目の色
遅れましたあ。誤字あるかもしれません。
また今日が来た。外に出られる日。今日でシアンが外に出るのは3回目だ。この前の時もその前も、人間に近づきたい気持ちをぐっとおさえて施設に帰った。
「シアン、外に行く時間だから準備しておいてね。」
もう準備も慣れたものだ。シアンは淡々と長袖の服を着て機械を内ポケットに入れた。
施設の人達に見守られながらいつもの道を歩いた。
「今日の天井は模様がない!」
シアンはびっくりして声に出した。声に出す、という事が気持ち良くて楽しい事だとシアンは学んだ。
いつも同じ所にいるアフロのノッポさんに話しかけたって
「こんにちは!元気?ずっとそこにいるよね?悲しくないの?…私は同じ所にいるのにはもう慣れちゃったけどね。ねえ、なんか返事してくれてもいいじゃない?ああ、おとなしい子なのね、ごめんね、またくるよん」
無駄に多くしゃべてみた。
その時だった。
強烈な気配を感じて振り返ると、人間の女がシアンの方を見て立ち尽くしていた。
シアンの頭の中は真っ赤に塗りつぶされた。血は浴びなくていい、人間ともっと触れ合いたい。おしゃべりしてみたい。
シアンは心臓の鼓動が速くなるのを感じながら勇気を振り絞って女の人の肩に手をかけて話しかけた。
「あの。」
女の人は怪物でも見たかのような顔でシアンの手を振り払った。
「触らないで!あなたさっき木に話しかけてたでしょう?こういう気が狂っている人は将来ろくな大人にならないのよ!…あなた、なにその目の色。肌の色だっておかしいわ。病院に行ったほうがいいんじゃないの?やめてよ、何か変な病気が感染ったらどうしてくれるの?」
鬼の形相でシアンを罵倒した。
「え?あ、あの、ごめんなさい、私、外に慣れてなくて。でも、目や肌の色が違うだけでそんなにいけないんですか?私だって人間なんです。あなたと同じです。少し外見が違うだけでどうしてそんなにいけないんですか?気持ち悪いからですか?それならあなたも同じです。人間ですもの。私にはあなたと私で何が違うのかわからない。
」
シアンはパニックになりながらも言葉を絞り出した。足の震えが止まらない。自分でも何を言っているのかよくわからない。
「うるさいわね!私の意見に逆らうの?私は普通!あなたは変!変人は本当に頭がおかしいのね。考えがおかしみたいに甘いのね!これ以上何かするなら警察呼ぶわよ!」
女はスタンガンを取り出してシアンに向けた。
シアンは身の危険を感じた。とっさに近くに落ちていた先の尖ったコンクリートの破片を拾い上げ、目を閉じ、叫びながら女の前で我武者羅に振り回した。
ザッという肉が裂ける音がした。
目を開けて見てみると、街灯のすぐ下、明るく照らされているところに女の人が転がっていた。左のこめかみ辺りから左目にかけてザックリ裂けていた。左の眼球が潰れて、血の混ざったゼリーのような固まりが髪の毛にへばりついていた。
血の色、香り、あの時の記憶が一斉に蘇った。
やっぱり血は綺麗だ。肉が裂ける感覚も素晴らしかった。さっきまでうるさかったこの人はもう二度と口を開かない。素晴らしいなあ
シアンは突然我に返り、走って施設に帰った。
次回作も遅れるかもしれません