優望の決意
大変お待たせ致しましたっ!!
~出掛ける前日~
―バタン。
「ふぅ…今日は一段と疲れちゃったな…」
ホントにいろんなことが一気に降ってきた気がする。
だって、迅聿の家に行ったら知らない女の子が………。
「あぅ…」
ソファーにダイブした私は、さっきまでの出来事を思い出した。
▼会社で迅聿と別れてから▼
合コンはキャンセルしなきゃなぁ…。
でも、前から計画立ててたのがダメになってしまった事より、迅聿が何かを隠していたことの方が…今は頭の中で一杯になってる。
迅聿は私に何を隠しているのかな…。
「あっ!合コンキャンセルしなきゃ!」
あやうく忘れるとこだった…!
慌てて(?)友達にキャンセルをした…のだけれども、やっぱり怒られてしまった。そりゃ、迅聿以外に私もキャンセルしたから…人数減るわけだもんね。
だって、迅聿がいなきゃ合コンに行く意味がないんだもの…仕方ないじゃん。
「はぁ~っ」
重たいため息をしたせいで、さらに気持ちがブルーになる。
もう、帰らないとな……。
うぅ~、迅聿が何を隠しているのかが気になって仕方がない……。
「あぁーーっ!!」
「((ギロッ))」
……叫んでしまった。
し、視線が痛い。普通は駅で叫んだら、そうなるよね。本当に私って、迅聿のことになると冷静になれないよなぁ………。
「す…すみませんでした」
………でも、気になるんだもん。
▼
モヤモヤを引きずったまま家に帰る………ことなくコンビニで缶ビールを買って、とあるマンションのドアの目の前にいる。目の前の家の住居人はというと……。
「う…嘘でしょ…?な、なななな何で迅聿の家の前に?!」
産まれて初めて自分が怖いと感じてしまった…。
あぅ…迅聿が好きすぎたゆえの行動だと思うと……。
「って、す…すすすストーカーじゃないのにっ……!!」
もはや、この行動をしてしまった自分はストーカーと言われても、おかしくない気が……って違うんだぁぁぁあっ!!これは違う…!!何をしているんだ私はっ!
「……も、戻らなくちゃ…」
………。
も、戻って良いのかな私?戻ったら落ち込むだけじゃないのかな……?
だったら、迅聿に直接聞いて落ち込んだりなんだりした方がマシなんじゃないのかな…?
言い訳にできる1人じゃ飲みきれない、缶ビールという名の材料だってあるんだからっ!!
「あ…当たって砕ければ良いんだわ…!」
―♪ピンポ~ン
……お、押してしまった。
……ドキドキがすごい。心拍数が上がっていくのが分かる。
ど、どうしよ…帰りたくてたまらなくなってきた…!!
る、留守かな…?
でもでも、もう後には退けないし……ここで退いたら女がすたるっ!!
―ガチャ
じ、迅聿が…でてきた。
おぉぉ、落ち着け!落ち着くんだ私っ!!
「やっほ!今頃泣いてんのかなって思ってさ、元気付けにビール持ってきた♪…迷惑だった?」
き、緊張しているせいか早口になってしまった…。心なしか、迅聿の顔が青ざめてる気がする…。いつもなら迷惑そうにしても、直ぐに上がらせてくれるのに。固まってるってことは…やっぱり何か隠してるっ!
「ぇと、迷惑ではないけど今日は~、っておいっ!人の話は最後まで聞け~いっ!!」
……いつもの迅聿だ。と言うことは入っても大丈夫だよね!
「まぁまぁっ!久しぶりに飲もうぜ♪」
止める迅聿をすり抜けて、リビングまでやって来た私はそこで止まった。
「えっ!?…だ、誰?」
目の前にいたのは、知らない女の子だった。み、みみみ密会?!こんな可愛くて幼い娘を?!!
いやいや、んなわけないよね。迅聿の周りに、こんな幼い娘いたっけ…?
―数十分後―
一通り、女の子…じゃなくて紅乃葉ちゃんの説明を聞いた。
お嫁さん…奥さん…、結婚するの?!
い、いいいやいや…落ち着くんだ優望!相手は12歳よ!!いくら可愛くても、可愛くても勝ち目は………あったとして、結婚はできないもの!
…こういうときは思考停止しようっ!うんっ!
……とは言ったものの、なんで紅乃葉ちゃんといきなり2人きりになってんの!!
「「………」」
あぅ…ち、沈黙が痛い…。
「……話…って?」
「ぁ……う、うん。さっき言ってたお嫁さんって?」
「……?」
「あなた…こ、紅乃葉ちゃんは迅聿のことが好きなのかな?」
「……100%そうだとして、あなたに何か迷惑でも?」
「…うっ」
め、迷惑……十分あるけど、今言ったらダメな気が…。
「め、迷惑って言うけど。いきなり住み込んでさ、迅聿に迷惑をかけてる紅乃葉ちゃんは…そんな事言えるの?」
食い下がる私って、情けないよね…。そして、嫌な性格の悪役ヒロイン(?)じゃんっ!悪い癖がでてる。
私が問い詰めてしまっているせいか、彼女の顔は徐々に“かぁ~っ”と紅くなっていき、震えながらも口を開いた。
「ぁ…うぅ。……す、好きなのっ!」
「っ……。そ、そっか……でも奥さんにはなれないわけだし!付き合ってもないんだから、これから頑張らなくちゃねっ!」
「!……ぅ、ぅん。ぁ、あのっ……」
「ん?」
迅聿が好きと言った紅乃葉ちゃん。ふふっ…本当に好きなんだね。耳まで真っ赤だ。
「あなたは……その、じんいちの…ことを……ど、どう思って…るの?」
「ふぇっ?私…」
どう思っているか…か。そりゃ、もちろん好きだけど……。
「私は別に普通……かな?親友だからね」
何より、彼はこう言いたがる。迅聿は、私を最高の親友だと言ってくれているから、私も言うようになっている。
でも、余計にそれが苦しくさせてる原因でもあった。
「……。例え、あなたがじんいちの事を好きだったとしても…私には関係のない話だから良いんだけどね」
「……ぇ?」
「負けないもん」
「!」
彼女の目は真っ直ぐに私を見ていて…ドキドキしてしまう。私は、この娘とライバルにならなくてはいけないのかと思うと神様を恨みたくなる…。
「じんいちに……対する気持ちは、誰にも…負けないんだからっ…!」
それは私も一緒だ。世界で一番あの人が好き。優しくて、強くて、私の隣で話をしなくても居続けてくれる…あの迅聿が。
「……そ、そっか。そうだ良い考えがあるよ♪」
そこで、あのデートプランを出してしまった私。
なんか…私って嫌な感じだなぁ。
―現在―
「…ふぅっ」
…迅聿への想いを、あんな顔で言われちゃ何も言えないよ。
「ズルいよ紅乃葉ちゃん……」
ソファーにあったぬいぐるみにギューッと抱きつく。
10年間以上想っていた迅聿への恋心は忘れなきゃ……って言いたいけど、無理だよね。
……ここまで来て諦めるだなんて、今までの自分は無駄な時間を過ごしていたことになるし。
「よしっ!決めたっ」
何を決めたかって?そんなの決まってるよ。
「明日……告白するっ!」
いろいろあって告白するタイミングを逃してきたんだから…!
…って言い訳かもしれないけど、今回こそは頑張らなくっちゃ!
あんな子に負けないんだからっ!!
「よぉし!最高の計画を立てるぞ~っ!」