。


 女将さんも、マヤコも、それぞれが別の繋がりを持ちながら動いていた。


 番頭さんは、常に女将さんの側である。


 忘れてはならないのは、警部『2051』である。


 彼の底力というものは、実のところ誰も知らないと言ってよい。


 かれの力は、地球人が知らない、宇宙警察の権力である。


 もっとも、へレナだけは、遠い昔の関わりからして、ほぼ、知っていたが。



  **  **  **



 いったい、どれだけのグループなり個人が、見えない駆け引きをしているのか?


 その全体象を、正確につかんでいる、あるいは操っている存在が、果たして、まずは、いるのかどうか?


 いるとすれば、それは誰なのか?


 で、その内容は、どうなっているのか、・・・地球人類側で、その解明に最も近づいていたのは、もちろんシモンズだった。


 また、やがてその、最終的解決の『鍵』を握る存在になるのは、弘志だったわけなのだが、本人自身は、まだそこまでの認識は持っていなかったのだ。


 雪子は、さまざまな存在の、さまざまな動きを、ベッドの中で注意深く観察していた。


 彼女の手足となって動いてくれるのは、当面、弘志である。


 もちろん、雪子の力は、そんな程度のものではないけれど。


 ミュータントの秘密地下抵抗組織も、日々増加し、また反目したりして、潰し合ったり合併したりしながら、だんだん集約されて、巨大化していっていた。


 『紅バラ組』は、すでに事実上『第1王女様』の、秘密治安部隊である。


 『池の女神様』軍団もそうだが、彼女たちは生きた人間ではない。『幽霊部隊』なのだ。

 


 いずれにしても、地球の人類史上最大の危機と言われる、長い、一連の大きな『絶滅物語』は、もうすでに始まっていたし、間もなく、その最初の山場を迎えるのだった。



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