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時ヲ。  作者: 貴幸
3/3

時を止めて。

午後十一時五十八分。


つい3分前、仕事が終わったから今から行くとメールをしたとこだ。


ハッピーバースデーは自分の声で言いたい。

予め十一日に届くように頼んだケーキはちゃんと食べてくれただろうか。

ヒールが痛いがそんなの構ってられない。

必死に足を動かす。


家につき急いで靴を脱ぎ、リビングへ走った。

ヘトヘトになりながらドアを開け掛け時計を見る。


「過ぎちゃった………?」



しかし時計は動いてなかった。



十一時五十八分から動かない、まるで時が止まっているようだ。


「…おかえり、母さん。ギリギリだよ?間に合わなさそうだったし、俺が時計を止めておいたから!」


時人は得意げに、そして優しく笑って見せる。

あぁ、そんなとこがマサくんそっくり。


「よかった、間に合って…時人、誕生日おめでとう。」


愛しい。

我が子が愛しい。

堪らず大きく、不健康そうな身体を抱きしめた。


「…ケーキさ、とっておいたから一緒に食べようよ。」


「うん…うん…」



私はしばらくの間背中に回された手の温かさにひたり、止まった二人の時間を過ごしていった。


そんな、時計の音がしない静かな夜だった。


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