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# 空想の街  作者: 複数の作家
きつね橋のうどん屋#うどん屋(作者:うりゅうらいた様)
11/16

きつね橋

そういや、お客さんは、そこの橋が「きつぬ橋」って呼ばれてんのを知ってるかい? #うどん屋 #狐 #空想の街


ずーっと前は、あの橋、違う名前だったらしいんだが、次第に街の人たちが「きつね橋」って呼ぶようになって、今じゃあそれが正式な名前になってるんだ。 #うどん屋 #狐 #空想の街


まぁ、うちがきつねうどんを売りにしてるのは、あのきつね橋があるからってのは、分かりやすく過ぎかねぇ。ガハハ!あぁ、ところで、柑南さん一人で橋本まで行くのは、夜道だし心配だねぇ #うどん屋 #狐 #探し人 #夢美堂 #空想の街


【きつね橋】南区には、「童話」というよりは「七不思議」といった体の話がある。中央区と南区を結ぶ橋。それが「きつね橋」と呼ばれるようになったのは、いつのことだったか。はっきりはしないが、まだうどん屋がなかったのは確かである。 #狐 #うどん屋 #空想の街


【きつね橋】最初は、橋の上に大層綺麗な女が立っている、という噂だった。明け方になると、そこにいて、気がつくと、ふっと消えているんだと。幽霊や怨霊じゃないかって話も出た。何しろ、美しさに惹かれて集まった若い衆が話しかけても、まるで聞こえてない風なのである。 #狐 #空想の街


【きつね橋】しばらくすると、怨霊説は取り下げられた。橋の女は、ただそこにいるだけで、特に悪さをする訳ではなかったから。ただただ美しく佇んでいた。となると、若い衆は誰が一番先に女と言葉を交わせるようになるか、競い始めた。 #狐 #空想の街


【きつね橋】それは謂わば、珍妙な光景だった。街の若い衆が明け方、決して大きくはない、その橋の上にいそいそと集まって、一人の女を囲っている。ある者はいかに自分が優れているかを語り、ある者は上等な品を用意し、ある者は歌を詠み歌い…。 #狐 #空想の街


【きつね橋】そんな光景に、街の年寄りたちは頭を抱えていた。街の評判、もちろんそれもある。だが、それ以上に、朝っぱらから、そうやって現を抜かしているもんだから、その若い衆は日中、ぼぉーっとしていて使い物にならない。勉学もおろそか。せっかくのいい縁談も、パーになる。 #狐 #空想の街


【きつね橋】街の年寄りたちは、本格的に若い衆の橋からの引き剥がし策を練り出した。説得や泣き落とし…その中で出てきたのが「狐」である。誰とはなしに、あの女は狐だ、と言い始めた。悪さはしていない?いいや、これだけ若いもんを使い物にならなくしてる!悪い狐に違いない! #狐 #空想の街


【きつね橋】誰かがそう言い始めると、たちまち今度は街の中に、橋に狐が出て、若い衆をたぶらかしているらしいという噂が広まった。まぁ、半分は、年寄りたちの思惑による。年寄りたちは、あの女が狐となれば若い衆も目が覚めるだろうと思っていた。 #狐 #空想の街


【きつね橋】ところがどっこい、そもそも若い衆は幽霊か何かの類いと分かっていて、競って口説いているのである。狐だろうと何だろうと、関係がなかった。明け方の橋の珍妙な光景は、この後も続いた。しかも、新しい噂のせいで、いつしか橋は「狐の橋」と呼ばれるようになっていた。 #狐 #空想の街


~ここで、きつね橋のお話は、ひとまずおしまい。~


「それで、きつね橋だもんねぇ。ちょっと残念な名前の付けられ方よねぇ。ふふふ。」凛と響くが、笑った。うどん屋の店主も、「ちょっとなぁ~。」と笑い返す。そう、この凛とした声こそ、店主がいつも聞いている妻の声である。 #うどん屋 #狐 #空想の街


【きつね橋】さて、これが、中央区と南区を結ぶ橋が「きつね橋」と呼ばれるようになった経緯だが、その橋の上の珍妙な光景がその後どうなったのかは、また今度。女は何者だったのか。きつねうどんが売りのうどん屋が、橋の袂に出来た理由は? #狐 #うどん屋 #空想の街



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