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第1章 キャンプ

季節は、夏。

真夏のような暑さではないが、ここ数日は気温が30度近い日々が続いている。



俺の名前は、小島祐一。

Y大学に通っている21歳の学生だ。




今、俺はある場所に向かって車を走らせている。


いや。


『ある場所に向かって』と言うのは間違っている・・・

どこに行くかなんて決まっていない・・・



それどころか、今俺がいる場所が何処なのかも分からない・・・



それに、車内には俺の他に20代後半ぐらいの女が乗っている・・・

しかし、俺はこの女の事を知らないし、話をした事も無い・・・だが、不思議と違和感は無かった・・・


これが『夢』だと分かっていたからだ。



夢の中でも自分の意識を保てるのを『明晰夢』とテレビか何かで言っていたが、俺にはそれが出来るらしい。


だから、これが夢だと理解出来ていた。



『・・・ねぇ、貴方こんな話知ってる?』


今まで、黙っていた女が俺に話し掛けて来た・・・




『ここから2,3キロ先に行った所に足影村って村があるんだけど、そこで起こった事件・・・』


『・・・いや。知らないけど』


『そう・・・

あれは、今から5年くらい前・・・・・・』



そういうと女は5年前に起こったという事件を話し始めた・・・・・









「・・・・・・・・・」


「・・・ゆ・・・う・・・」


「おい、ゆう!!いい加減起きろ!!」



「・・・ぅう゛〜・・・?」


「おーきーーろーーーっ!!」


「ぅあーっ!!うるせえっ!!朝っぱらから誰だよ!!」


「おっ。やっと起きたか」



俺が目を覚ますと、部屋の中には大学の友達の『工藤礼二』が立っていた。



「・・・ぁ〜。まだ酒抜けてない・・・って、お前どうやって家入ってきたんだよ?」


「お前のお袋さんに入れて貰った。それよりお前、昨日何時まで飲んでたんだよ?」


「・・・朝の5時ぐらいまで飲んでた記憶はあるんだけど・・・」



俺は、昨日高校の時の友人との飲み会で朝方まで酒を飲んでいた。



「おいおい・・・大丈夫かよ。今日も飲み会あるの分かってるか?」


「あれっ・・・今日そんな予定あったっけ・・・?」


「まだ寝ぼけてんのか?今日は、キャンプ場で飲み会の予定だぞ?」


「あ〜。そういえば、そんな事言ってたな」


「あぁ。だから早く支度しろ。もうそろそろ出ないと待ち合わせの時間に遅れるぞ」



時計の針は3時を指していた。


待ち合わせの時間は4時。

俺達は直接キャンプ場に集まる事にしていた為、早めに家を出ないと待ち合わせの時間に間に合わなくなる。



俺は、急いでシャワーを浴び、キャンプに向かう為の準備を始めた。

と言っても、テント等の道具はキャンプ場で全て借りれる為、準備する物は懐中電灯や虫除けスプレーだけだ。


結局、3時30分に家を出る事が出来たが、俺の家からキャンプ場まではどれだけ急いでも4,50分は掛かる為、他に来る友人に遅れると電話を入れ、車を発進させた。




俺達が、キャンプ場に着くと、もう他のメンバーは集まっていた。

メンバーは俺を含めて6人。全員大学の友達だ。



俺は、みんなに遅刻の事を謝り、テント等の道具を借り山の中に入っていった。



この、キャンプ場はテントを張る場所が決まっているらしく、ちゃんと敷地が分かれていた。




俺達は、おそらく夜に騒ぐだろう。と言う事でなるべく他のキャンプ客がいないような場所にテントを張る事にした。


テントを張り終えると、夜飯の準備(火起こしなど)を始める事にした。




「なぁ、礼二。そういえば、飯の材料とかってどうなってんの?」


俺は、朝?(正確には昼)起きてすぐにキャンプ場に向かった為、そういう事は一切知らないし準備をしてるはずもない。



「ん?あぁ。他のメンバーが買ってきてくれてるから安心しろ。あと、今日はバーベキューやるからな」


「あ。そうなんだ?何か悪いな・・・俺だけ何もしてないし。」


「まぁな。それじゃあ火起こしやるぞ。」


そういうと、俺と礼二はバーベキューをする為に木炭に火を点ける作業を始めた。


他の4人は野菜や肉などを切りに行っているようだ。



火起こしは、思った以上に上手くいかず・・・

1時間近く掛かってようやく炭に火を移す事が出来た。



それから俺達は、まだ明るい時間だったが各々缶ビールや缶チューハイをクーラーから取り出し、飲み始めていた。




それから、2時間ほど経つとバーベキューも終わり、みんなで談笑していたのだが・・・


ここでメンバーの1人がある事を言い出した・・・




「なぁなぁ♪やっぱり夏の夜って言ったら怪談だろ♪みんなで百物語やらないか♪」


「いやいや。ロウソク買って来てないだろ・・・?」



そんな俺のツッコミもむなしく・・・


「雰囲気♪雰囲気♪百物語の雰囲気が出れば良いから、ロウソク無しで怪談だけでも話そうぜ〜♪」


(・・・百物語の雰囲気出したいんだったら、ロウソクは絶対必要だろ・・・)


俺は、酔っ払いにこれ以上ツッコンでも無意味と思い渋々承諾する事にした・・・


他のメンバーは、というと・・・



「おっ!!面白そ〜じゃん!!」


「やろ〜ぜ〜♪」



などと言っていた・・・



(この中で、まだ正常なのって俺だけ・・・?)


俺は、昨日の酒が残っていた為、今日はあまり飲まずにいた。なので比較的酔いは回っていない。



(ってか、みんなこんなに酔っててちゃんと話出来んのかな・・・?)


そんな俺の心配もよそに、みんなはフラフラしながら椅子を動かし始めた。



席は、中心にバーベキューで使っていたコンロ(まだ火が残っていた為)があり、俺達はそれを囲むようにして、座っていた。



「おしっ♪それじゃあ、俺から行くぞ〜♪」



この百物語をやろうと、言い始めた張本人が最初に会談を話す事になった・・・

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