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「ええ!?どうしてだい??意味とかわからないんだよね??」
いきなりの要求にどうしていいものか、僕は戸惑ってしまっていた。
人前で歌うということに実は慣れていない。
兄や娘の前で歌うことはあったけれども、それとこれとは別の話だ。
「どうしてだろうな。とても懐かしいんだよ。自分でも不思議だと思う。聞いたこともない歌なのにな。ずっと昔に聞いたことがあるような気がするんだ。頼む!この通りだ!歌ってくれ!な?琥珀」
ここまで懇願されては無下に断ることも出来ず、意を決して僕は再びあの歌を歌い始めていた。
どうしてだろう。心がとても軽い。
そして、心の奥から愛おしいという気持ちが溢れ出す。
美しき世界よ わたしは願う
愛しきすべての生命よ
光に満ち溢れた世界よ
すべての生命へ等しくあれ
ああ 愛しき世界よ 美しき世界よ
わたしは願い 祈り続ける
世界が愛で満たされるその日を
わたしは願い 祈り続ける
ああ 愛しき世界よ 美しき世界よ
わたしは愛し続ける
この心の命ずるままに
わたしは願い 祈り続ける
世界が愛で満たされるその日を
愛しきすべての生命よ
光に満ち溢れた世界よ
すべての生命へ等しくあれ
ああ――あなたは還ってきてくれた。
わたしのことを忘れていなかった。
たとえ――その記憶はなくても、
わたしのところへと還って来てくれた。
還ってきてくれた。
巡り会い、そして愛し合うことができた今、全てをそう――僕の胸の中にしまっておこう。